見出し画像

探索プロジェクトの「立ち上がり」を作る

 探索活動・探索プロジェクトをはじめるにあたって、最初に必要になる一式とは何か。最小限とすると以下を置く。なお、ここでいう「探索活動」とは、仮説検証型アジャイル開発における「左円」のサイクルのことである。

左円 = 仮説検証、価値探索

探索立ち上げの一式
(1) 事前知識を揃える (言葉の理解をあわせる)
(2) 探索のインセプションデッキを作る
(3) チームビルディングワークを行う (ドラッカー風エクササイズなど)
(4) スクラムイベントを決める (いつ何やるか決める)
(5) バックログボードを決める (どこでどう運用するか決める)

探索活動立ち上げの一式

(1) 事前知識を揃える
 そもそも探索とは何か。仮説検証とは何か。アジャイルとは何か。ベースとなる知識をチームや関係者で合わせる(勉強会などを開く)。全くゼロからのスタートとなると、かなりの知識充当が必要になる。書籍を丸っと一冊読み踏まえるなどしたほうが早い。
 この事前の知識合わせを甘くみないほうが良い。使う「言葉」の意味がそれぞれで異なっている、仮説検証で何を確かめるべきか合っていない、このあたりがブレていて良いことは何一つない

(2) 探索のインセプションデッキを作る
 これから始める探索プロジェクトで何を狙いとして置くのか(われわれはなぜここにいるのか)。また考慮する基準には何があり、その上でどれを優先するのか(トレードオフスライダー)。どのような進め方の仮説を置くのか(期間を見極める)、あたりの認識合わせを行う。
 もちろん全てのデッキを作って構わない。これから始める活動の境界がまだあいまいで、柔らかいからこそ、その時点で分かっていることを表出し、合わせる。そうすることで、どこまでが確かで、どこからが定かではないか、理解しあうことができる。

(3) チームビルディングワークを行う
 簡単なチームビルドは、チームが集まったときにいち早く行おう。ここでは、より時間を割いて行うチームビルドをイメージしている。例えばドラッカー風エクササイズなど。
 インセプションデッキを先にしているのは「どこに到達したいか」「何を目指すのか」を言語化しておくことで、チームビルドの上で互いの考えや役割などを表明しやすくするためだ。

(4) スクラムイベントを決める
 
探索段階で、どこまでスクラムイベントを行うのか。もちろん、プランニングとレビューを対として仕組んだほうがよい。ふりかえりはスプリント毎ではないにしても、取り入れておくほうが良い。デイリースクラムが必要になるかは、チーム活動のまとまり加減、テーマの複雑さなどに依る。
 こうしたイベントの具体的な実施曜日、時間帯、頻度をチームで決めておく。忙しいチームメンバーの時間を確保しておくために、最初にきっちりと決めておくことをおすすめする。

(5) バックログボードを決める
 探索段階でもバックログの運用を始める。イシュー、仮説、そのために必要となるタスクのマネジメントを行おう。本格的なタスク管理ツールをこの段階で入れる必要はあまりない。ホワイトボードツール上で簡易的にカンバンを運用するのでも十分間に合う。タスクの種類が多岐にわたり始める段階で、バックログ管理を目的としたツールに切り替えることにしよう。プロトタイプやMVP検証の段階がその目安だ。

 以上を踏まえて、最初に何を行うか? 明白だ。「仮説キャンバス」を作る。どんな探索でも、全くの無から始まることはほぼない。何かしらのアイデアや大まかな仮説、何か知りたいことがあるから、活動が立ち上がる。そうした曖昧模糊とした状態で、言語化できる仮説を可視化する。

 キャンバス作りを通じて、やはり「どこまでが確かで、どこからが定かではないか」を自分たち自身で理解する。その結果から次にやることが見えてくる。想定する顧客やユーザーの状況調査、競合・代替手段の調査、さらなるアイデアの発散ワーク。こうして探索が始まる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?