勝点は失ったが希望は残った:第32節 鹿児島ユナイテッドFC対栃木SC
鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは、仙太郎です。
中断明けは負けが続いている鹿児島ユナイテッドFCですが、私も現地で応援したアウェイ栃木との試合を振り返ります。
前節からのスタメン変更は6人。広瀬、外山、中原、山口、沼田、チャーリーが外れ、井林、野嶽、藤村、稲葉、圓道、鈴木選手が入りました。先発メンバーに関しては、まだまだ手探りの状況が続いています。
前半:組織力と個々のパフォーマンスが融合した素晴らしい内容
鹿児島ユナイテッドFCは、この試合の前半において、中断明けから最も内容の濃いプレーを見せ、浅野監督就任後で最も統制の取れたプレーが実行されていました。特筆すべきは、縦パスを使った攻撃の展開です。縦パスを受けた選手が前向きの選手へワンタッチでパスし、スムーズに攻撃を展開する場面が数多く見られました。これは前節までは見られないプレーであり、これにより中央とサイドの両方をバランスよく活用でき、栃木SCの守備を突破してチャンスを生み出していました。
特に有田稜選手と鈴木選手が、攻撃の要として機能しました。有田選手は前線でボールをキープし、相手DFを引きつけ、ヒールパスなどで味方を使いながら栃木SCのプレスを無効化し、攻撃を組み立てる役割を果たしました。一方、鈴木選手はその動き出しの早さで、守備から攻撃への切り替えをスムーズに行い、栃木SCの守備に脅威を与えていました。この2選手の連携が、前半の鹿児島の攻撃を支えたと言えます。
また、カウンターの局面でも、鹿児島は相手の守備陣の戻り具合を冷静に判断し、無理に速攻を仕掛けることなく、時にはテンポを落としながらボールを保持することで安定感を生み出しました。藤村選手がこの場面でゲームのリズムを巧みに調整し、中盤でのポゼッションを安定させたことで、攻撃が単調になることを防ぎ、チーム全体が落ち着いてプレーできていました。
守備と攻撃の両立:ショートパスによるビルドアップと高い守備意識
鹿児島の攻撃は、ショートパスを中心にビルドアップが行われ、相手にボールを奪われた際にも、すぐにプレスをかけて再度ボールを奪い返すことができていました。ビルドアップ時のポジショニングも非常に良く、ボールが失われた瞬間に複数の選手が集まってプレスを仕掛け、素早くボールを奪取することで栃木SCに攻撃のチャンスを与えませんでした。
さらに、相手DFライン裏を狙うパスが失敗しても、鹿児島は押し上げが早く、前線からのプレスを継続していたため、栃木SCはボールを前に運ぶことが難しくなっていました。これにより、鹿児島はボールを保持しながら栃木SCの守備を崩す形を作り出していました。前半を通して、攻守のバランスが取れたプレーを展開しており、鹿児島にとって理想的な試合展開でした。追加点を挙げることを除いては。
後半:守備強度を維持しつつも、選手交代後に失速
後半も鹿児島は前半と同様に、高い守備強度を維持し、栃木SCに決定的なチャンスを与えることなく試合を進めていました。しかし、試合が進み70分を過ぎたあたりから、栃木が攻勢に転じる場面が増えてきました。この時間帯になると、前からのプレスと後方の押し上げが連動しなくなり、鹿児島の守備ラインが徐々に後ろに下がり始めました。さらに、鹿児島の選手たちの疲労が見え始め、攻撃時の押し上げも不十分になり、ボールを奪われた際のプレッシングが機能しなくなりました。
特に、有田稜選手と鈴木選手の交代が、チームに大きな影響を与えました。彼らは攻撃の核として活躍するだけでなく、守備時にも時には前線からのプレスをかけ、時にはゾーンで守り、相手の攻撃を抑制する役割を果たしていました。しかし、交代後に入った選手たちは前線からのプレスを積極的に仕掛けようとする一方で、交代していない選手たちは疲労と得点を守りたい意識が強く、チーム全体のプレスの統一感が崩れてしまいました。これにより、栃木SCが徐々に試合の主導権を握り始め、同点ゴールを奪われる結果となりました。
終盤の失点と試合の流れの変化
栃木SCの同点ゴールは、ポストに当たったボールが泉森選手に跳ね返り、結果的にゴールインするという予想外の失点でした。この場面では泉森選手の判断ミスとパンチングミスがありましたが、チームの守備が完全に崩れていたわけではありませんでした。しかし、この同点ゴールが栃木SCに勢いを与え、鹿児島にとっては試合の流れを変えるターニングポイントとなりました。
この試合でも泉森選手の気合いは、スタジアムで見ていても伝わるほどでした。俺が守って、チームを勝たせてやるという気持ちが前面出て、積極的に前に出てパンチングする場面も多々見られました。それだけにこのシーンは見ていて辛かったです。
さらに、試合終了間際にPKを与えた場面では、藤村選手がボールを追いかけて南野選手と接触し、ファウルを取られました。このプレーは南野選手の巧妙な動きによるPK誘発でしたが、審判の判断は適切であり、VARのない中で覆ることはありませんでした。
これも普通なら南野選手に加速されて、前に行かれたら諦めてもおかしくはないのですが、90分走り続けた藤村選手が更に追いかけて起こったファウルでした。それだけに悔しかったですよね。
まとめ:試合の教訓と今後の課題
鹿児島ユナイテッドFCは、この試合を通じて、前半から70分まで統一された戦術を実行し、浅野監督が目指すサッカーが目の前に現れました。特に有田稜選手と鈴木選手の存在が攻撃面で大きな役割を果たし、藤村選手が中盤で攻撃のリズムをコントロールしたことで、チーム全体がまとまりを持ってプレーできていました。しかし、交代後の選手が前線からプレスをかけようとする一方で、疲労した選手たちとの連携が乱れ、守備の組織が崩れたことが逆転負けの要因となりました。
ただこれも選手を責める気持ちはありません。選手ひとり一人は勝つために必死にプレーしています。それをひとつにまとめるのは監督であり、コーチです。それがこれまでと違い終盤までできていたので、それだけに残念でなりません。
今後、鹿児島は試合全体を通じて守備と攻撃のバランスを維持し、交代選手が入った後も戦術を徹底することが重要です。試合終盤まで良い内容を見せていただけに非常に惜しい敗戦でしたが、この試合で得た手応えを活かし、次の試合ではより一層の戦術浸透と、90分間を通して集中力を持続させることが求められます。
試合後の感想
正直、勝てる試合を落としたというのが率直な感想です。試合終盤まで良いプレーができていただけに、非常に残念な結果でした。しかし、途中までは素晴らしいプレーがあったので、これを次の試合でも90分間続けることができれば、連敗脱出も可能だと思います。
残留争いの直接対決で2連敗してしまい、残留は厳しくなってきました。しかし、7連敗中は希望がありませんでしたが、この試合は違います。負けたものの、希望は残りました。
選手たちも連敗や残留への意識が強く、自由にプレーできていない部分があるかもしれません。しかし、残留や連敗を気にせず、鹿児島らしい攻撃的なサッカーを思い切ってプレーしてほしいです。それで勝つかどうかは分かりませんが、やらずに負けたら後悔しか残りません。
少なくともこの日は負けて悔しい思いはありましたが、心は穏やかでした。中断明けの試合ではモヤモヤが晴れませんでしたが、この日は違いました。鹿児島もできるし、やれると思えた試合でした。
だから、選手を責める言葉には全く同意できません。選手たちは必死に勝とうとしています。結果は重要ですが、それだけにこだわると大事なものを見失います。
もし試合後に批判されたことで、次の試合では全く違う選手や戦術を採用したら、この日からの積み上げはできません。それではまた最初から、積み上げる必要が出てきて、前に進むことができません。
残留の可能性が低くなった今こそ、開き直って鹿児島らしいサッカーを見せてほしいと思います。
次はホームの水戸戦です。ホーム白波の応援、よろしくお願いします。
私はDAZNで応援します。
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チェストー!鹿児島ユナイテッド!