[ネタバレしかない] リードオンリメモリーズ ニューロダイバー レビュー
ようやく登場した、2064:リードオンリーメモリーズの続編!
前作からほぼ10年経ってリリースされた待望の続編。
ネオサンフランシスコという舞台で起きるSFの世界観やキャラクターたち、細かいドット絵とアニメーションは相変わらず大変魅力的で、リードオンリーメモリーズって、やっぱりいいなぁ、となったのは間違いない。
ただ… うーん、オススメは… できないなぁ。残念ながら。オススメしたい気持ちはものすごくあるんだけど…
前作のファンアイテムとしてはありだが、単品としてはなかなか厳しい。
ダイジェスト過ぎるストーリー
まず、実績全解除まで含めてクリアまでの時間が3.5時間で、さすがに短っ!と思ってしまった(特に前作がとても長かったのもあり)が、プレイ時間が短くてもその分濃密なプレイ体験をさせてくれるゲームもあるし、短いだけで一概に批判はできない。
が、問題は、本来20時間くらいにしようとしてたであろうストーリーを3.5時間分に切り詰めてしまったことでどの話も唐突すぎたり、キャラクターの理解ができない、愛着が湧く前に終わるというストーリー展開。
キャラクターに感情移入したいがエピソードが足りない
主人公であるルナは翻訳の妙もあり、結構ギャルギャルしくなっていて、やり甲斐のある仕事と会社への忠誠心、同僚との友情、そして自分の強力なエスパー能力が諸刃の剣にもなりえるということに悩み、でも前に進むという魅力的な主人公になっていると思う。(昔は皮膚が紫色じゃなかったらしいのがすごい気になるけど。)
が、相棒のゲイトが正直単にそこにいるだけで、ルナが事ある度に感謝するほど何かをしてくれたことがない!話の中では、元軍人で体の色々をいじっていてその気になれば人の腕もちぎれるとか、大暴れしそうなフラグを立てまくるのだが、結局何もせず、いつもアゴをしゃくらせてるなぁと思うだけで終わる。いっそ同僚のオタク丸出しなハロルドの方が感情移入できたかもしれない。
他のキャラクターも、記憶修復のミニゲームも含めてダイジェストかのようにお話が進み、終わっていく。
そして、正直前作キャラクター出過ぎでは?とは思った。クロウ、チューリング、レクシー、トムキャット、ジェス、しかもちょい役ではなく普通にメインストーリーに関わってくる。
前作をプレイしている人にとっては嬉しいし、レクシーが元警察とかトムキャットがハッカーとかジェスが弁護士とかを知っているのですんなりと理解できるが、今作から入る人はどうなのだろうな…
今回の事件の犯人であるゴールデンバタフライも、正直打ち切りエンドのように感じる終わり方だった。取ってつけたようにマルチエンドも用意されているが、大きな違いはない。
4,5年開発していたのだから、おそらく設定資料や構想はめちゃくちゃたくさんあって、実際はゲイトが本当に活躍したり、ネオサンフランシスコのいろいろな場所を移動したり、ミニゲームがあったりしたんだろうけど、なんやかんやあってほとんどが削られたんだろうなぁ…
そしてなぜか特に誰も求めていないボイス、各チャプター間の謎のアニメーション、やたらと多い他作品や人物とのコラボだけが残ってしまった、と。
自分が見つけたところだけでも、コーヒートーク、パラダイスキラー、あとはSWERY氏とSUDA51氏がいた。他にも唐突な名ありキャラが何人かいたので、別のコラボタイトルだったんだろうな。
ただでさえ主要キャラクター少ないんだから、名前ありキャラクターいると攻略に関わるのかと思ってしまうよ…
ADVゲームとしても不満が残る
また、テキストアドベンチャーゲームとしても機能的に気になるところが多かった。一番大きい問題として会話中にはセーブできない(選択肢によって結構会話が変化するにも関わらず)ことと、会話の履歴が見れないこと。あとは会話の文字送りでボタンを押しているとそのまま選択肢のどれかが選ばれてしまうという、ダメアドベンチャーゲームあるある。
セーブデータが3つしかないのは、ゲームが短いから結果としては問題なかったけど…
唯一のゲーム要素である捜査パートでのポイントアンドクリック部分も、そもそもその機会が数回しか無いのに画面内のかなりちっちゃいところをクリックしないと進めない/アイテムが手に入らず、無駄に詰まってしまったり、アイテムを組み合わせるパズルでは組み合わせのヒントがなく総当りになったりと、ゲーム性が割と虚無。
特にトムキャットの記憶に入るためのアイテムが全然見つからなくて攻略を見たところ、攻略動画もなんか数十分そこで右往左往していた。
そしてようやく見つけたのが、チューリングの部屋の本棚だった。
調べられる箇所はなんか光らせたりヒントをくれたら良かったなぁ。まだ未調査なものは光らせるとかよくあるやつ。
実際、何度か調べるとそのたび違うテキスト見られるオブジェクトと、毎回同じセリフしか言わない(しかも章をまたいでも結構同じところを往復するため、その度変わってるように思えて変わってない)オブジェクトの見分けがつかず、結果余計なオブジェクトを調べる気がなくなりがち。
前作では無限に存在したフレーバーテキストも今回は控えめ、というかそもそも移動できる場所が少なく、あまり調べる気にならなかった。
オススメしたかった
前作を遊んだ身としては、思ったよりたくさん前作キャラが出てきて嬉しいし(むしろ出過ぎにも感じた)、チューリングが幸せに暮らしているだけでオススメといえばオススメなんだが…
あとは、腐った牛乳をアイテムとして手に入れられたのは胸熱だった。でも(自分が気づいていないだけかもしれないが)使い道がなかったのがとても悲しい。
リリースされたことは素晴らしいが、同時に切なくなってしまうという珍しい感情を味わうタイトルだった。