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なぜ、組織にデザイン思考とアジャイルを宿す必要があるのか

 デザイン思考(仮説検証)とアジャイルを組織の中心に据えて、あらゆる組織活動をトランスフォームしていく。まさしくDXの中核となる取り組みと言える。株式会社リコーの「みんなのデザイン思考とアジャイル」という発信は、リコーがDXをどう捉えているかを示す一端と言える。

 こうした取り組みはリコーにおけるDXのごくごく一部ではあるが、発信の第一歩であるのにはほかならない。今後、日本のDXにおけるリファレンスとなるコンテンツを発信できるよう、noteに限らず努めていきたい。

 一方で、こう思う方もおられるかもしれない。なぜ、デザイン思考とアジャイルなのかと。

 実のところ、デザイン思考に関する組織を立ち上げているところはあるし、アジャイルに取り組む伝統的な大企業も出始めている。しかし、両者を同時に組織変革の軸に据え、具体的に組織的取り組みを進めているところは少ないのではないか。

 DXや組織変革の狙いを「いまだ顧客に提供できていない価値を現実にしていく」に置くならば、何を実現するべきなのかも不確かなところから始めることになる。そこで、いきなりスプリントを回すことが最善とは言えない。われわれは、対象とする人や状況についてまず理解し、そして何が価値なのか仮説立てなければならない。

 もちろん、立てた仮説は検証して、確かにしていく。そのときに必要なのは、価値の提供手段を段階的に具体化するすべ、動きである。いつまでも言葉やイメージだけでは、仮説の確からしさは変わらない。現実のプロダクトに近いプロトタイプ、そしてまさしく現実のプロダクトでもって、検証しなければならない。
 漸次的にプロダクトを現実化させていく。ゆえにわれわれはアジャイルであることが問われる。

 ここまで書いたことを読むと「なんだ、新規事業のことか。それはそうかもしれないが、自分の仕事には関係ない」と思われる方も多いだろう。私が考えるDXとは、新規事業や新規のプロダクト作りのような場合だけを指すものではない。

 組織のトランスフォームを目指すならば、新規の価値創出だけではなく、既存の事業、既存の業務における「ふりかえり」と「むきなおり」がなければならない。
 既存の仕事の進め方や、提供しているサービス、製品について、現状を棚卸し(ふりかえり)、真に社会や顧客の要請に応えられているのかを問い直す(むきなおり)。
 多くの場合、この先の方向性を再定義する必要に迫られるだろう。この数年の感染症の状況、デジタル化が進む社会環境に適応していくためには、われわれは自らをかえりみて、この先について仮説立てて行かねばならない。

 だからこそ、デザイン思考とアジャイルを一部のメンバーやチーム、部署において、ではなく、組織の隅々で手にできるようにするのだ。日本の多くの組織にとってそれは極めてハードルの高いことのはずだ。しかし、だからこそ、やるんだよ。

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