覇気を欠いた鹿児島、徳島に完敗:J2第37節 徳島ヴォルティス対鹿児島ユナイテッドFC
鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん こんにちは仙太郎です。アウェイ ポカリスエットスタジアムで開催された、明治安田J2リーグ第37節 徳島ヴォルティス対鹿児島ユナイテッドFCの試合を振り返ります。
徳島対鹿児島の一戦は、両チームのシーズン後半における運命の違いを象徴する内容となった。序盤から徳島が鹿児島を圧倒する場面が目立ち、特にサイドチェンジを多用しながら鹿児島の守備の弱点を突くプレーが印象的だった。
鹿児島ユナイテッドFCは前節と同じスターティングメンバーで臨んだが、チームの意図するプレースタイルが見えにくく、特に守備の面での弱さが露呈した。徳島は、サイドチェンジを多用しながら鹿児島のスライド守備の遅れを狙い、サイドバックの守備力が弱い部分を意図的に攻めていたように見えた。特に徳島のワンタッチ、ツータッチでの素早いパス回しが鹿児島のプレスをかわす場面は多く、鹿児島の守備陣はその速さについていけない状況が続いた。
徳島の鹿沼選手は、ビルドアップ時に後方に下がってポゼッションを安定させたり、鹿児島のツートップの間でボールを受けることで、前線からのプレスを無効化する役割を果たしていた。また、カイケ選手がボールを持ち上がる場面も見られ、これが地味ながらプレス回避に効果的でした。鹿児島は前からプレスをかけようと試みたが、そのスピードや強度は徳島に比べて劣り、ボールを奪うことができず、結局は徳島にボールを前進させられる結果となってしまった。
鹿児島の守備の課題は明確であった。最終ラインは(オフサイドが取れないので)センターラインを超えて上げられないので、前からプレスを掛けるなら、FWは前方向へのパスを出させてはいけない。なぜなら前からプレスを掛けるにもかかわらず、最終ラインは押し上げられないので、ライン間の間延びが目立ち、その結果として中盤やサイドに大きなスペースが生まれた。徳島がサイドチェンジを行った際のスライドも遅く、プレスバックも速くなかったため、相手に自由を与える結果となった。特にサイドでの守備の甘さは顕著であり、徳島の攻撃を許してしまう要因となった。
攻撃面でも鹿児島は精彩を欠いた。ボール保持率は54%対46%で徳島がやや優勢であったものの、それ以上に内容の差が大きかった。ゴール期待値は徳島が1.24に対して鹿児島は0.27と、得点に結びつくようなチャンスをほとんど作れなかったことを示している。鹿児島は徳島の守備を崩すことができず、相手ゴールに迫る場面はほとんど見られなかった。
シーズン序盤では同じように下位にいた徳島と鹿児島だが、この試合を通して感じたのは、両チームの運命を分けたのは戦術的な意識の差であった。徳島は攻守にわたってチームとしての連携が取れており、選手個々のクオリティ以上にチーム全体で戦う姿勢が見られた。一方、鹿児島は守備でも攻撃でも覇気がなく、降格が決まったことが影響しているのかもしれないが、それでも少なくない数のサポーターがアウェイの徳島まで駆けつけてくれたことを考えると、全力を尽くさないといけない。
選手のクオリティについて論じる前に、まず守備の強度を高める、プレスのスピードを上げるなど、チームとしてやれることをしっかりと行う必要がある。特に今回の試合では、前線からのプレスが緩く、相手に自由にパスを回されてしまったことが敗因の一つであった。しかし、これは選手だけの責任ではない。監督やコーチが選手に対して要求していく必要があり、できない選手は使わないという厳しい選択も時には必要である。
徳島ヴォルティスは、シーズン後半に入り着実に順位を上げ、プレーオフ進出を視野に入れている。鹿児島ユナイテッドFCは降格が決まってしまったが、選手たちがもう一度チームとしての戦い方を再確認し、最後まで諦めずに戦う姿勢を見せることが求められている。今回の試合はその差が如実に現れた一戦であり、次節、シーズン最後のホーム白波スタジアム 岡山戦での立て直しに期待したい。