Ghost 制作記
アナ大久保くんのソロ名義OLD Jr.のアルバム『HAPPY SAD』の2曲目のGhostを作ったときのことを書きます。
この曲ではPANORAMA FAMILYは演奏とアレンジを担当しました。
作詞作曲は大久保くんです。
ある日突然、この曲のアレンジしてもらいたいと思ってるというメールが大久保くんから届き、Ghostのピアノの弾き語りのデモが添付されていました。
聴いてみるとアナのときとはちょっと違うニュアンスだったのでビックリしたのと、かなり攻めた歌詞だなぁと思ったのと、大久保くんが割と失恋したばかりだというのも知っていたので、曲の良さよりも、そっちが気になり、「大久保くん大丈夫かなぁ?」と共通の知人でもある、ウチの奥さんと一緒に少し心配になりました(笑)。
改めてしっかり聴いてみると、本当にこれは名曲になるかもしれないと思えたので、大久保くんにコード譜を送ってもらい悩みながらアレンジを開始しました。
まずビート。大久保くんのソロは多分シティポップ路線でくるはず、と思い、とりあえずオレが作るのはそこは避けたいなと。でも近からず遠からずで、ディアンジェロ以降のオーソドックスさも欲しい。さらにちょっとローファイさも欲しい。ということでMPC500でビートを組みました。ドラムの音はピッチを下げて使っています。
Logicで仮歌と一緒に入っていたエレピの音も加工して、そこにMPC500で組んだビートを流し込みます。
ここで2、3日寝かせて一旦耳をリセット。
それからベースに取り掛かります。ベースはかなり何度も弾き直しました。ディアンジェロ以降のスタンダードなズレと7thを強調したスッタカート気味なフレーズで、3khzくらいまで高域はバッサリとEQでカットしてます。ベースはちょっとモコモコさせたかったのです。
次に歌詞の通り幽霊を表現したサンプルを作りました。フリー素材のボイスサンプルを使ってそれに合わせて自分で演奏したものを、Logicのソフトサンプラーでチョップしてピッチをガッと上げて鳴らしています。曲中でずーっとなってる「アァ〜 フゥフゥ〜」ってとこです。
良い意味での違和感が作れたと思います。
それで大枠ができて、一旦大久保くんに送ったのかな?
で、そこからさらにアレンジを練ります。
シンセを足して、ディレイのかかったピアノパートを作って、(オレとスモサのアズマさんで言うところの定番である)鍵を落としてジャラッてさせた音を録音して、途中に入れたり、ワウのかかったギターを入れたり、ガットギターでソロを入れたり、また、それらを抜き差しして構成を完成させました。
それで大久保くんに送りました。
で、あとはコーラスとか声を沢山入れたいと伝えました。
あとは、大久保くんの方からサックスも入れようと思ってると聞いて、じゃあ、あとはこっちでやり過ぎない方がいいかなと、敢えて手を加えるのをやめて完成しました。
サックスが入るとさらに良い塩梅になってきました。
その段階で今回ミックスするエンジニアの上田くんのスタジオに行く機会があったので、その時にドラムブレイクで始まりたいと伝えて、その場でトライアンドエラーして、今のドラムフィルで始めることになったはずです。
それで、寝かすこと5年。
突然ミックスダウンができたから確認お願いしますと、大久保くんから連絡があり、それでリリースに至りました。
すごい良い曲なので、アレンジも楽しんでもらえたら嬉しいです。
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