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堅守を突破した日本代表:W杯予選 中国戦を振り返る
火曜日に行われたW杯アジア最終予選第6節、中国代表対日本代表の試合は、見応えのある激闘でした。日本代表は中国の堅い守備と対策に苦しみながらも、最終的には3-1で勝利し、アウェイで貴重な勝ち点3を獲得しました。この試合のポイントを振り返りながら、どのようにして勝利を掴んだのかを見ていきましょう。
中国の戦術と守備の堅さ
中国代表は守備時に4-3-1-2のフォーメーションを敷き、中央のスペースを締めることで日本の攻撃を抑え込もうとしました。この戦術により、サイドにはスペースが生まれるものの、日本代表も中央に選手を配置することが多く、サイドのスペースをうまく利用することが難しい展開となりました。
日本がサイドにボールを運んでも、そこは中国のSBと日本のWBと1対1で、攻撃は加速しません。さらに中国のスライドが速く、サイドでの攻撃が停滞する場面が続きました。久保選手がサイドに流れて数的有利を作り、前進を試みる場面もありましたが、中国の素早いプレスバックにより決定機には繋がりませんでした。特に、中国の中盤の選手たちは素早くサイドに寄せることで、日本の攻撃の時間を奪い、ボールを持った選手にプレッシャーをかけ続けました。
また今回、中国はピッチの幅を通常より狭くして、幅を使い攻撃する日本代表には不利に、守る中国には有利にしていました。それと中国の素早いスライドもあり、久保選手はピッチがものすごく狭く感じたと試合後に述べています、
日本の攻撃と先制点
一方で、中国の守備は4列になるため、縦の距離を縮めることが難しく、ライン間にスペースができる場面が見られました。ここで南野選手や久保選手がそのスペースでボールを受け、前進するシーンが増え始め、日本は徐々に攻撃の形を見せるようになりました。
日本は前半の終盤に差し掛かると、サイドチェンジを駆使しながら中国陣内侵入。そうすると中国は失点を恐れて、ゴール前に人数をかけて守る状況に追い込まれ、結果的にクリアボールを日本が拾って攻撃を続けます。その流れから38分、久保選手のシュートから得たCKで小川選手が先制点を決めました。
この先制点は、CKのキッカーである久保選手が絶妙なボールを供給し、小川選手がマークを外しヘディングを決めたものです。その後もデザインされたCKから板倉選手が追加点を決め、苦戦しながらも前半をリードして折り返しました。中国にとっては、前半終盤まで自分たちのゲームプラン通りに進めていただけに、この失点は大きなダメージだったでしょう。
後半の展開と日本の対応
後半開始早々、中国は日本の守備を崩して1点を返し、試合の流れがわからなくなりました。中国の攻撃は前半からロングボールをフィジカルに優れるツートップに当てる形を狙っており、後半48分には日本の守備の隙をついて見事な得点を挙げました。
この失点シーンでは、中国が自陣でのトランジションの応酬からボールを奪取しドリブルで前進。遠藤選手がボールを奪いに行ったのですが、かわされます。ここまで遠藤選手は、中国の攻撃を封じ込めていたので、ボール奪取に行ってしまったのでしょうが、カウンターの場面だったで、結果論ですが、ここは遅らせる選択肢もあったかなと思います。
そこからウェイ・シーハオ選手が右サイドに流れてパスを受け、日本の3バックもそのサイドにスライドしましたが、逆サイドのスペースが空いてしまいました。ここで中央に中国の選手が走り込み、そこへパスをしたのですが、スルーされ、逆サイドのスペースに走り込んだリン・リャンミン選手がフリーで絶妙なタイミングでボールを受け、冷静にシュートを決めて1点を返しました。この場面では、日本のウィングバックの伊東選手が戻りきれず、中国に数的有利を作られ、日本の選手も戻ったのですが、ボールサイドに寄せてしまい、逆サイドのスペースを空けてしまったのが失点の要因でした。
しかし、日本代表はここで崩れることなく、再びサイドチェンジを効果的に使い始めました。特に、54分左サイドのWBの中村選手からのサイドチェンジから、右WBの伊東選手が相手SBと1対1の場面を作り出し、そこからのセンタリングで追加点を挙げました。この得点シーンでは、伊東選手がキックフェイントで、相手ディフェンダーをかわし、その後のクロスに対して、小川選手が巧みにマークを外し、正確に合わせてゴールネットを揺らし、中国の勢いを完全に封じ込めました。このゴールは中国の士気をくじき、試合を決定づけるものとなりました。
試合後の評価と次への展望
中国代表は日本を研究し尽くし、中央を締める守備と素早いスライドで善戦しました。試合後、久保選手も中国の守備の堅さを称賛しており、彼らがどれだけ日本を苦しめたかが伺えます。中国の選手たちは守備戦術が徹底されており、特に中盤の選手たちは日本のボールホルダーに対して素早く寄せ、プレッシャーをかけ続けました。唯一の誤算はセットプレーからの失点であり、それがなければもっと接戦になっていたでしょう。
日本代表は、前半こそ苦戦したものの、CKからの得点と後半のサイド攻撃で試合を決定づけました。特に、セットプレーでの得点はチームとしての準備の成果が表れたものであり、板倉選手のゴールもデザインされたプレーの一環でした。また、後半に見せたサイドチェンジを活用した攻撃は、中国の守備のスライドを遅らせる効果があり、これにより伊東選手が1対1の場面を作り出すことができました。
これで日本は6試合負けなしの5勝1引き分け、勝ち点「16」とし、次戦はホームでバーレーン、サウジアラビアと相次いで対戦します。バーレーンとの第7戦に勝てば、他チームの結果に関わらずグループの2位以上が確定し、8大会連続の本大会出場が決まります。恐らく世界最速での出場決定となるでしょう。
日本代表の強さが改めて示されたこの試合、次戦に向けた期待が高まります。どのような戦術で挑み、どのように進化していくのか、これからも目が離せません。選手たちのコンディション維持や次戦に向けた準備が重要であり、特に今回苦戦した中央突破に対する対策をどう進化させるかが鍵となるでしょう。