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最後のプレーで何が起こったのか?失った勝ち点の謎 第24節 鹿児島対群馬

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは仙太郎です。

残留争いしている直接ライバルとの試合なので是が非でも勝ちたい我らが鹿児島ユナイテッドFC。連敗して迎えたホームの群馬戦振り返っていきます。

前節からのスタメン変更は3人で、野嶽、戸根、山口選手が外れ、渡邉、井林、中原選手が入りました。山口選手は警告累積での出場停止になります。

鹿児島ユナイテッドFC
この日の鹿児島の攻撃は好調とは言えませんでした。この試合では前節と違い、圓道選手が左、田中選手が右に入ります。しかし田中選手は中に入り、幅が取れません。相手ツートップに対して鹿児島のCB二枚でビルドアップするので、渡邉選手はビルドアップを助けるために低い位置にいることが多く、高い位置が取れません。そのため、右サイドの攻撃が機能不全に陥りました。

30分 鹿児島のチャンスの場面。小さくなったクリアボールを田中選手が拾い、それを中央の中原選手へパス。中原選手は大外の外山選手がフリーであることを確認して、ダイレクトでセンタリング。完全にフリーな外山選手がダイレクトで合わせるが惜しくも枠を外す

ただし、田中選手が中でボールを受けられたときはチャンスになっていました。であれば、ボランチをCB間に下げて3枚でビルドアップし、渡邉選手を高い位置に上げたかったと思います。おそらく渡邉選手には、ボールをロストしたときの守備的なタスクも与えられていたのでしょう。

左サイドでは、圓道選手が中に入ることもありましたが、適宜外山選手が空けたスペースに走り込んでいました。しかし、右サイドに誰もいないため、逆サイドでフリーになる選手がいません。そこからセンタリングしても体勢的に難しく、得点の可能性は低くなり、ゴール期待値は低いものとなっています。

76分 群馬の決定的なヘディングシュートの場面。背の高い群馬のCB大畑選手がフリーでいる。ここをフリーにするのはあまりにも危険。結果ヘディングシュートを許すも、バーに助けられた

また、右サイドに人がいないことが多いため、最後の崩しの場面で中央を狙うことが多く、そこはCB二枚ががっちり守っているので、通れば得点の可能性は高いですが、そもそもパスが通る確率は低いです。

GK櫛引選手のポジションが高めで、前に出てくる判断も良かったため、鹿児島の攻撃を苦しめていました。

ゴール前で下がり過ぎてしまい、バイタルエリアががら空きでミドルシュートも狙われました。枠を外してくれたから良かったものの、泉森選手から一発裏を狙うのも良いですが、もう少しボールを保持しないと苦しいです。それができて初めて相手は前に出てきて、後ろのスペースが空きます。毎回蹴っていたら相手に読まれて対応されてしまいます。

81分 群馬の決定的な場面。ミドルシュートの打ち損ねが群馬の選手に渡る。この時、岡本選手が残っているのでオフサイドではない。幸いトラップをミスして、シュートも枠を外れて難を逃れた

ボール保持もできれば、今回のように試合終盤でリードしている場面で時間を稼ぐこともでき、その結果守備も落ち着いてできます。この日のように何でもかんでもボールを蹴っていたら、守備の局面が続き、守備組織が崩れやすくなり、体を張ったディフェンスになってしまいます。これは一昨年からの鹿児島の課題でもあります。

得点の場面は、五領選手の良いディフェンスからボールを奪取。群馬のCBの1人が前に出てきたため、その裏のスペースに流れた有田選手への浮き球のパス。この浮き球のパスが素晴らしかったです。普通のFWではなかなか出せない鈴木選手のマルチロールなスキルが生きたパスでした。これで相手CBと1対1となった有田選手は、最初からシュートを打つと決めていて、中に切れ込んでシュート。相手選手に当たりはしましたが、そのままゴール。

83分 鹿児島のチャンスの場面。有田選手のいいディフェンスからボールを奪取して、そこからのショートカウンター。群馬のCBが前に出てきたので、その裏へのパスを選択。通っていれば決定的なチャンスだったが、パスは少し長く櫛引選手にキャッチされる

最後の失点の場面

最後の失点の場面をしっかり振り返りましょう。どうすれば失点を防げたのでしょうか。まず、武選手のファウルは不要でした。ファウルがなければ群馬ボールのスローインです。スローインは遠くまで飛ばせません。次にファウルを取られた武選手は審判にアピールしています。多分、マイボールとアピールしていたのでしょう。ただ、ここですべきはアピールすることではなく、ボールの前に立ってすぐにボールを蹴らせないようにして、味方が戻れる時間を作るべきでした。

ファウルは仕方ないにせよ、倒した後に審判にアピールしている武選手。だがここでやるべきはアピールではなく、ボールの前に立ってリスタートを遅らせて、味方が戻れる時間を作ること
結果として、そのままロングボールを蹴られてしまい失点してしまう。ユーロ決勝のスペインはリードした試合終盤、ファウルで相手を止めたが、すぐにボールの前に立ちリスタートを遅らせていた。勝利の神は細部に宿る。

しかし、時間を作ることができずにロングボールを蹴られてしまいます。ただ、このボールは戸根選手が対応でき、五領選手にヘディングでつなごうとします。ただし、このボールがそれてしまい相手ボールになります。しかも、そのボールに五領選手がプレスに行ったので、相手はそのまま浮き球のパスを前に送り、ひとり少ない状態での対応を強いられました。

戻る時間を作れなかったため、DFラインと前線との距離が離れ、バイタルゾーンに大きなスペースを与えてしまいました。そこに川上選手がドリブルで侵入してきて、マークを外した佐川選手へパス。
この時、佐川選手に岡本選手が持ち場を離れて迎撃に出たのですが、佐川選手に切り返され、しかも同じくマークに来た千布選手とバッティングしてしまい、一瞬マークが外れてしまい、ゴールを決められてしまいました。

シュート自体は素晴らしいゴラッソだったので仕方ありませんが、その前の時点でやるべきことをやらないと、最後にこういう結果になるということです。

これは武、戸根、岡本、千布選手を個人攻撃したいわけではありません。二度と同じことが起こらないように、あえて記載させていただきました。実際、昨年のY.S.C.C.戦で試合終盤のフリーキックから同点に追いつかれた苦い経験があるからです。この時もフリーキックの際に誰も前に立って時間稼ぎをせず、鹿児島の選手がゴール前に戻りきる前に蹴られてバタバタする中で同点ゴールを決められてしまいました。

97分 群馬の同点ゴールの場面。戻れる時間がなかった鹿児島は前後の距離が空き、バイタルゾーンに大きなスペースを与えてしまっている。そこで簡単にセンタリングしてくれれば対応できたと思うが、そのスペースに川上選手がドリブルで侵入。この時、佐川選手は外山選手と併走して裏を狙いマークされている状態だった。
しかし佐川選手は止まって少し戻ったことで、外山選手のマークを外してフリーになっている。この時、千布選手はドリブルの対応するために、少し川上選手へ注意が行っている
パスを受けた佐川選手が前を向いたので、急いで岡本選手が迎撃に向かうが、少し遅れている。そして千布選手も遅れながらマークしに急行
この時、佐川選手に切り替えされ、千布選手は逆方向だったので付いていけず、岡本選手が付いていこうとしたが千布選手にぶつかりそうになり、フリーでシュートを打たれてしまった。元々、岡本選手がいたスペースにシュートを打たれている

ザスパ群馬

対戦相手の群馬は最下位に沈んでいるとは思えないほどのプレーを見せてくれました。
鹿児島の二枚のプレスに対して3CBでビルドアップし、安定してビルドアップでき、ロングボールとショートパスを組み合わせたビルドアップで攻撃の形はできていました。ただし、最後のフィニッシュの精度が高くないため、得点できていませんでした。噛み合えば先週のように4点取れて勝てますし、この日も内容的には群馬が勝ってもおかしくない試合でした。

いつも壮観な大旗隊のみなさん。かっこいい!

総 評
最後に勝ち点3を失ったように感じられる試合ですが、内容を考えると勝ち点1でも満足しなければならない試合だったと思います。前節のゴール期待値(0.28対1.31)も酷かったですが、今節も0.66対1.43と倍以上の差を付けられていますし、実際試合を見た感想と概ね一致しています。

幸運にも先制できたので、勝ち点3をなんとか欲しかった試合ではあります。ただ試合は結果も大事ですが、内容も大事です。いつも言っているように、課題を解決して一歩一歩前に進んでいかないと、長いシーズンを乗り切ることができません。

90分 鹿児島の得点の場面。五領選手が相手選手の死角からプレスを掛けてボール奪取。そのボールを鈴木選手が拾い相手CBが前に出たと見るや、その裏に走り込んでいた有田選手へ浮き球のパス。この得点の半分は鈴木選手にあげたい

そういう意味で言うと、最近勝ちのない三試合を見ると攻撃面が改善されていないどころか、退化しているように見えるのが残念です。そしていつものように、ほんのひとつの小さなミスから失点する。この流れを断ち切らないと、今後の試合も厳しくなるでしょう。

監督が言うとおり、勝ちきらなければならない試合だったでしょう。しかし言葉でそう言うだけでは決して問題は解決されず、また同じ悲劇が起こります。この失った勝ち点2がシーズン終盤に影響しないことを願ってこのブログを終わりにさせていただきます。

We are challengers!
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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