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正しいものを正しくつくる

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書籍「正しいものを正しくつくる」に関するマガジン。 https://beyondagile.info/ https://www.amazon.co.jp/gp/product/4…
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2024年5月の記事一覧

「アジャイル」の答え合わせ

 「アジャイル」という言葉の広まりようには、隔世の感を感じずにはいられない。ごく当たり前のように開発の選択肢として捉えられるようになった。若い組織であろうと、伝統的で歴史ある組織であろうと、関わらずだ。  そんな状況をぼくらは夢見たはずであるし(ここでいう「ぼくら」はかつて、アジャイルに取り組むも全くうまくいかず、死屍累々の失敗を重ねていたコミュニティの仲間たちのことだ)、実際に至ったことには自分が一つ仕事を成し得たのだという感慨を抱く。  …なのだけども。なのだけども、

インセプションデッキづくりで何をしていることになるのか?

 期初にあたるためか、最近インセプションデッキづくりに携わることが多い。ほぼ毎時間、デッキをつくっている日もある。今更、インセプションデッキ?と思われる人もいるかもしれないが、デッキの有効性はいまだにある。むしろ、めちゃくちゃ高い。  というよりは、デッキレベルの認識あわせもできていない状況で、プロダクトづくりなり、プロジェクトなり始めたところでうまくいくはずもない。ところが、このくらいの内容でさえ合っていない、おざなりになっていることが少なくない。デッキが登場して10年以

仕事の 「点」 に囚われず、 「流れ」 を読む

 スプリントプランニングをいつ、誰が、どんな内容で実施するのか。あるいは、受け入れ条件の記述書式をどう決めるか。完成の定義は? デイリースクラムで何を話す? etc、etc  これら一つ一つについて考えを煎じ詰めていくのは大事なことだ。クオリティと効力感は細部に宿る。ただ、開発が、仕事が、より良き状態となるのを目指すのに、これら一つ一つに焦点をあてる前に捉えるべきことがある。それが「流れ」だ。  「流れ」に対して、冒頭にあげたことは「点」だ。「点」の一つ一つがどうあると良

プロダクトをつくろう。そして、そこから「物語」を取り出そう

 最近の関心どころから、井庭さんの創造システム理論を紐解いていた。「創造」そのものをシステムとして、人から外部からして捉えることで、その本質を見ようとするアプローチは、「創造」だけに留まらず広く適用が考えられる。例えば、組織システムもその一つとして。  井庭さんの理論では、「創造システム」と関わるためのすべが「パターン・ランゲージ」であり、それは「発見」に導かれるためのメディア(媒介物)となる。創造的な状況に進むには、何かしらの切欠が必要になる。そこでパターンを用いる。パタ