カウフマンらの声明文の矛盾点

■カウフマンらの声明の概要

ウイルス分離を細胞を培養している上清の回収によって行う手法だと、上清を遠心、フィルターろ過をしたとしても、細胞由来の物が混じっている可能性がある。そのため、電子顕微鏡像がウイルスなのか細胞由来の何らかのものかの識別実験を行わない限り分離とは言えない。したがって、これまで分離されたとされるウイルスのほとんどは真の意味での分離とは言えない。

■カウフマンらの声明で分離したと認定されたウイルスについて

カウフマンらは、声明の中で「バクテリオファージ」を分離に成功したウイルスと定義している。バクテリオファージとは、細胞ではなく細菌に感染するウイルスとして知られている。バクテリオファージ分離論文の例として、「Isolation, characterization and analysis of bacteriophages from the haloalkaline lake Elmenteita, Kenya(Juliah et al., 2019 PLOS ONE) 」を挙げている。

■カウフマンらの声明中の矛盾点について

カウフマンらは、ウイルスを何らかの遺伝物質に混ぜることなく分離することを条件に課している。しかし「Isolation, characterization and analysis of bacteriophages from the haloalkaline lake Elmenteita, Kenya」を拝読したところ、この論文中では、遺伝物質(細菌)に感染させる工程を介してバクテリオファージを分離しており、細菌由来の物質とバクテリオファージを識別するような実験は行っていない。この工程は彼らの定義と背反するものである。したがって、彼らがバクテリオファージを分離したと認定するのなら、培養細胞を介したウイルス分離も認める必要がある。

以下、プロトコル中で細菌を用いたことを示す文章

To recover phages, phages were collected from plates with confluent lysis and eluted by transferring agar overlayer aseptically into 10 ml of mid-log host cell culture in LB broth and incubated at 28°C with gentle shaking (overnight).(Juliah et al., 2019 PLOS ONE) 



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