研修。
4月から私の弟は新入社員となった。
ずっと在宅での研修を受けている。
なんだかとても楽しそうである。
私も会社員だった頃、研修期間が一番楽しかった記憶がある。
私は広告制作会社に勤めていた。
クライアントと、実際に広告を制作する社内のプロダクションとを仲介する、広告代理店のような役割の部署に入った。
研修は、制作プロダクションに所属する新入社員の子達と一緒であった。
全部で50人くらいだった気がする。
プロダクションの子達は美大出身者がほとんどで、個性的な子が多く楽しかった。
グループに別れてCMやグラフィック案を出し合ったりする時間が、すごく新鮮で面白くて楽しかった。
自分の広告業界でのビジョンも何となく見えてきてワクワクしていた。
(この時もまだ俳優の夢は諦めきれていなかったため、自分でCMを企画して自分で出るという無謀すぎる目標を作っていた気がする。)
しかしGW後、それぞれの部署に本配属された瞬間に、現実を見せつけられた。
勇気を出して発言しても先輩から空気が読めていないと指摘され、だんだんと私の高ぶっていた気持ちはしぼんでいった…。
どんどんモチベーションがなくなっていった。
目標にしたい先輩もおらず、頑張るということをやめた。
1年目の冬あたりでもう辞めようと思っていたが、色々な案件が稼働中だったりして、ずるずると働いた期間がしばらくあった。
その期間は本当に辛くしんどい時間だった。
資料を何度読んでも頭に入ってこなかった。
感情がどんどんなくなっていき、何も主張しないことが一番楽だと気づき、自分から発信をしなくなった。
研修ではあんなに目の前がキラキラしていたのに…。
誰にでもこういう時期はあるのかもしれない。
こういう時期を乗り越えてこその社会人なのかもしれない。
でも私は、これ以上働き続けていたら、いずれ感情がなくなり、何も果たせず人生を終えるなと思ってしまった。
だから踏み出してしまった。リスキーな世界に。
人生には色んな道がある。
私は、リスキーでも自分にとって一番魅力的な道を進みたい。
そうでないと、絶対に後悔するから。