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自分がその時最も惹きつけられることに従う。

 ある日、sechack365の中の方から「若者に向けて講演をしてもらえないか」と頂いた。アジャイルや仮説検証、そして開発において見失いがちなWHYの大切さについて問いて欲しい、ということだった。

 こうした依頼は断らないことにしている。今回は、25歳アンダーのとても若い皆さんに向けてお話することになる。さて、何を話すか? 少し迷った。

 アジャイル開発とは何ぞやを話すだけでも勿論良いのだろうけど、せっかくの機会なので本読めば分かるような話は避けようと考えた。25歳。私が最初の会社で仕事にも慣れ、物足りなさを感じていた頃だ。

 あの頃は、もちろん先のことなど何一つ想定が置けなかった。ただ、分からないなりに、一つだけ意識していたことがある。それは、「選択肢を減らさない」ということだった。選択する毎に、だんだんと生き方が絞られるようなことは避ける。むしろ、選択肢を増やす生き方を選ぶ。確信は無いけれども、何となく選択のその先に広がりがある方を選ぼうと。

 こうしたことを話すのは、若者に向けてはそれなりに意義がありそうだ。そう考えると、自分が「これまで何を考え、何を選択してきたかを話す」ことで、少しは意義のある話になるかもしれない。私の選択を話すことで、自ずとアジャイルも、仮説検証も、現れてくる。

 もう一つ伝えたいことがあった。いつも話しているように「WHYから始めよ」は、本講演の中でも伝えるべき重要なメッセージだった。だが、それと同時に「だからといって高邁なWHYに基づく意思決定を常にしているわけではない、むしろ、自分がその時最も惹きつけられることに従う」ということも伝える必要があると感じた。

 この話のとおり、25歳の頃の私が描いたWHYとは到底他人に誇れるようなものではなく、自分本位で、自分の「好き」に忠実なものでしかない。

 だが、それで良い、と若者には伝えるのがその先を行く者の務めだ。私は好きにした。君らも好きにしろ。

20代は自分のために
30代は顧客と自組織のために
40代は社会のために

 好きにしたら良い。ただ、生き方を狭めるような選択は慎重に行うこと。

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