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互いの 「間合い」 を合わせる、合わせ直す

 チームにしろ、小さなグループ組織にしろ、どこかしっくりといかないことがある。何をするにしてもすんなりといかない。
 何から認識をあわせるべきか、どのようにチームの対話を進めるか。会話もどこまで広げて掘り下げるか。そして、いつくらいに次に向けての判断を始めるか…。一挙手一投足、いちいち合わない。
 だから、いちいち時間がかかる。もちろんストレスにもなる。でも、仕方ない。何をどう合わせれば良いか分からないのだから。

 こうなると、得てして関係性もよろしくない。顔をあわせば、大小の軋轢が生まれる。そんな状態で、前のめりに協働しようなんてならない。ますます、互いの間隙は広がっていく。余計に互いが分からなくなるから、次の邂逅は大きな軋みをもたらす。

 「だから、互いの「関係の質」をまず高めよう」ということがこの手の話で言及される。

ダニエルキム成功循環モデル

 互いのことが分からないまま、一緒に仕事が始められるわけがない。関係の質を得ようというのは至極もっともだ。ただ、「チームビルディングをしっかりとやろう」で終わってしまうと、思ったほど状況を打開できない。
 もう少し解像度をあげて捉えてみよう。分からないこととは何なのか。あるいは、何が分かれば仕事がともにできるのか。

何から認識をあわせるべきか、どのようにチームの対話を進めるか。会話もどこまで広げて掘り下げるか。そして、いつくらいに次に向けての判断を始めるか…。

 仕事に臨むにあたっての相手の考え方。課題の捉え方や、優先度の付け方。計画重視なのか、実践重視か。リスクにはどのくらいの配慮をするか。無数にも感じられる「仕事へのスタンス」とでも言うべきこと。
 先のモデルを悠長に一周ずつ回してどうにかなるほど、私達の仕事は単純ではない。仕事を進めるにあたって、数多くの観点や基準、思考方法を駆使している。
 こうした思考の合わせを、例えば週に1回のキャッチボール(定例会)などでどうにかできるか。もちろん合わせ切れない。ただそれでも、仕事や判断の締め切りに向けてどうしても進めなければならない。互いの理解が不足し、歪が生まれる。その上で次の判断をするからさらに歪が大きくなっていく。

 この循環を断つには、「どういうときにどんな感じどう動くのか」という互いの「間合い」を掴む必要がある。短い時間で、集中的に「頭の中で」ではなく、「実際」において

 つまり、間合いを掴むために「一緒にやる」を先に持ってくる必要がある。お互いが宿題をもって、週に1回の定例会に向けて準備してくる…ではなくて、その場でmiroやfigmaを広げて、一緒に考えてみる。その場で手を動かして、断片的な思考を出力しながら必要なアウトプットに近づけていく。
 重要なのは、アウトプット以上にその「過程」だ。ものを生み出す、整理する、判断する、その過程をともにすることで、相互に相手の考え方を理解する。過程をともにする密度の高いコミュニケーションは、関係の質にも好影響を与えることになる。

 こうした「考え方」「仕事の進め方」を資料などに落として理解しよう…ではとても間に合わない。ボールのパス回しを通じて、相手の力加減、速度を把握するように、「仕事のパス回し」で間合いを掴む。
 「合宿」のような時間をいまだ切り札のように扱うのは、こうした理由からになる。いきなり分かったようなていで仕事を始めるのではなく、まずパス回しから始めよう。
 組織が新しくなったり、人の出入りが重なってくると、分かっていたつもりの「間合い」もいつの間にか分からなくなる。「間合い」を合わせ直そう。

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