意味がわからなくて怖くない話
その日はスーツケースからみかんジュースが漏れ出ているみたいな暑い夏の午後だった。
ピカソがひっくり返った夢を見た気がしたつもりで、起き上がり枕にピザソースを塗ってお隣にぶん投げた。「ミケランジェロ!」と怒鳴られた。
読みかけの小説を拾った怪獣に朗読させて、スクワットをする。お隣さんが爆発と再生を繰り返す。
イチゴ色の太陽が回転している。そうだ、パチンコに行こう。僕はマウンテンバイクを担いで、ランニングマシーンに飛び乗り、眉毛を整えながら、耳かきを齧った。お隣さんが、「ドボルザーク」と囁いている。
空には桜の花びらが天の川みたいに舞っている。
春から僕もギンギラギンな一年生だ。
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