素人系パパバンドのセルフレコーディング奮闘記 Episode 4
さて、「タイに行ったアイツ」をパートごとに収録してなんとはなしに形ができてきた。勢いをつけようと「くだものがかりのテーマ」「持ってる男」等、アップテンポでシンプルな曲にチャレンジしていくようへいメンバーでありました。
超王道のロケンロールな「くだものがかりのテーマ」はそれこそ手癖でやれちゃうというか、これ以上ないぐらいのシンプルな楽曲なので、何も考えずにギターをじゃかじゃか、ベースをボンボン、と楽しくやっていました。
一方で、ちょっと苦労したのが「持ってる男」。
単純に弾いただけではスピード感が乗ってこない、単調になってしまうので、どうしたもんかと思いながらやっているうちに、ベースとギターで同じフレーズをユニゾンして、それをリフにしちゃおうと。試してみると思いのほか効果が良くて、ひとりでワクワクしながらやっていました。
このあたりこそがものづくりの醍醐味、沼にはまる危険地帯でもあります。
同時に思うのが、一体どこからどこまでが「作曲」で、どこから先が「編曲」で、どのあたりが「演奏」なんだろうか?というところ。昔の人は、頭のなかで音を鳴らして、まず譜面に書いていったのだと思うけど、いまは音を出してソフトに入れてみて、そのあといくらでも調整しながら考えられる。
一方で、コード進行にしてもメロディにしても、自分がいままで聴いたり歌ったりしてきたものが渾然一体となってミックスされたものを表出していて、意識的にも無意識的にもそれは「引用」とでもいうべきものであって。あらゆる作品は創造ではなく引用だ、なんて言い方もありますが、いざ自分もオリジナルのものづくりをやってみると、なかなか、よくわからない気持ちになります。
やはり、真のクリエイトというものには、先人の肩に乗ってはいながらも、その人独自の「発明」があってこそ、その称号を得られるのでしょう。
うっすらとそんなことを考えながら、とにかくGarageBandと戯れる日々。
収録したい曲がおおむね出揃ったあたりで、ならべて聴いてみたところで、「あれっ」という違和感を覚えたのでした。必要な要素は揃えていて、組み合わせも終えた。もしかしたらもうこれで完成、としてもいいんじゃないの?ぐらいに思っていたのだけれど、どうにも隠しようのないチープさというか、これは完成品として人様に配信させていただくものになる「以前」のものであって、なにかが明らかに足りない。
材料を洗って、切って、鍋に投入したとして、しかしそれだけでは、料理にはならない。そこから先の熱処理や盛り付けがあってこそ、口に入れて美味しいものになる。
それは一体、なんなのか?
どうやら、「ミックスダウン」とか「マスタリング」と呼ばれる工程があるらしい。恐る恐る、その世界に入門することで「ああ、そういうことだったのか!」と、目から鱗が落ちる感動と出会えることになったのでした。
(ようへい)