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脳や心の発達がわかるとグンと子育てが楽しくなるー父親のためのロジカル育児②-
子どもの行動って本当に不思議ですよね。
そんな不思議な行動を目にすると、親の心に余裕があるときは、「不思議なことするなぁ」とか「それ、面白いね」と感心することができるかもしれない。逆に心に余裕がない時は、「何で、そんなことするの(怒)!」「バカなことするんじゃない(怒)!」と声を荒げちゃうこともありますよね。
でも、子どもの脳や心の発達や仕組みがわかってくると、「まぁ、そういうことするよなぁ」「そう、きたか!」「それは、わからないよなぁ」と感じることが多くなってきて、なかなか面白いので紹介します。
メンタルリープ
「メンタルリープ」とは、1992年オランダで出版された「ワンダーウィーク」という育児書に登場したもので、赤ちゃんの脳がグンと発達する特定の時期のことをさしています。このメンタルリープを境に、赤ちゃんの行動に変化が訪れますので、それを知っていると育児がグンと楽しくなってくるんです。
例えば、「生後5週間」で五感が研ぎ澄まされます。産まれてすぐの赤ちゃんの脳は、まだぼんやりとしていますが、「生後5週間」で、よく笑うようになったり、音に敏感になったり、興味のある物をじっと見つめるようになります。
また、「生後8週間」で手足と脳がつながってきて、意志をもって動かすことができるようになってきます。だから、キックをしたり手を振ったり、
手の届くところにあるものを握ったりするようになります。
子どもの脳は、ゆるやかに成長するのではなく8回のメンタルリープを経て成長をしていくんです。このメンタルリープを理解した上で子どもの成長を見ていると楽しいんですよね。
また、メンタルリープの時は、脳が急激に進化するタイミングで赤ちゃんにとってはミステリーゾーンに突入するようなものなので、このタイミングでグズりが多くなるとも言われています。だから、メンタルリープの時期を把握しておくと、グズっても仕方ないタイミングなんだと思っておくと、ちょっと心にも余裕が産まれてきますよね。
「ワンダーウィーク」は、日本語でも出版されているのでチェックしてみてくださいね。
ポジティブ vs ネガティブから産まれる心理的発達
エリク・H・エリクソンの名前は、児童心理学を学んだことがある方にとっては一度は聞いたことがあるでしょう。ただ、ふつうのパパやママにしたら「誰ですか?」ですよね(笑)
エリク・H・エリクソンは、ドイツ生まれのデンマーク人で発達心理学者で、精神分析家。アメリカに渡って「アイデンティティ」の概念や「心理社会的発達理論」を提唱した方です。
この「心理社会的発達理論」というのは、人の一生の中で訪れる心理的な発達段階を示していて、各発達段階での「課題」をポジティブに解決した場合とそうでなかった場合を「vs」という表現しており、それはポジティブvsネガティブという構図で考えるとわかりやすい。
例えば、生まれてから生後18か月くらいまでの課題は、「基本的信頼 vs 不信」です。子どもにとっては、「世の中は信じることは出来るか?」という疑問があり、その疑問に対して、主に両親の対応を通じて解を得ていきます。
母乳やミルクをもらい、オムツを交換してもらいながら愛情や甘えを許してもらうという経験から基本的信頼感が育まれます。
基本的信頼感は、発達の過程で自分と他人を信頼し、情緒的かつ継続的な人間関係を構築する土台となる感覚であり、この時期に十分に育まれなかった場合、その後の発達の中で自分や他人への不信感を抱くようになります。
もちろん、赤ちゃんの欲求を全て満たしてあげたいと思っても、全ての欲求を満たすことは実現困難ですし、社会においても欲求が全て満たされることはまずありません。
だから、欲求が満たされないことで生じる不信感も経験しながら、基本的信頼という経験が上回る、つまり「基本的信頼 vs 不信」で「基本的信頼」が勝つことで「希望」というより良く生きるための力が獲得されると考えられています。
このようなことを知ることで、子どもに対しての接し方の軸が産まれてくるんです。子育てに迷った時の軸を得るための知識がパパママには大切なんですよね。
子どもには多くのことを体験させるべき理由とは
「子どもには色んな体験をさせたいんですよね~」とは、多くのパパママが口にする言葉ですよね。さまざまな体験をさせることで人生の幅を広げ、大人になってからの選択肢を広げてあげたいと願うのは当たり前。
でも、もっと深い理由があることに気づかされました。これは、先日、参加した「3児のパパ&人事責任者が語るモンテッソーリ教育とオルタナティブ教育の実際」というイベントの中でのことでした。
10歳の壁を乗り越えろ
大人になると当たり前にできるようになる「コト」の抽象化。でも、抽象化できるようになるには、様々な体験が重要なんです。
以前、NHK総合「クローズアップ現代:10歳の壁を乗り越えろ!」で最近9歳(10歳)頃に勉強についていけないという子どもが急増していて、分数や余りのある割り算、文章問題、抽象的内容についていけないという内容の特集でした。
これに対して、学校法人三橋学園 夏見台幼稚園のブログに明確な回答が書かれていました。
私たちは「愛」という抽象概念を理解することができます。説明することもできます。「愛」を説明する具体的な言葉を知っていますし、人を愛したり愛されたりした経験があります。その逆の場合も(それも1つの経験となるわけですが)。そうした具体的な体験が、「愛」という抽象的な概念を理解する土台になるわけです。反対にいえば、愛の体験がない、愛を説明する具体的な言葉を持っていないと、「愛とは何か?」という問いには答えられないでしょう。
抽象的な概念を理解するためには3つのステップが必要になってきます。まずは身体で体験し、モノを介して具体的に考えることができて、その上に抽象的思考が成立します。こうして1つひとつ積み上げていくことが、思考力(抽象的な思考力)を必要とする「9歳の壁」を乗り越えるための確実なステップなのです。
引用:学校法人三橋学園 夏見台幼稚園「遊び・おもちゃが子どもを賢くする12の理由」
これが、遊びや体験がとても重要な理由です。身体的な体験や具象がない状態で抽象的なことを考えさせようとしても難しいんです。10歳の壁が乗り越えられない子どもというのは、幼少期に遊びや体験が少なかったり、タブレットやゲームなどの身体による体験が少ない子どもなのかもしれませんね。
今回のまとめ
子どもの発達には筋道があり、子どもの行動には理由があります。それを理解することで子育ても楽しくなってきます。「心理学」や「脳科学」って、とっつきにくい感じがあり、遠ざけていた方も、自分の子どもを理解するための学問だと思うと面白く感じられるのではないでしょうか。
これも、子どもが運んでくれたギフトだと思って、しばらく勉強しようかなぁと思います。