アップデートという考え方を捨てる
デブサミ2021で講演。テーマは、アジャイルブリゲード。
最初のポイントは、アップデートを捨てること。ここは、ふりかえりをしながら気づいた内なる声だった。二項対立が足を引っ張っているのは、自明。ならば、代わりとなる概念は何なのか?
まず思い至ったのは、組織変革2.0、事業開発2.0 = DXといった概念こそ、ダメなんじゃないかということだった。アップデートの「正義感」は、この手の仕事をしていれば、暗黙的な了解になっていると思う。このアップデートこそ、2項対立をより深くするのではないか。
アップデートではなく、「こんにちわ、がんばってともにやっていき」からやりなおす関係。それはアライアンスのイメージと言える。
アップデートからアライアンスへ。二項対立から...。上手く言葉を見つけることができなかった。1ヶ月くらい考えていた。動的平衡という言葉に出会って、心が揺らいだが「平衡」では少々バランスを取りすぎる語感がある(語感だけの話)。ここで扱いたいのは、やがてのフラット感を目指すものではない。
探索しているうちにであったのが野中先生の「二項動態」(Dynamic duality)。二項、動態。この動態という言葉が実に良い。まさしく、dynamismのあるイメージ。他の言葉も構想してみたが、二項動態を越えるものは作れなかった。野中先生の言葉を有り難く拝借させて頂いた。
アジャイルブリゲードは、二項動態をどうやって実現するのか? に答えるための組織パターンである。デブサミでも話しながらこぼしてしまったが、このパターンの実施はなかなかの難度がある。ブリッツ・トラストをやるには、相応の経験と働きかけるチーム内には阿吽感が必要になる。
そういう難度のある話を、デブサミのような多くの人が集まる場でやるべきなのだろうか? 少しまずかったかな、とよぎったが考え直した。
デブサミに登壇する際は、いつも「俺のターン」と心中を確認して、登るようにしている。そうでも暗示しないと、あんな奢侈な場所で、大勢の視線を前にして、話をするなんて出来ないのだ。
はじめてデブサミで話したときからそうしている。
頭のネジを1本飛ばさないと、話せない。
「お前の時間なのだから、お前の話をすればいい。」
は、はじめてデブサミで話すときに稽古をしてくれた先達がくれた言葉。デブサミで話すときは、いつも俺のターン。だから、今回も私の話をした。