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敗戦、降格、そして希望:第36節 V・ファーレン長崎対鹿児島ユナイテッドFC

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん こんにちは仙太郎です。新ピカのピーススタジアムで開催された、明治安田J2リーグ第36節、V・ファーレン長崎対鹿児島ユナイテッドFCの試合を振り返ります。

この試合は、鹿児島にとって苦戦を強いられる内容となりました。前節からスタメン変更なしで臨んだこの試合は、今シーズンを象徴するような課題が浮き彫りになり、勢いだけでは上位チームに対抗しきれない現実を突きつけられました。ここでは、鹿児島の戦術的な課題を明らかにし、特に長崎の堅牢な守備と鋭いカウンターに対する対策の不備に焦点を当てます。

スタメン継続の意図と課題の顕在化

鹿児島が前節からの勢いを維持しようと同じスタメンで挑んだことは、チームの安定を図りつつも継続性を重視した選択でした。しかし、この継続が皮肉にも課題の明確化につながりました。サイドバック(SB)の守備強度や、オーバーラップ後のスペースケアといった、今シーズン繰り返し指摘されてきた問題が再び露呈。特に星選手の守備に関しては、決定的なピンチが何度も発生し、彼が相手の突破に苦しむ場面が目立ちました。しかしこれは個々の責任というより、彼を起用するならばより高いボール保持率が必要であり、現状のチーム戦術が彼のプレースタイルに合致していないという点が本質的な問題と言えるでしょう。

9分 長崎の攻撃の場面。右サイドで星選手が1対1の対応を迫られていて、シュートされている。このような場面が多く見られたが、チームとしての対応は見られなかった

プレスとブロックの統一欠如によるカウンター対応の課題

鹿児島は前からプレスをかける意図は見せていましたが、前線の選手と守備陣の戦術面の統一が欠如し、長崎にスペースを与える形となりました。この試合では長崎の鋭いカウンターが幾度も発動し、鹿児島のプレスが逆にリスクを生み出す結果となっています。そのため、後方の選手は前に行きたくてもいけない状況でした。

前線からのプレスが掛からず、組織として統一された守備が構築されなかったことで、長崎は素早く前線の外国人選手にロングボールを供給し、カウンターの基点としました。この基点に対し、鹿児島の守備陣は対応が遅れ、次々にピンチを招く展開となったのです。

長崎のビルドアップと鹿児島の対応力不足

長崎がビルドアップを始めると、鹿児島はボールを奪いにいく姿勢を見せましたが、長崎はシンプルに前線の外国人選手ボールを入れ、ボールキープからのカウンターが発動。また鹿児島がボールを奪取しても、すぐに長崎のカウンタープレスで、ボールを失ってしまうシーンが多々見られました。相手の寄せが速く、またルーズボールへの反応も長崎が勝っていたため、鹿児島は次第に後手に回ることが多くなりました。こうした攻防の流れの中で、長崎は先制点を挙げ、試合の主導権を握る形になったのです。

長崎のブロック守備と鹿児島の攻撃停滞

長崎が4−4−2のブロックを形成すると、鹿児島は攻撃のアイディアに乏しく、縦パスを通すことが難しい状況に陥りました。また、サイド攻撃も素早いスライドで封じられ、崩す手段を見つけられないまま攻撃が停滞。そこからボールを奪われ、長崎の速いカウンターに対して、鹿児島は対応に苦戦し、逆に失点を重ねてしまいます。このような試合展開の中で、鹿児島は長崎の持つJ1仕様とも言える守備強度やプレッシングに押される形となりました。

14分 長崎の先制点の場面。一度鹿児島ボールになったが、そこから奪い返されてのカウンター。3対4の数的不利な状況。左SBの野嶽選手は戻れていない。この時、星選手はマンツーマン気味に付いているが、この時は中のスペースを埋めたかった
長崎の選手が中のスペースへ走り込もうとして、星選手が付いていくが、そこにはパスが出ず
その動きで空いたスペースに名倉選手が走り込み、そこへパスが出る。星選手がオフサイドをアピールしているが、それはパスが出た後にすることです
結果的に遅れて対応に行くが、またもや1対1の対応を強いられる星選手。しかも野嶽選手が戻れていないので、左サイドでも、ひとりフリーになっている

長崎の強力な外国人選手による影響力

長崎の前線に配置された外国人選手の存在は、鹿児島にとって大きな脅威となりました。体が大きくスピードもあり、技術的にも優れている彼らは、鹿児島の守備陣にとって規格外の存在であり、1対1で止めることができず、何度も決定的な場面を作られていました。

2点目も3点目も、組織的に崩されているわけではないんですけど、外国人選手の個のクオリティで、フィニッシュまで持って行かれてゴールされています。

またCBのヴァウド選手は、予測力と守備力が高く、鹿児島のアタックを封じ込める場面が多く見られました。こうした個々の能力の高さに加え、チームとしての戦術理解度が高いことも、鹿児島の攻撃を封じる要因となりました。

それに加えて、長崎の日本人選手も優れたフィジカルや技術を持ち、戦術理解度も高く、鹿児島のサッカーを難しくしていました。

34分 鹿児島の攻撃の場面。田中選手がシュートを打つときに、5人もボールに寄せている。この守備意識の高さは見習うべき

今後の戦術改善に向けての提言

今回の試合を通じて、鹿児島は戦術的な柔軟性の欠如が問題視されました。長崎のような速攻を得意とするチームに対しては、プレスの開始位置を下げ、ミドルブロックで守備を固める方が有効でした。中盤の守備ブロックを強化し、ラインを下げることで相手の速いカウンターを制限し、長崎に思うような展開を許さない戦術です。また、サイドバックのオーバーラップ後のスペースを埋めるための中盤選手の連動や、後方のカバーリング意識の向上も重要です。これにより、相手に簡単にスペースを与えず、組織的な守備が構築されることで、失点を抑えることが可能になるでしょう。

一方で、ボール保持率を向上させるためには、ポゼッションを軸としたビルドアップの改善が必要です。ビルドアップ時にボールを失わないためにも、より落ち着いたパスワークと、複数人でのサポートの意識が重要となります。ボールを保持することで、相手のリズムを崩し、鹿児島自身が攻撃の主導権を握る時間を増やすことができます。

43分 長崎の追加点の場面。この時は人数が足りてはいるが、ここから簡単にかわしてシュートを決められる。この時も野嶽選手が左SBのポジションにいないので、山口選手がカバーに入るが、止めることはできなかった。J3ではここから得点するような選手はほとんどいないが、J2上位クラブだと何人もいる

解決できない今シーズンの課題

この試合は、鹿児島が今シーズン抱える課題を明確に示すものであり、強度の高い守備と速いカウンターに対する対応力の不足が浮き彫りになりました。相手の外国人選手の圧倒的な存在感に対し、鹿児島はどのように守備を再構築し、攻撃においてもより組織的に機能させるかが問われる状況です。今後の試合に向けて、戦術の柔軟性を高め、サイドバックのスペースケアやプレス開始位置の統一といった点での改善が求められます。

長崎まで応援に駆けつけた熱い鹿児島ユナイテッドFC サポーターの皆さん。このサポーターがいる限り、鹿児島ユナイテッドFCは必ず立ち直り、J2の舞台に帰ってこられます

絶望の中の希望

この敗戦により、鹿児島の1年でのJ3降格が決まりました。 正直言うと、かなり早い段階で降格は覚悟していたので、ショックはありません。 ただシーズン開始直後からの課題が最後まで解決できなかったことには、残念としか言いようがありません。

残り二試合はありますが、次の監督選びや選手との契約が一気に加速することになるでしょう。降格という事実に直面し、多くの選手が去ることになるかもしれません。

それでも鹿児島ユナイテッドFCを愛するサポーターは変わらないと思います。どこのカテゴリーであろうとも愛する地元のクラブを応援する気持ちには変わりがありません。

そんな熱いサポーターがいる限り、また鹿児島ユナイテッドFCは立ち直り、立ち上がり、厚い壁、高い山、深い谷を乗り越えて、再びJ2の舞台に戻ってくると信じています。

その課程には歓喜の瞬間も苦しいときもあるでしょう。もしかしたら、苦しいときの方が多いかもしれません。しかしそんな苦しいときこそ、選手の背中を押し続けるサポーターが必要なのです。そしてそんな熱いサポーターがいる限り、鹿児島ユナイテッドFCには希望があり、明るい未来が待っていると信じています。

「俺たちは来年も諦めない!」

We are challengers!
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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