アルバム『PFAM』 セルフライナーノーツ
https://friendship.lnk.to/PFAM
はじめに
ここ数年の集大成的な内容で、結構前から作り続けていたので、中には6年前くらいの曲も存在する。また、貯金をはたいてマイクと、マイクプリアンプを新調し、録音し直したものもあれば、そのまま修正せずに使用したものもある。どちらにせよ、自分にとっては非常に愛おしい作品であるのは間違いない。
ミックス、マスタリングはすべてTSUTCHIEさんに依頼した。TSUTCHIEさんがいなければこのアルバムはリリースしなかったかもしれない。感謝。
収録曲は2015-2016年に作ったものが多いようだ。
実は、2015年の夏に一度ラップを、音楽を、やめようと思った。もめ事があったり、いろいろな事情が重なって、精神を崩したりもした。リリース予定のレーベルとの話がポシャったりもした。それでtwitterもやめてしまった。(今もう一度アカウントを作ったけど、以前と比べて笑ってしまうほどフォロアーが少なくなった。)
そのあたりから、ライブはしつつも写真の比重が多くなった。しんどいときの支えは写真とスケボーだった。
アートワーク
いつかのパーティでPFのTシャツを着て遊びにきてくれた友達のDJ YUUちゃんの写真を加工して作りました。またTシャツ作ろうかなと思うくらい今回のアルバムアートワークは気に入っています。ちょっとだけ歪で、手書きっぽくもある。
1.ONE WEEK
元々、twitter上で企画されたおならBOO氏のBOOSTコンピに提供した曲。
当時フリーDLがめちゃくちゃ世界的に流行していて、毎日が新鮮だった。
音は今聞いても古びていない。「都会的な」という意味で使ったアーバンというフレーズがあったのだけど、そのままリリースすると一生後悔するような気がして、リリースの締め切りギリギリで削ることにした。(ツッチーさんご迷惑かけてすみません……)
音に関しては結構いびつで、これはマイクは安いもので録音していて、マイクプリなども通さず、オーディオインターフェースに直挿ししている。
メインループでサンプリングしているのは自分の演奏だと思われるが、ずいぶん前の録音なので、定かではない。
それ以外はすべて自分で演奏している。機材はmicroKORGとギターとLOGICの鍵盤など。
非常に気に入っているトラックで、MIX時にTSUTCHIEさんが「このトラック良いよね」と言ってくれてうれしかった。
2.FRESH feat.Sequick
以前に書いたので省略。
こちらにあります。
3.LONG TRIP(prod.tomar)
トラックはmetrofieldのトラックメーカーtomarに依頼。
アレンジはかなり口を出させてもらって、大幅に変えさせてもらった。
そのアレンジを変更している途中、tomarのBOSEのヘッドフォンを誤って折ってしまって、その場で弁償することになったことも、もはや良い思い出(でもないか……。)。
データを送ってもらうときにちょっと大変だったけど、とてもかっこいいビートだと思う。ドラムはパラで分けていなく、1トラックのみってのも不思議で良かった。
ラップはとにかくグルーヴを絶やさず、シンプルな音を生かすように作った。
自分は人生は短いって思うときもあれば、結構長くてしんどいなって思うこともあるから、その後者をテーマにした。
「貯蓄うんちく持てないあの世まで それより見ておくきれいな朝焼け」なんて歌詞は結構好き。
4.RISE ABOVE
SEALDSのデモに参加したときに思ったことから着想して書いた曲。
シャッフルのビートとtrapの808の音色が面白い。
歌詞はここがすき。「音楽は終わったなんて誰かが言うなら また始めりゃよくね? 理想論でもかまわねぇ」
冒頭の「PANORAMA FAMILY RISE ABOVE!」のシャウトは、一番好きなレジェンドスケーター(RISE ABOVEといえば…のバンドでボーカルも担当してるお方)が来日したときにiPhoneのボイスメモに録ってもらった。うれしかった。
5.LIGHTS OUT CRUISIN'
水戸の大好きな場所Lights Out Recordsにささげる曲。
Lights Out Recordsのコンピレーションに参加したときに作り、
それを再録音、ミックス、マスタリングし直したもの。
作ったころに「シン・ゴジラ」「シング・ストリート」を映画館で見て興奮したのを覚えている。
Lights Out Records周辺のアーティストたちはキラキラしていてあこがれる。純粋にかっこいいと思える。ファンです。
6.FXXK THAT SXXT
以前に書いたので省略。
こちらにあります。
7.FRIDAY
この曲はミックス、録音は8ronixくんのブルペンラボで。
もともと、アルバム用に作った曲だけど、
FEELIN' FELLOWSのカセットコンピにも提供している曲。
すべて自分で演奏していて、この曲を作ったあたりからトラックは殆ど自分で演奏するようになって、サンプリングというものにあまり興味を持てなくなってしまった。
もはやYOUTUBEもサブスクもあるので、ネタ探しも簡単で、DIGする楽しさもあまりなく、MASCHINEなどの優れた機材もあるので、昔みたいに苦労もせずに、YOUTUBEの解説さえ見ればいいし、誰でもサンプリングならいい感じのビートは作れちゃう。それで、そういうのは興味がなくなった。人のマネするのがビートメイクならくそ食らえだ。
8.CANNONBALL ACTION feat.バクラバ
もともとはテレクラキャノンボールという映像作品を見て、それをテーマに曲を作ろうとバクラバの家で作った曲。
よくライブでもやっている、PFにしては珍しくテンポの速い曲。
その後二人とも父になり、アルバムに残すならそういうテーマじゃないものにしたいとなり、歌詞を大幅に修正。
一聴するとサンプリングのようにもきこえるけれど、全て演奏している。
自分でベースとギターとドラムを録音したあと、ピアノをこんな風に入れて欲しいとお願いし、柳田久美子トリオなどで活躍する鍵盤奏者のオチ ショウコさんに弾いてもらった。
録音場所はアナの大久保くんの家。録音が終わったあとにユニットバスのトイレに行って、手を洗おうとした瞬間、当時買ったばかりのiPhone6を便器に落としてしまい、とても落ち込んだり、なんてこともあった。
9.SLAM JAM feat.前里慎太郎 & バクラバ
この曲は当初、ROMANCREWのエムラスタさんをfeat.して、
お互いの趣味のひとつであるバスケをテーマに作る予定で進めていたのだけど、
エムラスタさんが東京を離れることになったりで、ちょっとアルバムに間に合わないということで、メンツが変わった。テーマはどうしてもバスケのままで行きたかったので、自分が好きなラッパーで、しかも元バスケ部を探したら、偶然にも前作のアルバムでも共作した2人が参加してくれたのだった。2人とはほぼ同い年なので、見てきたものが近く、共有できるものがたくさんあるような。また、この二人のつくるものに対して、自分は純粋にファンでもあるので、一緒にやれて光栄だった。
慎太郎の歌詞にピボットっていう歌詞があって、懐かしい気持ちになった。あと、いつもオニツカタイガーの靴を履いている彼ならではの歌詞も良かったな。
バクラバの歌詞で「華麗な弧描くバックスピンご覧あれ」ってとこがあり、レコーディングが終わってから、メールで「あの華麗なシュート、ってとこ、加齢臭とかかってるんですよ。実は」と聞いて、なんかバクラバのこういうところ好きだなと思った。すごく良い歌詞だなぁ。
レコーディングはTSUTCHIEさんのスタジオで録音したのだけど、慎太郎のレコーディングを終えるスピードの速さがすごくて、かっこいいなぁと思った。こういうのを天才というのだろうなと、慎太郎をみているといつも思う。彼の才能のほんの少しでも自分にあればなぁと。うらやましい。
10.CITY LIGHTS (Prod.DUPER GINGER)
この曲はDUPER GINGERにビートを依頼した。
実は思っていたのとは、まったく違うビートが届いて困惑したのだけど、
実際にラップをしてみると、自分では作らないような曲ができてよかった。
送られてきたドラムはパラデータではなく、少しだけ心配だったのだが、
そこはTSUTCHIEさんの手腕もあって、全く問題ない仕上がりに。
シンプルながら、切なさがあふれるビートに切ない歌詞がはまったように思う。
「素直と逆のため息 あれの適齢期 分かっちゃいるけど簡単じゃねぇし 忘れて乾杯 本当は忘れてなんかない けどとりあえず乾杯」
というところの歌詞が好き。
自分の20代後半から30代前半の気持ちを歌っている。
DUPER GINGERの作るものはいつもかっこいい。ボクは彼らのファンです。
11.BABY LAID BACK feat.しいねはるか
GORO GOLOの鍵盤奏者である、しいねはるかちゃんとのコラボ曲。
まずビートを作ってそれをはるかちゃんに送ると、聞けるけど、録音できないという。その当時彼女はPCを持っていないのであった。
とりあえず、どんなニュアンスになるかだけでも事前にチェックしたいので、弾いて、ボイスメモで録音してくれと頼むと、「わかった。やってみる」との返事。
それで、送られてきたのは優しいピアノの音だった。
これは行けると確信し、ノートPCと録音機材をはるかちゃんの家に持ち込み、ラインで録音させてもらった。
彼女はあまりコードなどがわからないらしく(それでこの演奏ができるってマジですごい。天才か…)、その場で指示を出しつつ、何度も弾き直してくれて、録音完了。暑い夏の昼間だったと思う。
録音時の写真↓
この曲のピアノは頭からケツまでパンチインなしで弾いている。なぜならコードや譜面があるわけではないから、同じように弾けないのだ。全ては彼女の脳内で即興的に弾いたものである。
それで、その音を持って帰り、ちょっと音質を調整しつつ、コードを探って、ベースを弾いた。このベースはとても気に入っている。かなり頑張って弾き方の構成を考えたはずだ。
次に、この演奏に合ったラップを考える。優しいピアノによりそうようなラップにしたかったので、こんな歌詞になった。
ライブを終えてクラブから帰って朝寝ると、本当は昼前まで寝たいのに、パートナーがおこしにくるから、「もうちょっと寝させてくれ」って意味と、「もう少し夢を見ることを許してくれないだろうか」というダブルミーニングになっている。
しかし、その後息子が生まれると、朝寝てると「お父さん遊ぼ おきてー」と起こされることになり、BABYがパートナーではなく赤ちゃんの意味にも取れるようになってしまった。それも嬉しい誤算だ。
※追記(2021年7月21) 歌詞に関しては、「Dance to the music メロウかつブルージー 世界は回る普通に」のところの「普通に」という部分がありますが、今になって考えると「普通に」という表現は使いたくなかったなと思います。「通常通り」という意味で「普通に」ということばを使ったのですが、韻を踏むために「普通に」を使ったことを後悔しています。「普通に」なんてことば好きじゃないのに。
12.SNAP & POINT & SHOOT
写真を撮り始めた2015年ごろに書いた曲。
これもメインのループは自分の演奏をサンプリングして使っている。
サンプルは確か3拍子でピアノを弾いて歌を入れてから、それをチョップして、ピッチ落としてサンプラーへ。それでサンプラーを叩いて作ったんじゃなかったかな。
このときは3拍子をむりやり4拍子に変えるのに、はまっていたんだと思う。違和感が楽しくて。
あと、ドラムのフィルを使わずにシンセで展開を作るのだけを自らに課して作った記憶がある。
この曲も、MIX時にTSUTCHIEさんが「このトラック良いよね」と言ってくれてうれしかった。
この曲あたりからフックを歌うことに違和感がなくなった。
ベースも、シンセベースやサイン波から生で弾くエレキベースに比重が移ったのもこの曲からだと思われる。
歌詞は写真に対する当時の思いが込められている。
あの頃は、フィルムブームなんて来るとは思いもしなかった。
初めての写真展の映像にデモテイクを使ったから、随分前に作ったみたい。
写真展の映像↓
カジヒデキさんがきてくれたの嬉しかったな。(懐)
13.IN THE MUSIC
以前に書いたので省略。
こちらにあります。
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