最低賃金1500円代は嬉しいこと?

 まず最低賃金の近況をおさらいしてみる。朝日新聞の10月27日の朝刊の記事によると、2009年の全国平均の最低賃金はおよそ700円だった。今年は1055円なので、15年でおおよそ30%あがったことになる。平均すると年2%の賃金上昇である。

 現状は、一見すると労働者に優しい状況のように見える。 しかしながら現実は厳しいのかもしれない。賃金水準が最低賃金から大きく離れている場合(少なくとも都市部の労働者や正社員・派遣社員ははだいたい当てはまると思う)は、最低賃金があがっても迷惑ですらあると思う。最低賃金に近い給料で働く人がある程度存在するなら、物価が上がりそうな気がする。最低賃金上昇の恩恵がほとんど及ばない人(だいたいそうだと思う)にとっては、物価は上がるが給料は上がらない状況になる。さらに、最低賃金上昇は社員の今後の賃上げ分を原資にするかもしれない。悪影響はいわずもがなだろう。
 自民党は、2020年代に最低賃金を1500円台にしたいらしい。何を考えているのだろうか。アベノミクスで自民党が使い込んだ、国の膨大な借金返済をインフレで減らしたいのかもなと勘ぐってしまう。

 前述の考察が正しいのか、検証が必要だとは思う。例えば、極端な話、世の中の労働者のほとんどが最低賃金で働いているとか、最低賃金が上がっても物価が上がらないとかならば、考察は間違っている。最低賃金引き上げが、多くの労働者にとって望ましくないのか、今後詳細に調査してみたい。一方で、上記の考察がそれほど外れているとも思えなくて、多くの人にとって優しくない施策だと思う。

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