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徹子さんが通った「トモエ学園」

お部屋の中を片付けており、フリマアプリやリサイクルショップなどを活用させてもらい、かなりお部屋がスッキリしました。
そんな中、手放さなくてよかったな、と思えるお宝本を見つけました。祖母から母、そして母から私にまで渡った本でしたが、なぜか今まで読む機会がなかったので読んでみました。

『窓際のトットちゃん』

著者:  黒柳徹子氏
出版年: 1981年

現在91歳(Wikipediaによると)になる徹子さんが子供の頃通っていたトモエ学園での小学校生活について、アメリカとの戦争が激化する寸前までを綴ったものであり、「トットちゃん」は当時のあだ名になります。

私がテレビで知る徹子さんは今でこそ足腰が弱ってはいますが、かつて精力的に慈善団体の活動に取り組んだり、各出演番組においてもとても勉強熱心でシャキッとした印象があります。しかし、幼少期はジッとしていられない、教師を困らせるような児童だったそうで、そんな徹子さん(以下、トットちゃん)は小学校一年時に最初の学校を退学になってしまいます。なかなか驚きました。

トモエ学園のリトミック教育

次にトットちゃんが通った「トモエ学園」と言う小学校がこれまたすごい…
創立者で校長である小林先生が、当時ヨーロッパで研修・視察した教育法に感銘を受けて日本に持ち込んだもので、【リトミック】という音楽を使った特別なリズム教育を用いますが、これは本作品内の説明をお借りしてまとめると、心と体にリズム感を身につけると性格もリズミカルになり、リズミカルな性格は強く素直に、自然の法則に従うようになる上に想像力や創造力が養われるとのこと。
私自身、過去の教員時代にオランダで教育視察をしたこともあり、こういった数ある情操教育の類にはとても関心があるのですが、私が心に残ったのは小林先生が当時嘆いて話していたある部分→

「文字と言葉に頼りすぎた現代の教育は、子供達に自然を心で見、神の囁きを聞き、霊感に触れるというような官能を衰退させたのではなかろうか 〜中略〜 世に恐るべきものは、目あれど美を知らず、耳あれども楽を聴かず、心あれども真を解せず、感激せざれば、燃えもせず…の類である 」

窓際のトットちゃん「リトミック」の章より

…この箇所です。子供のトットちゃんが、校長先生の話すこんな難しい話をよく覚えていたなぁと感心するのもあるのですが(文言が残っていたのかな?)、教育に真剣に携わる人の嘆きは約80年前も今と変わっていないんだな…という切なさも感じられます。
自然から大切なことを学べる・人間が自然の一部だということも本当に共感できるので私の心にズンッときましたし、考えさせられました。

トットちゃん達はリトミックをベースに、学校生活全体においてカリキュラムなんてほとんどなく、自分の好きな教科から勉強してもいいという、この時代にはかなり前衛的な教育で自由にさせてもらいながらも、友達との協調性や学ぶ楽しみを育んでいく楽しい時間を過ごしていたそうです。
トットちゃんがトイレの下にお気に入りの財布を落とした時も、汲み取り口からなんとしてでも救出しようとするトットちゃんに対し、「危ないから辞めなさい」と止めず、校長先生は助言や見守るだけで、気の済むまでやらせてあげていたのも印象的なエピソードでした。

普通に考えたら、私達は子供を野放しにすると好き勝手やって収拾つかないと思いがちです。しかし、この様に想像力・創造力を鍛えていく中で、自分で決めたことを気が済むまでとことんやらせて、自分を納得させて次に進めることは人としての成長を促せるのではないかと、本当に思います。私は独身で子供もいないので、自身の記憶から話すと、自分で決めて実行した事に失敗も成功も経験して納得した時に、自己肯定感が生まれてきたなぁと思うのです。
こういった教育のテーマに触れると、私はどうしても、自己肯定感の育み方、そして多様性の理解というものに繋がるものを感じていますので、近々このことについても書きたいと思っています。

約40年前に発売されたこの作品が、時を経て昨年に映画も公開された事でまた注目を浴びたでしょうが、間違いなく読んでいてすごく、「新しさ」を感じさせてもらいましたし、徹子さんの人を想う、大事にする人柄がすごく伝わる楽しさもありました。
そして小林先生の取り組みを知って、自分の中でやってみたいことの一つに繋がるような気がしています。

『続・窓際のトットちゃん』もさっそく購入したので、母が読み終えたら読んでみたいと思います。トットちゃんがその後どのように成長していったのかを知れるのが楽しみです。

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