謝りたい人。
こんにちは、ぱんなこったです。
人々の心の中に「謝りたい人」ってわりといるものなのでしょうか。わたしはいます。
学生時代のバイト先の店長さんです。
大学に入学してまもなく、わたしは少し価格帯の高い居酒屋の接客をしました。お酒の席というお客様の楽しい空間で、そそをしてはいけないというプレッシャーが、当時はとてもしんどかったです。そして、失敗すると怒鳴りつけてくる上司がいたことがとても苦痛で、ある日無断欠勤しました。店長から着信が何件かありましたが、出る勇気がなくスルーしました。するとメールが届き「怒らないからゆっくり話してみましょう」と書いてありました。
無断欠勤したやつにそんな優しい言葉が来るとは思っていなかったので驚きました。その優しさを無駄にはしたくなかったので、翌日に店へ出向き店長と話しました。
「どしたん?しんどいことあった?」と問いかけてくれました。上司が怖いとは言えず、失敗するのが怖いんだとだけ伝えました。「失敗しても全然いいんよー。それにそんな失敗してないじゃん大丈夫よ」と励ましてくれました。それから、店長は過去のご自身の話をしてくれました。自分も今までの仕事であわない人と出会って辛かったこと、今のところに拾ってもらったことなど。そして最後は涙を流しながら「逃げてもいいし、また一緒にがんばってもいいよ、どっちにする?」とわたしに聞きました。わたしは「頑張ります」と答えました。すると店長は「そうか。嬉しいありがとう」とわたしの手を握りました。そして他の店員に「また一緒にがんばってくれるそうです、昨日のことはなかったということで」とアナウンスしてくれました。
その時、こんなに寄り添ってくれる人がいるんだと感動しました。ただの学生バイトだし、シフトもそんな貢献できてるわけでもなかったのに、ここまでチャンスをくれる人がいるのかと。店長からの恩を絶対にいつか返すと強く思いました。
その時は。
次の出勤日、わたしは行きませんでした。
また同じことを繰り返してしまうと思いました。あの時は、店長の話に感銘を受け「この人に恩返ししたい」という気持ちで「頑張る」と答えました。しかし自分1人になった時、苦痛に耐えられない自分しか見えませんでした。
出勤はせず、店長にメールだけ送りました。
「本当に申し訳ありません。やはりわたしは行けません。わたしは弱いですし、学生生活とアルバイトを両立させるにはまだ早すぎたのだと思います。しかし、店長がわたしに話してくださったことは忘れません。本当にすみません」
ほとんど送った内容は覚えてないのですが、おそらくこんなことを送ったような気がします。
本当に情けないです。最低です。
涙を流すほどご自身の話をしてわたしと向き合ってくれた人を、わたしは裏切ってしまいました。店長だけでなく、もう一度一緒に頑張るという指示を受け入れてくださったお店の方々や、困った時は相談してくれていいんだよと声をかけてくれたバイトの先輩も、わたしは裏切ってしまいました。
身勝手ながら、メールを送ってからは全ての連絡を着信拒否にしてしまったので、それから店長や皆さんがどうなったのかは全く知りません。
あの時は、とにかくただただ自己防衛しかしてなくて、罪悪感と恐怖心でいっぱいでした。
わたしがバックれたことでわたしを救ってくれた店長が何か処分を受けてしまったのではないか、店でなにか亀裂が入ってしまったのではないかと、ずっと気になっています。
もう何年も何年も経ってしまいましたし、在学中に伺うこともなく卒業と同時に地元へ帰ってきたので、今さら出向くこともできませんが。
もしあの時の店長さんにお会いできたなら、その時はおでこを地べたに擦り付けてでも謝りたいです。
あの頃はわたしも自分の気質や弱さに気付いていなかった。だとしても、がんばると答えた以上もう一度出勤して店長についていくべきだった。それなのに、あなたの優しさを恩を、わたしは全て仇で返した。本当に、本当に申し訳ありませんでした。
ここに書いて店長に届くなんて都合のいいことは起こらないし、届いたとして許されるとは思ってない。わたしの自己満足な懺悔として。
ぱんなこった