丘の手から やさしい時間
ここに来てから
ほんの数メートルの横断歩道でも信号を待つようになった。
もちろんクルマの往来がなくてもだ。
なぜって
せっかくのこの街の空気を乱したくはないから。
おだやかな、この街の空気の一部になっていたいから。
ここは、いつだって深呼吸がしたくなる街だ。
喧騒とは無縁…っていうのかな。
都心のダウンで育った僕には未経験の「時間」だ。
カツカツと踵の音を響かせるような歩き方をしている人がいない。
だから、特に昼間は風鈴の音のようにやさしい時間が流れていく。
風や陽ざしのあるなしを皮膚感覚で感じるゆとりもある。
高層の建物がほとんどないから、空も広い。
街路樹、植栽、お家の庭 緑も豊富だ。
だけど それはあくまでも背景だ。
この時間をつくりだしているのは「人の営み」だ。
何がそうさせるのかは
今もわかってはいないけれど。
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