後方の野戦病院ではなく、前線のトレンチ
仕事柄、組織変革の文脈の中で動くことが多い。一見は事業開発、プロダクト作りの話だとしても、その背景にはDXをはじめとした組織変革の流れが存在する。
こうした文脈の中で、もがきあがくように、真剣に何とかしようと動いている人たちが僅かながらも居る。ジジくさい話になるが、そうした人たちのほうが自分よりも年齢が若いことが増えた。そうした若さを目の当たりにすると、眩しさを感じるとともに、嬉しくも思う。次の時代が確実に始まっている。
同時に、自分と同年代あるいは少し上の世代でまだまだ挑戦している人たちもいる。同朋の存在が頼もしく思う。こちらの文脈も勿論真剣勝負だ。
自分が出来ることは何なのか、日々自分に問いかける。あと、数年でどこまで残せるのか、焦る気持ちと隣合わせだ。日本企業がDXの名の下に芯から変わっていくためには、5年10年の仕事になる。世代間の引き継ぎを織り込んだ取り組みを意識しなければならないということだ。
ただし、次の世代が「これまで出来なかったこと全て」を背負うなんてことは考えてなくて良い。悲壮感の漂う、組織変革に未来はない。これまでのことを笑い飛ばしながら、忖度なく変えていく。「仕事だから感情を押し殺す」ではなく、喜怒哀楽の内なる感情に耳を傾けながら、違和感を正していく。そういうスタイルを日本企業に芽吹かせていきたい。これは妄想の話ばかりではなくて、実際のDX支援の中で手応えを感じているところだ。人が人らしい感性に基づき判断し、動いていく。突破口は、ここにきっとある。
組織変革は長いジャーニーになる。それぞれの旅路の過程で、困難に直面するのは常のこと。そうした過程で、組織を越えた知見の提供、助言、課題解決の切欠が得られたら、心の支えの一つにはなるかもしれない。長いジャーニーの途上に設けられた、拠り所。
必要なのは後方の野戦病院ではなくて、前線のトレンチ(塹壕)のような場所ではないかと考えた。現場から距離のあるところ、愚痴を言い合って傷を癒やすための場所ではなく。変革の前線でイマすぐにでも状況を突破するための仮説が得られるような場所。
トレンチを始めるにあたっての最初の題材はちょうどある。
政府情報システム開発向けのアジャイルガイド。伝統的な企業においては文脈が類似するため、参考になるところがあるはずだ。この中身を解説することから。始めていく。