
風に負けた?いいえ戦術に負けた: 第2節 鹿児島ユナイテッドFC vs ツエーゲン金沢
金沢の戦術的優位が際立った一戦
ユナサポ: 鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは。さて、J3リーグ第2節の鹿児島ユナイテッドFC vs ツエーゲン金沢について、仙太郎さんと振り返っていきたいと思います。仙太郎さん、よろしくお願いします。
仙太郎: よろしくお願いします。鹿児島にとっては開幕戦に続く試合でしたが、金沢にとっては今季の初戦。コンディション面では鹿児島が有利に見えましたが、結果的には金沢の戦術が光る試合になりましたね。金沢は先週の讃岐戦をかなり分析して、この試合に臨んだことが窺える試合でした。
ユナサポ: 鹿児島はホームということもあり、スタートから勢いを持ってプレーできるはずでしたが、蓋を開けてみると金沢が主導権を握る展開でしたね。
仙太郎: そうですね。鹿児島は自分たちの強みを活かそうとしましたが、金沢がしっかりと対策をしていたことで、その攻撃を封じられてしまいました。

試合の流れ
ユナサポ: 試合開始直後から金沢のプレッシングとビルドアップが光っていましたね。まずボール保持時は、3バックを採用することで、鹿児島の2トップがプレッシャーをかけにくい状況を作っていました。
仙太郎: はい、それに加えて金沢はサイドをうまく使いながら攻撃を組み立てていました。鹿児島は4-4-2のブロックを敷いて中央を締めていましたが、結果的にサイドのスペースを生んでしまいました。金沢の左ウィングの西谷選手が効果的にボールを受ける場面が多かったです。金沢の3バックにプレッシャーが掛からないので、簡単にサイドにボールを出されていました。
ユナサポ: 先制点と追加点もサイドからの攻撃が起点でしたね。鹿児島の右サイドのスペースを使われて、突破を許してしまいました。
仙太郎: そうですね。さらに2点目は1対1から突破され、クロスへの対応が課題となりました。鹿児島のGK山内選手が判断ミスをしてしまい、金沢に追加点を与えてしまった形です。ただ西谷選手のセンタリングの質が高かったですよね。なので判断を間違ったんだと思います。

鹿児島の攻撃は封じられる
ユナサポ: 鹿児島の攻撃は開幕戦と同様にロングボール主体でしたが、金沢は完全に対策を練っていた印象でした。
仙太郎: はい。前半は向かい風の影響もありましたが、それ以上に金沢のDFラインの統率が取れていて、鹿児島の裏を狙う攻撃をしっかりとカバーしていました。
ユナサポ: 後半になると、金沢のGKが高いポジションを取ってスペースを消す動きもありましたね。
仙太郎: その通りです。これにより、鹿児島のロングボール戦術はほとんど機能しなくなりました。シュート数では鹿児島が金沢を上回っていましたが、決定機はほとんど作れませんでした。

金沢の戦術的優位
ユナサポ: 金沢の守備は5バックを基本にしながら、サイドハーフが前に出て鹿児島のCBにプレスをかけることで、状況に応じて5-3-2や5-2-3の形を使い分けていましたね。
仙太郎: ええ、鹿児島のパスの出所にプレッシャーが掛かるので、鹿児島のビルドアップを難しくして、ミスパスを誘発していました。これは単なる個人のミスではなく、金沢の組織的な守備が機能していた結果です。また金沢の前へのプレスやスライドの強度は、鹿児島のそれを上回っていました。
ユナサポ: 試合後の伊藤監督のコメントでも、それが裏付けられていました。
「鹿児島さん対策というか、我々が準備していたものがよくハマったゲームでしたし、用意していたものがすごくいっぱい出せた前半45分だったと思います。」
仙太郎: 金沢も後半は、2点リードしていたこともあり、前への守備強度は下がり、鹿児島がボールを持てる展開になりましたが、それにより金沢のゴール前でのスペースがなくなり、ボールは持てるけど、決定的な場面が作れなかったですね。後半1点を返された後も、普通は残り時間少ないと、引いて守るケースが多いのですが、金沢は守備を固めるのではなく、むしろプレスを強めて前線の選手を入れ替えながら圧力をかけ続けました。このメンタルの強さも、勝因の一つでしたね。

鹿児島の課題と今後の展望
ユナサポ: 鹿児島はロングボールに依存した攻撃が封じられると、打開策を見出せない現状があるという課題が浮き彫りになりましたね。
仙太郎: そうですね。守備面でも4-4-2の構造的な弱点が露呈しました。中央を締めることで、危険な中央のエリアを守れるメリットはあるのですが、サイドにスペースを与えてしまうこの形を採用するならば、スライドの速度を向上させるか、5バックにしてウィングバックが対応する形を考える必要があります。

また金沢のビルドアップに対しては、3トップにして、パス出しの所にプレッシャーを掛ける方法も有効だと思います。中盤の選手が前に行くには、距離もあり時間が掛かるので、あまり相手のCBにはプレッシャーが掛からないですからね。ただその場合、中盤の枚数が減るので、その分スライドの強度上げないと、厳しくなりますが、前からきちんとプレス掛けて、パスコースを限定できれば対応は可能だと思います。
ユナサポ: 試合後の相馬監督は「風の影響が大きかった」とコメントしていましたが、それだけが敗因とは言えないですよね。
仙太郎: その通りです。風の影響は確かにありましたが、それが全てではないですよね。金沢はコイントスでサイドを選択、つまり風上を選択したようですから、金沢の作戦勝ちなのは間違いないです。まんまと術中にはまった感は否めないですね。金沢の戦術に対して鹿児島が適応できなかったことこそが最大の要因でしょう。今後の試合では、より柔軟なプレースタイルが求められると思います。

ユナサポ: 次節に向けて、鹿児島がどのように修正してくるかがポイントになりそうですね。
仙太郎: そうですね。金沢のように相手に応じた柔軟な戦術を取れるかどうか。次の試合が鹿児島にとって大きな試金石となるでしょう。次の相模原も讃岐、金沢同様5バックだと思うので。
今心配なのは、開幕戦や金沢戦後のコメントで相馬監督が、風の影響があったので対策が必要と言われていたのですが、開幕2試合の最大の課題は風ではないと思うので、そこを対処できないと、今後も苦しい戦いが続くことになるかもしれません。
ユナサポ: では、次節の鹿児島の戦いに注目しましょう。仙太郎さん、解説ありがとうございました!
仙太郎: こちらこそ、ありがとうございました。次の相模原戦は私も現地で応援します。今シーズン初勝利を目指して、応援頑張りましょう。
全員:「チェスト、鹿児島ユナイテッド!」
※写真提供:unaちゃむさん


