次なる進化を見せた鹿児島 第13節 鹿児島対YS横浜
鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは仙太郎です。
先週岐阜戦に敗れて連敗は避けたいホームのYS横浜戦。一時は大雨予報も、なんとか雨は降らずでしたがピッチ上は気温湿度も高く、選手のユニフォームは滝業の様に濡れていました。それではYS横浜を分析していきましょう。
https://youtu.be/py-Or5NPXbI
先発メンバーは、いつもは右のウィングの位置にはいる五領選手がベンチ外になり、今シーズン初めて牛之濱選手が先発です。これは長いシーズンを考えての休養ではないかと思われます。
今シーズンの鹿児島は選手が入れ替わっても、戦力の波が大きくなく、誰が出ても戦えることも上位をキープできているよう要因のひとつです。
まずは前半11分の鹿児島の先取点の場面です。これ自体は相手のバックパスを米澤選手が拾い得意の右足で巻いてシュートしたのですが、相手GKが上手くて手の先に当ててポストに当たり跳ね返ってきたボールを、再び米澤選手がダイレクトでシュートして得点します。
これは単純な相手のミスからの得点にしか見えませんが、米澤選手のこぼれ球のシュートは見た目ほど簡単ではありません。まずボールはポストに当たって跳ね返ってきているので、ボールがどこに来るのか事前に予想がつきません。サッカー選手は普通次にどこにボールが出てくるか予想してプレーするので、ゴールの枠に当たって返ってきたボールに反応してあわせるのは簡単ではありません。
その跳ね返りのボール、しかも浮き球のボールをダイレクトでゴールの枠内に蹴るのはプロでもかなり難しいです。しかも角度あまりないですからね。更に難易度は上がります。でもボールを止めてしまうとGKや相手のDFも戻ってきて得点の確率は低くなるので、ダイレクトでシュートする一択なのですが、それにしても米澤選手の見事なシュート&ゴールでした。
2点目は後に触れます白坂選手のスーパーセーブ直後の攻撃で得たCKからでした。ショートコーナーを選択した鹿児島は薩川選手がセンタリングをしますが、少しボールが低く近くにいた米澤選手がヘッドで後ろにそらします。その浮き球のボールをCKで上がっていた岡本選手が折り返して、それをロメロ・フランク選手が左足で突き刺して前半で追加点を得ます。なので白坂選手のスーパーセーブは1点防いだだけでなく、追加点の起点にもなっているわけですから二点分の価値がありました。
後半はカウンターから鹿児島が何度か追加点のチャンスがありながら、決められません。そんな後半75分、鹿児島が試合を決定づける追加点を得ます。これはCKからファーサイドにいた薩川選手がダイレクトでシュートしますが、当たり損ねてボールが大きくバウンドして、そのボールをロメロ・フランク選手がヘディングシュート。そのボールは相手GKに当たりますが、跳ね返ったボールが相手選手に当たり、そのままゴールに吸い込まれました。ちょっとラッキーでしたね。これで試合の勝敗自体はほぼ決着しました。
この試合も前半の11分という比較的早い段階で鹿児島が先制しました。以前、鹿児島は先制点を取ると保守的になりボールを繋がなくなり、クリアやロングボールが多くなり、試合の主導権を失うというと指摘させていただきましたが、なんと大嶽監督、これ修正してきました。
この試合リードしてから特にですが、CBの岡本選手、広瀬選手を中心に両SBやボランチの木村、中原選手がワンタッチ、ツータッチでボールを回し始めます。これ以前だともう少しタッチ数が多くて、相手のプレス受けてボールを蹴ることもあったのですが、タッチ数が少ないと相手はプレス掛けづらいんです。
なぜなら基本的にプレスは相手のボールホルダーに掛けるからです。ここにプレスを掛けて初めて、後ろの選手をマークすることができます。そうしないと後ろを守っている選手は前に向かってマークしているのに、ボールホルダーにプレスがかかっていないと、裏にパス出されて置き去りにされるからです。
ところが少ないタッチ数でボール回されると、最初のプレスが掛けられないので、後ろも前にマークをしづらくなります。ただ横浜は負けているので前からプレスを掛けようとしますが、ボールをシンプルに回すので、はまらなくて鹿児島は相手が出てきてできたスペースを使い一気に攻撃を前進させていました。残念ながらその形から直接の得点は生まれませんでしたが、素晴らしい試合のコントロールでしたね。あまりにもすごすぎて、テレビ見てて思わず唸っちゃいました。
こうして少ないタッチでボールを回すと、鹿児島のポゼッションは安定するので慌ててボールをクリアして、簡単に相手ボールにすることがありません。そうすると試合を見ているサポーターも安心して試合を見られますよね。試合リードしているのに、ハラハラドキドキするのは嫌ですよねww。
これ説明すると簡単なんですけど、実際チームに落とし込むのは時間もかかりますし、限られた練習時間内でトレーニングするのはかなり難しいです。もちろんCBの岡本選手と広瀬選手の高い能力があってのことですが、大嶽監督の高い能力を表していると思います。
本当に大嶽監督、このブログ読んでないですよねww。
残る課題は、リードした後のカウンター攻撃からの追加点なので、そこも来週に期待しておきましょう。これができれば更に鹿児島のサッカーは進化します。
▽白坂選手、ほんとすごいっす!神GKです
今日の試合は白坂選手のことに触れないわけにはいけません。この日も安定したプレーを見せてくれました。そこを少し分析しますね。
まず最初のシーンは1点リードの前半31分。右サイドからのセンタリングを白坂選手がキャッチしようとしますが、味方の選手を交錯し(珍しく)ボールを落としてしまいます。ゴール正面でボールを落とすと絶体絶命のピンチです。実際この時、このボールは横浜選手の元にこぼれてシュートされます。ところが白坂選手は横浜の選手がダイレクトでシュートしたボールをなんと倒れながら脚でセーブ。信じられないようなスーパーセーブでした。しかもこれ偶然当たっているのではなくて、脚動かして意図的に当てに行ってますからね。
上の図を見ると飛びながらシュート打つ横浜の選手と、それを逆さまになりながらセーブする白坂選手。まるで(キャプテン翼のような)漫画のようなシーンですね。両方とも必殺技を繰り出すみたいなww。なにか必殺技の名前付けたいな。なにがいいかなww。ちょっと思いつかないけど。
もう一つのシーンは後半59分のシーンです。ゴール正面からのダイレクトシュートなんですけど、打たれる瞬間にはもう準備完了していて、右でも左でも動ける状態なんですよね。だから簡単にセーブしているように見えるんですけど、横に素早く移動して適切なポジショニングを取ることは、簡単なことではありません。
適切なポジショニングを取るのが難しい理由は簡単です。GKはゴールを見ないでポジションを取る必要があるからです。ゴールが見えないのに適切なポジションを取るのは難しいです。後ろ向いてゴールを一瞬でも見たら、その瞬間にシュートを打たれれば防ぎようがありません。ペナルティエリアやPKスポットに位置を見て適切なポジショニングをしなければならないのですから、簡単なことではありません。
そして最後のシーンは後半85分に岡本選手が判断を間違えて裏を取られた場面です。これもシュート打つ瞬間には準備できていて、しかも右でも左でもどちらでも反応できる絶妙のポジショニングです。この状態からダイビングすればゴール全体をカバーできるポジショニングなのが理解いただけると思います。なので横浜の選手はコースを狙わざるを得ず、結果ポストに当たってボールは外に跳ねて失点を防ぐことができました。カバーした広瀬選手がスライディングして、プレッシャーを掛けているのもGOODです。
その次の写真見るとわかるんですけど、打たれたシュートに反応する白坂選手の手の先をかすめるようにボールが進んでいるのがわかると思います。つまり枠の中に蹴っていれば白坂選手は手に当ててセーブしていたと思います。だからこれは単なるラッキーではなくて、白坂選手がシュートを外せさせたと自信をもって断言できます。
(本当はもう一つ紹介したいシーンがあったのですが、長くなりすぎるので割愛させていただきましたww)
また熱く白坂選手を語ってしまったww。
3点差で勝ったとは言え、簡単な試合ではありませんでした。どちらかというと横浜のミスに助けられた面は多かったと思います。シュートは枠を外れることが多かったですし、単純なパスミスも少なくありませんでした。鹿児島の最初の得点自体が相手が米澤選手に直接パスして始まっていますからね。だから3-0で万歳ではなく、今目の前の課題を修正しながら長いシーズンを乗り切っていきたいと思います。
今攻撃面での課題はカウンター攻撃からの得点になります。後半94分のカウンターの場面になります。この時は相手のDFが判断を間違えてボールホルダーにプレスを掛けに前に出たので、圓藤選手が裏を取ってGKと1対1になりました。圓藤選手は多分GKの股の間を抜こうとしたと思うのですが、結果的に脚に当たってしまい得点にはなりませんでした。
守備時には相手がサイドからボールを運んできたときに、ゴール前でのポジションのバランスが悪いことです。この図は前半20分のシーンなのですが、これを見ると、相手が右サイドでボールを運んでいる時に鹿児島はそのサイドに選手を集めてスペースを消そうとしています。
これ自体は悪くはないのですが、かなり極端に選手がサイドに寄ることになり、肝心のゴール前のDFラインの前のバイタルエリア(赤点線丸)ががら空きになり、大きなスペースを残しています。この横浜の4番の土舘選手はボールに寄りすぎていて、鹿児島が残している大きなスペースを使うことができません。もしこの土舘選手が黄色い点線矢印の場所にポジションを取っていて、左サイドの選手がもう少し前に動いていれば、このスペースを使って鹿児島を苦しめたでしょう。
できれば中原選手と木村選手はもう少し後ろ(赤点線矢印)に、牛之濱選手がもう少し前(赤点線矢印)にポジションして、星選手がもう少し後ろ(赤点線矢印)いれば、バイタルエリアでボールを持たれても、センタリングされても対応できると思います。
先週の岐阜戦もこの状態から鹿児島が誰もいないファーサイドにセンタリングされ、後ろから走り込んできた宇賀神選手に決められたのは記憶に新しいですよね。
また後半58分にも同様のプレーがありました。鹿児島の右サイドで横浜がボールを持っています。この時、中原、米澤両選手が下がってDFラインに吸収されていて、バイタルの広大なエリア(赤点線丸)を守るのは木村選手1人です。できればDFラインは1人づつ後ろにずれてマーク(赤点線矢印)して、余った米澤選手は前のポジション(赤点線矢印)に出るとバイタルエリアも守れますし、カウンターの時に一気に前進することができます。
この時は結局サイドの裏を取られてピンチになりました。センタリングがゴール向かった(黄色実線矢印)ので広瀬選手がかろうじてクリアして難を逃れましたが、もしマイナスのパス(黄色点線矢印)をされたり、右にいた横浜の選手がもう少し後ろにポジション(黄色点線矢印)していれば、決定的なピンチになっていたと思います。
これ対戦相手が見ていないですよねww。見られたらまずいなww。
そして日曜日の試合が終わってみると、再び鹿児島は首位に戻りました。ただ先週惜敗した岐阜が連勝で5位に上がってきましたし、富山が5連勝で4位にいます。これからも気が抜けない戦いが続きそうです。
ただ大嶽監督の手腕が見事で、毎試合課題を克服してチームが成長する姿が見えているので、試合の結果にはもちろんですが、試合の内容も充実していて、毎週末が楽しみです。まぁ、毎試合ハラハラドキドキはすんですけどねww。
それでは次の愛媛戦でお会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」