タクシー、事故

セダンのタクシーに乗っている。
僕は助手席に、Rちゃんは後部座席の左側に、その横にもうひとり、誰かが座ってる。
車がゆっくり譲り合いながらすれ違うくらいの曲がりくねった道の両側に、民家や商店が並んでる。
緩やかな下り坂が続いてるから、谷あいの山里だと思う。

ゆるい左カーブに入ってすぐ、車が不自然に加速する。
曲がりきれない。ブルーグレイの建物の壁が迫る。
体をきゅっとこわばらせて、目をつむる。
強い衝撃。

車から出る。
いつものポーチをたすき掛けにしたRちゃんも降りていて、車の方を向き、ぼーっと、うつむき気味に立っている。
左のおでこと頬に血が垂れている。
声を掛ける前に、小声で、「いたい。。」とつぶやく。
「いたいね、いたいね、」と言いながら、頭を撫でる。


おわり

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