iPS細胞研究の最前線:山中伸弥教授が語る可能性と挑戦
こんにちは、皆さん。今回は、2009年10月17日に京都大学で行われた山中伸弥教授による講演「iPS細胞研究のいま その可能性と研究活動」の内容をお伝えします。iPS細胞研究の第一人者である山中教授が、この革新的な技術の現状と未来について語った貴重な講演です。
山中教授の経歴:基礎研究への道
まず、山中教授の興味深い経歴から始めましょう。驚くことに、山中教授は元々臨床医を目指していたのです。約20年前、整形外科医として医療の最前線に立つことを夢見ていました。しかし、手術の技術に自信が持てず、基礎研究の道に進むことを決意したそうです。
山中教授は、最初の手術経験をこう振り返っています:
「最初に私が行った手術は、皮膚の下にある小さい腫瘍を取り除くという簡単な手術でした。普通の整形外科医なら30分で終わるところを、私は3時間もかかってしまいました。」
この経験から、臨床医としての道を諦め、基礎研究に転向したのです。しかし、医師免許を取得した原点の思いは忘れず、「基礎医学を患者さんの治療に役立てたい」という強い願いを持ち続けました。その思いが、後のiPS細胞研究につながっていくのです。
体内の幹細胞と再生能力
人体には、もともと再生能力が備わっています。例えば:
皮膚
髪の毛
消化管
血液
これらの組織は、日々新しい細胞に置き換わっています。特に血液細胞は寿命が短く、数日から数週間で新しい細胞に入れ替わります。
この再生能力を司っているのが「幹細胞」と呼ばれる特殊な細胞です。例えば:
造血幹細胞:血液を作る
肝臓の幹細胞:肝臓細胞を作る
しかし、体内に存在する幹細胞には限界があります:
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