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正しいものを正しくつくる

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書籍「正しいものを正しくつくる」に関するマガジン。 https://beyondagile.info/ https://www.amazon.co.jp/gp/product/4…
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2023年1月の記事一覧

スクラムがみんなの「意志マネジメントシステム」になる

 結論から言うと、スクラムとは「意志のマネジメントシステム」でもある。  スクラムの紹介、説明を行う際には「適応の仕組み」として強調することが多い。未知なる領域に踏み出してみる、新手の取り組みを進めてみる。そうした局面で実践による「経験」を獲得していくことで、適切な判断と行動を取っていくための仕組み、ということだ。  プロダクト作りに限らずとも、現代の組織やチームにおいて「適応」の動きが不可欠になっている。これまでの判断基準ややりようから離れ、組織にとって「はじめての試み

スクラムマスターに期待される3つの「ともにある」

 「スクラムマスター」が果たす役割とは何か。スクラムマスターは「ともにある」ことをその根幹としている。チームとともにある。プロダクトオーナーとともにある。組織とともにある。 チームとともにある  スクラムが前提としてチームに期待する「自己管理型」というのはどんな状態か。自分で考えて、自分で動く、ということができることだ。では、それを一人ではなくチームとして立ち振る舞うためには何が必要か。  考えるための機会も、動きを整える働きかけも、その結果に向き合う時間も要る。こうした

あなたが組織の一員であれば、自分自身がその「プロダクト」のユーザーになる

 プロダクトを生み出すこと。10年、20年この手の仕事に関わっていても「発見」がある。面白いと思う。「人の営み」こそが一番分からなくて、常に仮説と挑戦が求められ、また学べる行為なのだろう。  「プロダクト」は「人の営み」にまつわり("使う人" と "作る人" 両者にまつわる)、その役割として何らかの価値の生み出しが期待される。探求を重ねても分からないことが現れてくる。奥深い。  何らかのプロダクトを「作る」ということにどれほどの意義があるのか。もう何年か前に辿り着いているこ

重ねて、重ねて、ふりかえりの「山」をつくる

 「とにかくやってみる」上等ですよ。日々是新で、「やってみた」ことを踏まえて、計画や方針を書き換えながらやり続ける。まずこのスタンスに立たないと、探索も適応も始まらない。  「やってみる」ことで分かることがある。さらに言うと、「やってみよう」とすることで、そのためのコミュニケーションが増える。コミュニケーションが増えれば、情報も増える。情報が増えれば、新たな理解にも達する。新たな理解は、自分たちの行動の幅をさらに広げてくれる。  いろいろと想像はするが、結局「やらなかった

数字を突き詰めようとするほどに、「ユーザー」「チーム」「プロダクト」を見失ってしまう

 プロダクトマネージャーやプロダクトオーナーが、「プロダクトがどうあるべきか」に考える焦点をあてることは勿論のことだ。ここに最も自分の時間を使っていて、然るべきだ。  ただ、プロダクト作りの初期の段階を経て、焦点のあて先、時間の使い方は状況とともに動いていくことになる。「焦点のあて先を動的に変えていく」、ここが出来ているかどうかが大事。どうしても、人はひとたび焦点を置くと、そこから目が離せなくなってしまう。その結果、判断とふるまいが「今ココ」の実状とフィットせず、上手い状態