ふりかえり、むきなおり、ものわかり
コルブの経験学習モデルを踏まえた話。
このモデルのうち、抽象的概念化までを日常的に行っている人は少ないはずだ。一方、このモデルの秀逸な点は、概念化にある。
概念化があまり行われていない理由の一つは、そうした習慣が無いことが大きい。ただ、そう捉えると、タイムボックスを自分で設定して向き合っていけば良いので(やがて習慣になる)、実は難しいことではない。
この概念化は、1人でできる。ただ、発見した概念は仮説段階なので、実験を行ったり、他者からのフィードバックをもらう時間がたいてい必要だ。内容によっては気軽に実験できないものもあり、このモデルを回すのはそれなりに時間がかかる場合がある。
あらゆる仮説に実験を通すのはまた難しい話なので、実験対象とする前にある程度磨いておきたいということになる。そこで、2人で概念化を行うという手段が考えられる。立てた仮説に対するフィードバックが早く、概念を取り出すその場で深められる可能性が高まる。
実際、私も「概念化の対話」を取り入れている。この対話は誰でも良いわけではないし、こういう人でなければならないということでもない。おそらく、どういう概念を取り出したいかに依る。私の場合は、話している間の情報の解像度が乱高下するので、抽象と具体を行ったりきたりできる壁打ち相手が必要になる。そんな人物が得られているのは僥倖というべきだろう。
さて、この概念化の対話はタイムボックスに基づく行為なので、名前をつけておきたい。過去を棚卸しするふりかえりとは違う。将来を眺めるむきなおりともまた違う。おぼろげに何かが分かる感じ。「ものわかり」とでも言うべきか(接頭辞「もの」には漠然とした様子を表す意味がある)。
こんな言い方。
「断片的な気づきがそろそろ溜まっていそうだから、ものわかりの時間にしようか。」
「ものわかりやっている?これは習慣としてやらないと始まらないから、タイムボックスを決めておいた方がいいよ」
すでに、概念化の対話の有用性は検証できているので、チーム活動に取り入れるためには、能動的実験が必要。