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正しいものを正しくつくる

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書籍「正しいものを正しくつくる」に関するマガジン。 https://beyondagile.info/ https://www.amazon.co.jp/gp/product/4…
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2022年10月の記事一覧

プロダクトやチームについて仮説を立てるように、進め方自体の仮説 (探索仮説) も立てよう

 課題仮説、ソリューション仮説だと言う前に、現場や組織には「仕事の進め方自体の仮説」が必要なのではないかと思うようになっている。   その行為を「作戦」と称し、その手がかりとなるアウトプットを「仕事の設計図」「線表」と呼んで、実践指導にあたっている。もう少しスマートに呼ぶなら、やはり中身は「計画」ではなく「仮説」であるから、「探索仮説」とでも呼ぶことにしたい。  探索仮説は、WBSでもスケジュールでもロードマップでもない。向かいたい場所、状態に辿り着くための道筋を組み立て

「ユーザーにやらせている」つもりが、「自分たちがやらされている」ようになる

 プロダクトとして追うべきKGI-KPIを定めてトレースする。KPIは勿論プロダクトの状況によって異なるが、例えばActivationだったり、オンボード後の定着を示すRetentionについての指標だったりする。KPI到達に向けて、マーケティング上の施策や機能開発へと落とし込み、その具現化に日々注力する。…という日々になっているだけだとしたら、危ういかもしれない。  この状況のどこに問題があるのだろうか。至って普通のことではないか。むしろKPIをろくに定義することもなく漫

「思うことは特にない」で、どうにか出来るほど甘いものではない

 世の中にはあまたのフレームワークが存在する。何か仕事をするのに、そうした道具を使わずにいることの方が少ない。自ずと、フレームワークの良し悪しも問われることになる。  普段「フレームワークが重要なのではない」と言う人も、整理が上手くいかない感覚が芽生えてくると宗旨替えが起こる。「こういう時こそ世の中にあるフレームを使わないのか」と考えるようになる。結局良いのだったら最初から選べるようにしておけば良いじゃない、という真面目過ぎる言及のウケはあまり良くない。  仕事柄キャンバ

その「仮説検証」は本当に必要なのか?「世界」の捉え方で仮説検証の意義は変わる。

 こういう話を書いた。プロダクトオーナーには「参謀チーム」が必要である、と。  この話を、もう少し掘り下げてみる。ある領域においてのみ成り立つ専門知識のことをドメイン知識と呼び、その領域のことをここでは「あるドメイン世界」と呼ぶことにしよう。  あるドメイン世界の外側には広大な領域が広がっており、切り取り方によって領域をどう呼ぶかが定まる。すでに確立された領域もあれば、新たに見出し、定義する領域もある。こういうイメージ。  あるドメイン世界におけるプロダクト作りを行うとす