2019.8.10 『乱破』完成直前、最終段階の現場に潜入!!
Panta : ミックス作業中のスタジオに@市川清師くんが覗きに来てくれた・・♬
市川 清師
■頭脳警察は一筋縄ではいかない! 結成50周年記念アルバム『乱破』完成直前、最終段階の現場に潜入!!
ようやく、頭脳警察の結成50周年記念アルバム『乱破』が完成した。先日、7月30(月)、31日(火)と、アルバムの最終段階であるミックスダウン(本来、31日は予備日で、既に終わっているはずだった。レコ―ディングに打ち込むあまり、予想より時間がかかり、その皺寄せが来たのだろう)を行い、そして、8月2日(木)に最終段階の最終段階であるマスタリングを終えた。
その完成に先駆け、7月30日にミックスダウンの現場を覗かせもらった。レコーディングした音がミックスを経て、完成品になるところを見たかったからだ。
都内の私鉄沿線にあるレコ―ディング・スタジオで、彼らは作業をしていた。頭脳警察からはPANTAとベースの宮田岳、ドラムスの樋口素之助が駆けつけている。他のメンバーは予定があったため、立ち会えなかったようだが、彼らが全権委任される。テイチクのディレクター、頭脳警察のマネージャー、そして、頭脳警察のドキュメンタリーの撮影クルーの末永賢がその場にいる。彼らは耳を凝らしながら同スタジオのハウスエンジニア、有馬英之の作業を見つめている。彼は秦万里子、ファイヤーエンブレム、綾小路きみまろ、稲川淳二、三柴理、狩野泰一、森重樹一…など、ジャンルを問わず、幅広い仕事で知られているベテラン。
私がスタジオに着いたのは猛暑も収まりつつある夕暮れ時だったが、彼らは「R☆E☆D」のミキシングを行っていた。シリーズ・ライブでは度々、演奏されていたが、同曲も新作に収録される。86年5月にリリースされたコンセプト・アルバム『R☆E☆D(闇からのプロパガンダ)』のタイトル・トラックである。革命(Revolution)・進化(Evolution)・退化(Devolution)を繰り返す“アジア”をテーマに、 未完の長編小説『闇からのプロパガンダ』を原作とする架空の映画のサウンド・トラック盤というコンセプトを持ったアルバムである。パンタ自らが主人公を演じたスチール写真とストーリーの要約がライナーに掲録されているが、架空にも関わらず、何故か、同“映画”の解説を私がさせられている。AV評論家(笑)という肩書になっている。いまは掲載されているか、わからないが、見てもいないのに痛快アクションの快作、この映画は面白いなんて書いていた。いい加減ものだ。いずれにしろ、同曲が収録され、その完成の現場に立ち会える、偶然でしかないが、何か縁のようなものを感じる。
いうまでもなく、同曲はいまも生々しい。むしろ、こんな時代だからこそ、よりリアルなものとして響いてくる。頭脳警察が動くと時代も不思議と動いていく。
ヴォーカルのテイクをところどころ入れ替え、演奏のテイクを相応しいものが選択され、形になっていく。
同日は、私がいた時には「揺れる大地Ⅰ」や「だからオレは笑っている」、「戦士のバラード」がミックスダウンされている。フライングになるといけないので、詳述はできないが、PANTAはメンバーの意見を聞きながら楽器の音量やバランスをミキサーに指示を出す。
レコ―ディング・メンバーはいうまでもなくPANTA(Vo、G)、TOSHI(Perc)、澤竜次(G)、 宮田岳 (B)、樋口素之助(Dr)の5人。彼らにメンバーといってもいい八面六臂の活躍をするアーバンギャルドのおおくぼけいが加わる。ストーンズにおけるイアン・スチュアート的な存在だろう。要所要所に彩りを加えていく。ゲストは吉田美奈子(Cho),石垣秀基(尺八)、ASUKA(Sax)が参加している。これまで所縁あるゲストを大挙して呼ぶという“ラスト・ワルツ”的とでもいうべき無意味な豪華絢爛さを廃して、頭脳警察のみでの自給自足は天晴なかぎり。
完成されたすべての楽曲を聞いたわけではないが、こうきたか。流石、頭脳警察、一筋縄ではいかない――それが感想である。我々の予想や想像を遥か上をいく、驚天動地の音と歌。豪放磊落でいて、愉快爽快である。深遠でいて緊密。過激で破壊的でいて典雅で優麗である。スタジオには曲順未定ながら全収録曲のタイトルが書かれ、作業が終わったものからマーキングされた用紙があった。思わず、持ち帰りたい誘惑(衝動!?)に駆られたが、私は大人だ。いい意味で予想を超える曲数、想像を裏切る選曲である。頭脳警察の集大成でありながらも、新機軸も数多ある。PANTAはプレイバックを聞きながら“みんな、異色だよ”と叫ぶ。期待せずにはいられないだろう。
新作は聞くものの心と身体を振るわせること必至。揺れる“心体”だろう。平成組が昭和組に気圧されることなく、伸び伸びと演奏している。それも同作の成功(!)の要因だろう。宮田と樋口は頭脳警察を知っていることは知っていたが、その名跡に怯むこともなく、自然にメンバーになれたという。PANTAとTOSHIがイメージと違い、やさしかったことも大きかったらしい(笑)。
頭脳警察の復活は事件である。いわゆる日本のロック史に残る伝説のバンドの再結成や復活とは少し趣を異にする。その衝撃や影響は音楽界に留まらない。社会を揺さぶる。世は歌に連れてしまうかもしれない。何が起こるか、わからないが、すこし、世界が騒がしくなりそうだ。
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2019年9月18日発売
時代を超えてプライドとパッションを放ち続ける。結成50周年記念作品 !
乱破/頭脳警察
定価 2,778+税【TEICHIKU ENTERTAINMENT】
頭脳警察
PANTA : Vocal、Electric Guitar、Acoustic Guitar)
TOSHI : Percussion
澤竜次 : Electric Guitar、Acoustic Guitar、Chorus (黒猫チェルシー)
宮田岳 : Electric Bass、Chorus (黒猫チェルシー)
樋口素之助 : Drums、Chorus
おおくぼけい : Grand Piano、Accordion、Mellotron、Moog Synthesizer、Programming
ゲスト 吉田美奈子 : 石垣秀基 : ASUKA
頭脳警察オフィシャルHP
https://www.brain-police.com/
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