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アラサーFtXが意を決して胸を取った話①

前置き

2018年11月27日。
胸オペを受けようと決意する。

幼稚園に入る前、ズボンの制服が良かったと泣いた。
「大人になったら性転換手術をするんだ」と友人に言った思春期。
自分のお金で買ったナベシャツを着て、平らになった胸に安心感を覚えた日。
社会に出て、制服のスカートに嫌悪した。

「男」の身体が欲しいわけなじゃない。
かと言って「女」の身体でいたいわけじゃない。

それまで私は、性同一性障害(GID)の診断書を貰った人じゃないと胸オペが受けられないと思っていた。
「おっぱいいらない」
「いらないならちょうだい」
貧乳に悩む友人とそんなやりとりをしながら、思春期からおよそ十年間、不定期にやってくる「おっぱいいらない今すぐ取りたい」衝動に耐えてきた。

*****

社会に出てからの数年間、私の生活は不安定を極めていた。
諸々の事情により新卒で就職をしない選択をし、フリーランスとアルバイトで食い扶持を稼ぎ、うつ発症後は地元を離れ姉一家の住まいへ居候させてもらったり、一人立ちした後も貧困のあまり首をくくる計画を立てたりなど。
毎日とにかく「その日を生きること」しか考えてなかった。

それから、運良く正社員として今の会社に拾ってもらってから2年ほど経ち、生活にある程度ゆとりが出てきた。
ここでようやく「おっぱいいらない今すぐ取りたい」という気持ちに向き合えるようになった。それが2018年、28歳の誕生日を迎える少し前のことだった。


これは、アラサーFtXが様々な葛藤と障害を乗り越えて「なりたい身体」を手に入れる過程を書いた物語である。

…………と言いたいところなんですが、そんな物語性に溢れた記事じゃないですすみません。

この記事は当事者パパイヤの心情を少しだけ織り交ぜながら、「記録」に重点を置いた内容になります。
というのも、私が胸オペを受ける際、他の方のブログ記事などがとても参考になったという経験があり、私自身も「今後手術を受ける誰か」の役に立てるものを残したいなと思ったからであります。

ですので、エッセイ的なものを望んでいる方にはあまり刺さらない記事となっております。
とは言っても、話の流れ上、カミングアウトやうつについても触れてますので、「いいから手術の情報よこさんかい」という方はその辺適当にスルーしてください。

思い立ったが吉日

決意したその日のうちに、診断書がなくても胸オペをしてくれる病院を探しました。先人のブログなどを参考にしながら、一番評判が良さそうなところへカウンセリングの予約を。

病院名は割愛させていただきますが……関東で評判が良い病院を探すと間違いなくヒットする場所です。

というわけで早速初診について。

病院メモ(初診)

①受付
 完全予約制の病院なので超スムーズ。

②個室に通され問診票を書く
 ホルモン注射や診断書の有無
 麻酔経験の有無、病歴、身内に乳がん患者がいるか
 いつから胸があることに違和感があるか 等々

③問診票をもとにカウンセラーさんから質問
 胸オペ以外の治療を今後する予定があるか
 身内に麻酔経験者がいるか 等々

④診察室に移動して医師の診察
 ジェンダーの確認(私はこの時、女性寄りの中性と答えました)
 上半身を脱いでエコー
 二種類ある手術方法の説明&どちらの方法でやるか選ぶ
 手術と麻酔の説明を受け、同意書にサイン

⑤個室に戻り、カウンセラーさんから費用と予約の話
 手術の予約は三ヶ月前から受付
 予約した日から一週間以内に前金(10万円)の支払いが必要
 手術前に要血液検査(5,400円)

手術希望日までは三ヶ月以上あったので、この日はカウンセリングと診察だけで終わりました。この時に手術の予約をする場合は血液検査もするみたいです。
初診は1,080円。

病院は清潔感があって綺麗でした。
病院に行く前に、身内に麻酔経験者や乳がん患者がいるかは要確認。
エコーの時はその場で服を脱いだので、もっと脱ぎ着が楽な服で来るべきだったなぁ〜と思いました。

手術までにやるべきこと

①お金を貯める
 言わずもがな。私が選んだ手術方法はおよそ60万円必要でした。
 術後、修正手術が必要な場合もあるので、余裕を持ってお金を用意しておくといいと思います。ちなみに私の場合、修正手術は162,000円必要だと言われました。ただ修正は術後半年〜一年経たないと出来ないのですぐに必要というわけではありません。

②付き添いを探す
 これは先人のブログを読まなきゃ気付かなかった。手術前後に病院やホテルに付き添ってくれる人がいた方がいろいろと楽です。もちろん事情によっては一人で、という人もいると思いますが、周囲に理解のある人がいればお願いした方がいいと思います。私は姉にお願いしました。

③病院周辺でホテルをとる
 遠方の場合は必須だと思いますが、近場の方もホテルは取っておいた方が良いかなと。手術後〜翌日まで身体にドレーンがついているので、電車やバスに乗るのは大変だと思います。術後は身体が痛い。

④周囲へのカミングアウト
 やる「べき」ではありませんが、私は必要だったのでしました。これが一番大変でした。
 詳しくは次の記事に書きます。(多分…)


※ここで記載する費用は全て当時の数字なので、現在とは異なる場合があります。あくまで参考までに。

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