ぱぷりか対談企画|福名理穂のルーツvol.2 対談相手:池内風さん(かわいいコンビニ店員飯田さん)
ぱぷりか主宰・福名理穂の演劇のルーツをさかのぼる対談企画。第2弾のお相手は、MITAKA “Next” Selection 19thにも選出された「かわいいコンビニ店員飯田さん」の池田風さん。ぱぷりかに俳優として参加したこともあり、演出家という視点から福名を探る。
―役者として参加した時の福名の印象は?
池内:予想通りでした。
福名:ええ(笑)
池内:演出が繊細だなと思いました。良い意味だけど、病的に近いかもしれない(笑)
福名:どういうこと?(笑)
池内:ニコニコしながら言いたいことをはっきり言う。 だけど、その指摘されてるところがほとんど自覚があるところだから恐いなと思う。全然誤魔化せない…。
福名:ああ、なるほど。
池内:でも、すっごい繊細なんだけどシンプルというか、必要なものが物語の中にちゃんと収まれば、いい余白が生まれるなっていうの感じた。それが楽しめる俳優が揃うと、色んな方向性で正解が出てくる。
福名:そうかもしれない。
池内:それが楽しいなと思ったけど、そこに到達するまではすごい大変だなと思った。
福名:これかーっていうところまで探るのは大変だね。
池内:難しいし、気付かれにくい。目で見て気付かれにくい演出をしているなって思った。 灯りをがーんって使ったりとかさ、音をヴェーンって使ったりとか、いきなり役者が飛び跳ねたりとか、そういうんじゃないじゃん。
福名:じゃない。
池内:だけど、 無意識にお客さんが感じる所をちゃんと意識的に皆で共通して作ってってる感じがしたかな。あんまり僕らの世代でそういう作り方してる人は少ないんじゃないかなって思う。
福名:そういうことは良く言われるかもしれない。
池内:うん… でも、恐かった。ははは(笑)
福名:(笑)
池内:稽古に参加する前はね、演出家としての自分がもっと出てくるんじゃないかと思ってた。それを見せないようにしなきゃいけないし、役者として参加してるから関係ないと思ってたけど… まあ出なかったっていう(笑)
福名:よく頷いてたよね(笑)
池内:うん。面白い!今言ったのすごい分かるな!みたいな(笑)
福名:台本渡す度に「ああ、ふうくん頷いてる。良かった」って思ってた(笑)
池内:うん、凄く面白かった。雰囲気もね、女の子っぽい感じが良かった。
福名:ああ、でもそうかもしれない。
―ぱぷりかはどんな劇団?
池内:坊薗さん(劇団員・坊薗初菜)が凄く素敵だなって思った。坊薗さんが脱線させることもいっぱいあるけど…。
福名:(笑)
池内:脱線させてるのに、自分で修正したりするのが凄い。そのバランスが素敵だし、作家を信頼してるし、演出家を信頼してるんだろうね。
福名:それはね、ほんとに毎回ありがたいなと思ってる。
池内:福名さんに対しても「それはこうじゃない?」って演出に関する口出しをするんじゃなく、「今起きてることはきっとこうじゃない?」って状況を通訳してあげてる。
福名:そうだね、ありがたかった。
池内:試せる時間を坊薗さんが作ってくれてるイメージもある。危機感がない訳じゃないけど、こんなに柔らかい雰囲気でずーっと進行してって本当に大丈夫なのかな?ってちょっと思ったこともあった(笑)
福名:焦るの嫌いなんです。焦っても脳みそが停止するだけだって分かってるんで。
池内: 稽古時間も短いよね?
福名:うん。たぶん、色々言っても結局次の日じゃないと分からない。むしろ 一回寝たら分かることだってあるから、とりあえずイメージの共有はしておく。そして次の日もうまくいかなければ、どうしてそうなのかなあって話し合えばいいだけだと思ってる。
池内:それが余裕に見えるんだろうな。
福名:風くんは1ヶ月くらい読みだけやってたりするよね(笑)
池内:ぱぷりかはすぐ立つよね(笑)
福名:すぐ立つ(笑)
池内:でも1つ1つの台詞量が少ないよね。言葉をちょんちょんちょんって繋いでいく印象があって、2行、3行あるセリフがあんまりない印象。
福名:あ〜なるほどなるほど。
池内:それこそ10文字の中に3行分の内容が入ってるから、すごく台本つくるの大変だろうなと思う。
福名:でも台本は自分で作ってるから、役者さんが大変だろうなと思う。
池内:言葉から得られる情報じゃなくて、その役の背景とかが凝縮されてる。額面通りじゃない複雑なものが付け加えられているよね。
福名:でも普通の会話って結構はしょっても成立してる。なのに無駄なところもあって。結構極端だなって思うんですよね、日常会話っていうものが。根底には、喋っている以上の2〜3行の要素があるから、省いても会話は成立するだろうなって。
池内:それが・・もう・・芸術感あるよ、すごく。言葉の芸術感あるよ。俺なんかもうすごいボコボコの言葉ばっか作ってるけど(笑)、ちゃんと一個一個に選ばれた美しさがある。それこそ「ありがとう」だけでも、ちゃんと綺麗なものとして「ありがとう」って書かれてる感じがする。
―劇団を続けるということ
池内:第1回目の公演の時に手伝ったじゃん。読んでてすごい面白くて。現場入ったら楽しくて。で観たら泣いちゃって。しかも3回目くらいで泣いちゃって。
福名:ずっといたよね(笑)。ゲネ観たじゃん!って思った。
池内:意味がわからない(笑)。2回くらい観た後に、3回目くらいで「いいわぁ〜」って泣いちゃって。
福名:いいお客さんですよね(笑)。
池内:終演後客席の清掃してて「あいつ客じゃないんだ!」みたいな(笑)
福名:でもだいぶ変わったかもね。
池内:そこから、またすごく繊細になっているというか、どんどん線が研ぎ澄まされていくイメージ。だから毎回楽しみ。
福名:旗揚げから第2回公演、第2回公演から第3回公演と、それぞれだいぶ期間が空いた分、だいぶ大股に行かなきゃって部分はあるかもしれない。自分はたくさん書ける人じゃないから、ちゃんとステップを踏まなきゃと思ってる。
池内:多くやればいいという問題でもないという気が俺も最近してきた。コンスタントに公演して、やらなければ忘れられちゃうと思ってた。
福名:うんうん。
池内:やっぱり一個の印象がすごく強くて次も期待するっていう思いが強ければ、いっとき忘れていたとしても、「もう1回公演やります!」って時にその気持ちがすごく蘇ってくるんだなと思った。でも「ぱぷりか」ってきっとそういう団体な気がするから。
福名:そうなれるように日々精進ですね。
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【ゲスト情報】
池内風さんが主宰する劇団の公演情報です。
MITAKA “Next” Selection 19th
かわいいコンビニ店員飯田さん
第7回公演「手の平」
2018年10月19日[金] - 10月28日[日]
三鷹市芸術文化センター 星のホール
▼詳細は劇団HPにて
http://iidasan.xyz/
【公演概要】
MITAKA “Next” Selection 19th
ぱぷりか第4回公演「きっぽ」
2018年9月7日[金] - 9月17日[月・祝]
三鷹市芸術文化センター 星のホール
<作・演出>
福名理穂(ぱぷりか)
<キャスト>
瓜生和成(東京タンバリン)
川隅奈保子(青年団)
安東信助(日本のラジオ)
板橋優里
橋口勇輝(ブルドッキングヘッドロック)
石渡愛(無隣館)
岡奈穂子(ぱぷりか)
坊薗初菜(ぱぷりか・無隣館)
▼詳細・ご予約はこちら
http://puprika.wixsite.com/papu/tugi-cm8a