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歩き続けよう、ゴールまでは長い 第13節 鹿児島対八戸

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは仙太郎です。豪雨の中で迎えたホーム白波での八戸戦。結果的には約2ヶ月ぶりの敗戦となりましたが、内容的にはどうだったのでしょうか。それでは振り返っていきましょう。

鹿児島対八戸 スターティングメンバー

直近のリーグ戦からのスタメン変更は1人で戸根選手が外れ、岡本選手が入ります。

試合自体は、予想通り鹿児島が押して八戸が守る展開となりました。ところがひとつのプレーから試合の流れは大きく変わります。

まず前半26分に藤本選手が得意の速いプレスで相手のCBからボールを奪いゴールに向かって独走します。そしてそこから素晴らしいアイディアのループシュートをするところまでは良かったのですが、そのループシュートが枠を外して決定的なチャンスを逃します。これがひとつめのポイントでした。

そしてその直後に厳しい八戸のプレスから鹿児島がビルドアップのミスを誘発させられ、ゴール前で相手FWの長谷川選手に決定的なチャンスを与えますが、ここは広瀬選手が体を当ててボールを奪い難を逃れます(ちょっとPKぽかったですが)。ただここが流れを変えました。このあと八戸はさらに前からのプレスを続け、その流れから前半の28分に先制点を許します。その間、わずかに2分。ほんとうに一瞬の隙をつかれました。

前半28分、八戸の先制の場面。左サイドからセンタリングが入る直前のゴール前。岡本選手(赤点線丸)と佐藤選手(黄色点線丸)のポジショニングに注目。佐藤選手は誰にもマークされない絶妙のポジショニングをしている
センタリングが入った瞬間の場面。本来、岡本選手は佐藤選手をマークに行かなければならない(赤色点線矢印)が、ボールを奪いに行って(黄色点線矢印)佐藤選手にターンされてまえを向かれてしまい、シュートを打たれてしまう

前節より八戸は前プレス厳しかったと思います。それは鹿児島を徹底的に研究しているからでしょう。このあたりも事前の想定とは違う戦術で来られたので、ビルドアップのミスに繋がった可能性はあり、そうであれば試合中にそれを修正していく必要があります。やはり上位に来ると当然相手のマークも厳しくなります。ただそこを勝ち抜かないと優勝や昇格はありません。

今の鹿児島は自分たちのサッカーに自信があるので、そのサッカーで勝つという意識自体はいいのですが、もう少し相手に合わせて微修正してもいいかと思います。

明らかに八戸はビルドアップを狙っていたので、簡単にロングキックを蹴っても良かったと思います。相手ボールになっても崩される場面は少なかったですし、八戸は相手のボール保持が前提の戦術なので、ボールを持たされると戦い方が難しくなると思います。

また福田選手がボール持つと複数人、最低2人、3人4人来る時もあり徹底的にマークされていました。一人が縦きり、もうひとりが中をカバー、突破にかかっても体ぶつけて自由にプレーさせない。ここは徹底されていましたね。

前半の鹿児島の攻撃の場面。八戸の選手が7人PA内にいる。ボールサイドにも3人がいて、フィールドプレイヤー10人が全員戻っている。しかも八戸の最終ラインが揃っている。これセットプレーではなく、通常のプレーでの出来事。よくトレーニングされているのが、よく分かる一枚。

八戸は中央を守る意識高く、サイドはボール出たら素早く寄せます。5バックなので基本DFラインの5人の選手は眼の前の選手にボールが来れば飛び出してプレスを掛けます。なので右の五領選手にパスが出ればSBが前進するのでその裏にスペースができます。またFWにパスが入れば激しくCBが寄せて来るので、その横や裏にはスペースができます。だから鹿児島としてはその空いたスペースに走り込んで攻撃したいのですが、チームとしてそこを狙うようではなかったですね。選手同士の関係性の中で2回ほどは裏のスペースを使えていましが。

ただSBの裏は狙い目だったのですが、八戸の選手がマン・ツー・マンで着いくることも多かったですし、一度野嶽選手が裏抜けした時も後ろから追いかけてきてスライディグして、センタリングを阻止しようとしています。このあたりの守備意識の徹底はお見事としか言いようがありません。

縦パスをFWに当てると相手CBが食いついてくるので、一度中原選手から藤本選手へ縦パスが入り、藤本選手がワンタッチでそらして、木村選手が藤本選手が空けたスペースに走り込む場面でも、GKが素早く寄せてシュートコースを消していました。木村選手が倒されたのはPKだと思うんですが、じゃ倒されなかったらゴール決まっていたかどうかは5050だったと思います。

後半15分 鹿児島の決定的チャンスの場面。中原選手から藤本選手へ縦パスが通り、CBが厳しく寄せるが藤本選手がワンタッチでCBが空けたスペースに流す。そこに木村選手が走り込み、決定的チャンスとなり倒されるもPKの判定はなし
ボールにアタックせず、後ろから倒しているので厳密にはPKですが、この時審判は倒した選手の後ろから見ているので、よく見えていなかったと思います。本来であれば福田選手(背番号18番)とボールの間くらいに位置(赤点線丸)する必要があります


八戸の攻撃は基本ロングボールで、こちらは驚きはなくて、(失点シーン以外は)対応できていたと思います。八戸は守備時のポジションしっかりしていますし、とにかく抜かれても歩いている選手いなくて、全員が全力で守備をしていました。

藤本選手がループシュートを外した場面でも、左サイドから福田選手が走り込んでいるのですが、そこも八戸の選手が走ってついてきています。福田選手もスピードのある選手ですが、そこについていくということは全力で戻っているわけです。また藤本選手の後ろからも八戸のCBが全力で戻っていて、その足音は藤本選手は聞こえていると思うので、少し焦って外した可能性もあります。

別の所でも解説していますが、野嶽選手が裏抜けした時も八戸の選手が戻ってきて、スライディグしています。これらは一見すると地味なようですが、ほんとに重要なプレーで、こういう細かいプレーが得点失点を決定づけたりもします。

プロなんだから、当たり前だろという声もあるかと思いますが、選手だって人間なので疲れていれば走れないときだってあります。でもそこを一切手を抜くことなく走りきれる八戸は素晴らしいチームだったと思います。監督がいくら走れと言っても、実際に走るのは生身の人間である選手ですからね。

後半21分の鹿児島の攻撃。鹿児島の右ウィングのマークに飛び出した八戸のSBとCBが飛び出したスペースに右SBの野嶽選手が走り込み、そこに広瀬選手から絶妙のスルーパスが出るシーン。完全に裏を取ったと思われたのですが......
一度は裏を取られた八戸のCBが全力でも戻りスライディグしてパスコースを限定している。本来は黄色点線矢印のようにマイナスに折り返したほうが、得点のチャンスは大きかったのですが、これで仕方なくゴール方面にセンタリングして得点にはなりませんでした

鹿児島の失点シーンですが、相手GKのロングキックを野嶽選手がなぜかCBの近くへポジショニングしていて、相手FW佐々木選手とヘディング競るも負け、サイドで1対2作られてセンタリングされ、岡本選手が八戸の佐藤選手に入れ替わられてシュートされます。バーに当たったこぼれ球を佐々木に押し込まれました。

この時、問題が2つありましてSBの野嶽選手が相手の背の高い佐々木選手と競り合っています。これだと身長が低い野嶽選手が負けるのは当然です。ただその後も野嶽選手は懸命にボールに追いつきますが、サイドで2対1を作られて、縦の突破されます。八戸のSBはめったに上がってこないのですが、リスクを負ってここぞのタイミングで上がってきました。この判断も見事です。最後、野嶽選手がスライディグして足を伸ばすのですが、ギリギリ間に合わず、ボールはゴール正面に向かいます。

ここで八戸の佐藤選手が絶妙なポジショニングでフリーになっています。この時、彼をマークするのは岡本選手なのですが、彼はセンタリングされたボールに反応して触りに行こうとするのですが、触れずに佐藤選手に体を入れ替えられて、シュートされます。このときは岡本選手がギリギリ体を寄せたことでバーに当たり跳ね返されたのですが、こぼれ球を佐々木選手に押し込まれます。

ゴール正面の場合は、ボールを奪うことよりゴールを守る方が優先されます。だから岡本選手はこの時、ボールに行くのではなく、佐藤選手に寄せる必要がありました。そこの判断の間違いがこの失点の原因のひとつです。ただ佐藤選手の足の裏を使ったトラップからのターンは見事でしたけどね。

なおこのときの佐々木選手がオフサイドポジションではないかという議論があるようです、画面では見えていませんが、恐らくセンタリング時にスライディグした野嶽選手が残っていて、オフサイドではなかったのだと思います。

木村選手のPK疑惑はありましたが、前半の広瀬選手のPK疑惑もあるわけで、そこはお互い様かと思います。
これは審判の見てる位置が悪いんですよね。倒した選手の後ろかみてるから、ファールかどうか判定できない。PA内の横から見れば、ボールに行かずに倒しているのが見えるのですが、これはこの審判の個人的な問題ではなく、J3の審判全体の問題だと思います。

試合終盤後半45分の山本選手のシュートシーン。PA内に9人の八戸の選手がいてゴール前にはほとんどスペースがない。これではさすがに得点するのは難しい。このときの審判のポジションはいいですねww

試合終盤のバックパスも批判されているかもしれませんが、バックパス自体にはいいも悪いもありません。
問題はバックパスのあとにどう組み立てるかです。そういう意味だとこの日のバックパスのあとのプレーは良かったと思います。昨年はリードされていて試合終盤になると、最終ラインでボールを回すだけとかありましたが、この日は試合終盤まで攻め込みシュート打ち続けていました。

また単純なセンタリング入れても、相手が待ち構えている状態ではまず跳ね返されるのは間違いありません。
それに単純なセンタリングや無理やり縦パスいれた場合、跳ね返されたりインターセプトされ、ボールを奪われてカウンター攻撃を受けるリスクがあるので、適宜バックパス入れるのは悪くはないと思います。

それに全体的に鹿児島の攻撃自体は悪くなかったと思います。後半八戸が5−4−1に変えてきたので、これを崩すのは容易ではありません。W杯日本対ドイツ、スペインで日本代表が、コスタリカ戦ではコスタリカが5−4−1で守り倒したようにです。

ただ鹿児島は、そんな状況の中でも崩せてはいました。本当に最後の最後まで諦めない八戸ディフェンス素晴らしかった。おそらく彼らの年間ベストゲームのひとつになるくらいの素晴らしい試合だったと思います。

結局、守備の堅い相手に対して先制点を許すとこうなるよねという試合でした。

八戸は鹿児島を研究して徹底的に対策してきました。これは昨年後半と同じ流れですよね。
ただ昨年はリードされた終盤に崩せなかったがこの日は崩せてましたし、昨年は終盤に向けて主力選手を怪我失いましたが、今年はこれから帰ってきます。なので大きな修正をする必要はなく、継続して成長していくのが大事です。

連勝中は同じサッカーで勝てていましたが、勝っていれば相手が対策してくるのも必然です。
すると同じ位置に留まっていれば、成長する他のクラブに追いつかれ追い抜かれるも必然です。
それが昨年の藤枝であり、鹿児島であったわけです。

サッカーは内容よくても負けるときもあるし、悪くても勝つことがあります。相手のでき次第のとこもあります。今回は八戸が良かった。
ただ長期的に見れば内容がいいチームが上位に来ます。
だから結果に一喜一憂しないで、内容を分析し、悪い部分を修正しながら、成長していきましょう。

そんなチームが優勝、昇格すると思います。
昨年だって藤枝は夏以降に急上昇して昇格したわけです。
まだまだゴールは遠く、長い距離を残しています。
一歩一歩確実に進んでいこうではありませんか。

約2ヶ月ぶりの敗戦でしたが、2ヶ月に一回くらい負けることもあります。
問題は次の試合です。

そして次週はアウェイの長野戦となります。
次の長野戦も八戸と同じく5バックで守備が強いチームなので、気を引き締めていかなければなりません。
私も現地で応援するかと思いますので、一緒に応援して頑張りましょう。

「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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