本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年10月31日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。なお、この記事では、ISW制作のウクライナ戦況地図(インタラクティヴ・マップ画像も含む)とGoogle Earth画像を使用した。
アウジーウカ方面でのロシア軍攻勢
日本語訳:
10月31日もロシア軍はアウジーウカ周辺で攻勢作戦を続けた。また、同軍の前進が確認されている。10月30日公開の動画で、撮影地点が特定されたものによって、ロシア軍がアウジーウカの南方でわずかに前進したことが分かる。同じく10月30日公開の別の動画で、撮影地点が特定できるものによって、クラスノホリウカ(アウジーウカ北方5km)の南西でロシア軍が前進したことも分かっている。10月30日と31日、複数のロシア軍事ブロガーは、アウジーウカのすぐ北に位置するアウジーウカ・コークス工場付近で、ロシア軍が前進中であると主張した。10月31日、ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つが、ロシア軍はコークス工場への直接的な攻撃を行っていない状況で、現在、地上攻撃を準備しているところだと主張した。それとは別のロシア軍事ブロガーは、ロシア軍がアウジーウカ工業地区の周辺へと進んだと主張した。複数のロシア軍事ブロガーは、クラスノホリウカ付近、トネンケ(アウジーウカ西方6km)付近、シェヴェルネ(アウジーウカ西方5km)付近、ヴォディヤネ(アウジーウカ南西7km)付近、ペルヴォマイシケ(アウジーウカ南西11km)付近においてもロシア軍は前進中であると主張した。なお、ロシア側情報筋の一つは10月29日に、ほかの情報発信者たちが現在進行中の作戦に関する「勝利」報告を書いたり、ロシア軍がどこかを占領したと時期尚早な主張をしたりすることを批判した。この件は、ロシア側従軍記者のなかにさえ、アウジーウカ周辺の戦術状況に関してマイナスの見方をする者が存在していることを示唆している。ウクライナ参謀本部の10月31日付報告によると、ケラミク(アウジーウカ北西10km)付近、ステポヴェ(アウジーウカ北西3km)付近、アウジーウカ付近、トネンケ付近、シェヴェルネ付近、ペルヴォマイシケ付近でロシア軍は攻撃を仕掛けたが、失敗に終わったとのことだ。