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台湾ルーツ旅行記 - 五日目 前編: ルーツ、発見

「バイク最高」

朝8時にバイクが届き、アクセル、ブレーキ、ライト、充電の仕方だけという、ものすごく簡単な説明をされてあっさり公道に出る許可をもらう。いいのか、それで。台湾の交通ルールなんて何も知らんぞ。しかも日本でもペーパーゴールドだぞ。
徒歩旅中にチラ見してたときに、二段階右折があるっぽいのと、バイクだけの信号待ちエリアがあるくらいは気づいたけども。

この電動バイク、最大でも30kmくらいしか出ないから免許不要らしい。でもヘルメットは必要。ただ、おっきな道ならともかく町中だとノーヘルも割とよく見る。あれはもはや電動とかそうじゃないとか関係なくノーヘルなんだろうな…

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一旦準備に戻り、色々用意したりダラダラして、9時に再出発。
荷物は当然カメラ、あとは昨日借りたガイドブックや、さっきバイク屋さんにもらったバイク充電場所の地図と、休憩ついでに日記を書けるかな、とPCも。水や食料は現地調達で。傘は持ってきたけど、バイクで雨降られたら… まあ、止むまで待とう。

いきなりの運転はさすがにちょっと怖いので歩道周りでモタモタするが、練習スペースがあるわけでもないのでとにかく出発してみる。あー、ゴーカート感。なんとかなりそう。

ホテルの周りはダウンタウンなので人通りが多い。だが30kmマックスのおかげでちょうどよく慣れられる。
そういえば右側通行だが、日本で運転していない自分には特に問題なく、ウインカー出すときにビービー鳴るうるささにびっくりしながら右折したりする。

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いきなり歩行者天国にぶち当たり、バイクOKっぽいが恐ろしいので迂回していったりしてると、なんとか国道に出る。人が少ないということ以外は特に変わらず、むしろ二車線で右がゆっくり車線なのでダウンタウンより楽。

割と順調に進んで、大きな二車線道路で左車線から左折したら、普通に警察官に止められる。内心、『あっ、人生終わったわ』ってなってたけど、とにかく言ってることが分からないのでアイムジャパニーズとか言ってたら「あー、だからか」みたいな顔をした後、めんどくさくなったのかもう行っていいよってジェスチャーされる。

捕まらなかったのは良かったが、二段階右折用のエリアが見つからなかった気がするのでどうすりゃよかったねんと英語で聞いてみるが、そこまでは英語がわからないらしくとにかく行っていいよと笑顔で見送られた。日本人最強か。もっと重大な何かをしても何とかなりそうとか思ってしまった。

ちなみに、大変行きあたりばったりのこの旅だが、一応地図の印刷やオフラインマップのダウンロード、あとガイドブック(昨日、偶然借りたものだが)を持ってたりするので、祖父の生誕地の場所までの行き方はなんとなくわかっている。
203道路をひたすら真っすぐ行けばじいちゃんの生誕地にも着けるし、島の西端まで行けるっぽいので、ただただ走る。間違えたらその都度修正すれば良いのだ。予定がない旅は間違っても困らないのが良い。

国道だと自分の横を普通のバイクや車がガンガン走っていくが、明らかに遅い自分でも全く煽られたりせず、快適に道の端っこをとろとろと走り続ける。地味に道路の質も良くて、穴空いてたり荒れてるとかもない。

しかし、背中のリュックの重さが徐々に存在感を増してくる。なぜ自分はいつもタブレットPCを持ち歩いてしまうのか。カメラはともかく。結局日記書くタイミングあんまり無いんだよな…

30分も走らない内にあっさりと自分の血の1/4を占めるらしい、ルーツの場所到着。澤邉村。
見事になにもない。家もない、人もない、草むらと廃墟しかなかった。

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事前にマップで見てた通り。そこらから工事の音が聞こえる。マップのポイントそのものにはたどりつけないので、裏から回ると海だった。たぶんホテルのある馬公市が向こう側に見える。

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まあ、そらそうよな。100年前だし。
そもそも、もし誰かいたとしても中国語一切喋れないのに何をしようというのか。まあ、誰かいて、じいちゃんが実はこのあたりに生まれてとかいう話をしたら「はいはい、○○さんね、知っとるわー」みたいな流れになって親類も発見できて… という展開を期待しなかったといえば嘘になるが。

でもまあ、少なくともここの海だけはそのときからあったわけだし、割と似た景色なんだろうなぁ〜、と、海沿いのベンチに座ってぼんやりと考えてた。

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社があったので拝んでから写真を撮り、工事してたので写真を撮り、廃墟があったので写真を撮り。家族や親戚への報告用素材を黙々と集める。

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工事中だからか立入禁止の柵を無視して奥まで進んでみると、「許」の文字がある廟を発見。じいちゃんの元の名字が許だったはずで、何か関係ありそうということで激写する。つっても、事前情報によるとそのあたりは昔からほぼ全員「許」らしいんだけどね…

その先まで進んでみても、整備された道の他には草むらしかない。草むらというか、もはや森。ちなみにこのあたりの土地は売ってるっぽい。買うか?
開発中のような、放置されているような、よくわからない。
とりあえず暑いので休みたいが、そういえばルーツの場所の石を拾ってこようと思ってたの忘れてて、もう一周してさっきの廟の壊れたかけらをいくつか拾ってきた。

改めて考えてみたが、やっぱりこの場所に来たから何かあるか、というのは無かったなぁ。むしろ、ルーツってなんだろう。100年前は自分は存在してなくて、その元となる存在がここで育ってて… うーん… とかモヤモヤ考えてた。
実はじいちゃんって台湾人なんだよって、親に重大な告白かのように言われて「ふーん」って返してた子供の頃より、おっさんになった今のほうがよっぽど考えている。

子供の頃は全然気にしてなかったし、というか忘れてたけど、大人になって台湾と関わるようになり、しかもその国が色々と大変な歴史を持っていたことを知って、実際に行ってみたろうかと考えて、なんとか一応来られて…
まあ、達成感はある。だからと言って、ここに骨を埋めますとか、台湾のために全力を尽くします!とかそういうことは特にない。
できれば中国語を話せるようになりたいな、くらいですね。

ルーツ探訪が一段落したので、澤邉村と思われるあたりをうろついてみる。と言っても特になにもないけど。

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それにしてもバイクってほんと便利。海岸沿いの細い道を走り倒し、関羽っぽい廟があったのでそこで休憩。次は北の橋を渡るかー。
しかし、ルーツ探訪がもう終わっちゃったけど残りの旅のモチベーションは保つのだろうか。

やたらと長くなったので前後編に分ける。


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