プロダクトレビューでユーザーの動きを再現する
以前、「プロダクトレビュー」なるものについて書いた。
インクリメントとプロダクトという粒度関係とは別に、「検査・検証」の観点からも整理してみよう。3つの活動それぞれで、特徴が出てくる。
ある意味で、内部で行う検証、外部で行う検証という分けが見えてくる。内部であれば速い動きが期待できる。外部(想定ユーザー)を巻き込むとなると、その分のオーバーヘッドは伴う。さっと確認、早く検証する分には内部で、異なる視点・より本質的なフィードバックを得るには外部で、と使い分けるイメージが見えてくる。
ここでいうプロダクトレビューは、想定ユーザーは巻き込まないが、その分チームの中でユーザー的な人物を見立てる。プロダクトを疑似的に利用して、その様子を全員で眺めながら進める。伝統的な用語でいうとウォークスルーのイメージに近い。
中心となる人物はプロダクトオーナーであることが多いだろうけども、チームメンバーの誰かでも構わない。ユーザの代行ができる、ユーザーの思考や嗜好、行動を理解できているかが問われる。よりユーザーとしての行動が取れることを期待するため、あたかも「ユーザーを憑依できる」かどうかが大事だ。
そうした人物はどうやって作られるのだろうか。これは明白で、その人物自身がそもそもユーザーに該当するか、仮説検証を繰り返し実施することで後付で憑依できるようするか、だ。仮説検証を行うということは、その分だけ想定ユーザーの考えやふるまいに接することになる。その機会が多ければ多いほど、憑依可能性を高められるだろう。
ウォークスルーを進めながら、自分の中で「ユーザーの動きの再現」が想像になっていると気づくことができるのもプロダクトレビューの意義の一つだ。想像で動かしているな、あるいはユーザーではなく自分として動かしているな、という箇所は、実地でユーザーを確かめるところになる。
分かっていることを再現し、そこから新たな発見を得る、だけではなく、分かっていないことを掴み、そこから新たな発見に繋げることも、プロダクト作りでは意義深い。