特急すずらん号に救われたお話し。
7月のとある朝のこと。
野暮用を済ませて南千歳駅から札幌駅まで移動しようと列車を待っていました。
この時間帯の札幌への移動の選択肢は以下の4本。
普通列車 苫小牧発小樽行き(2721M)
南千歳0747→札幌0835
(途中駅での退避無し)
普通列車 新千歳空港発札幌行き(821M)
南千歳0754→札幌0852
(途中の北広島駅で0819〜0827 列車2本退避)
特急すずらん3号 室蘭発札幌行き(1003M)
※全車指定席、乗車には特急券が必要
南千歳0805→札幌0838
途中停車駅:千歳、新札幌
(北広島駅で821Mを追い越し)
快速エアポート23号 新千歳空港発札幌行き(3823M)
南千歳0808→札幌0842
途中停車駅:千歳、恵庭、北広島、新札幌
(北広島駅0825発で先行821Mと接続して以降先行)
快速エアポート25号 新千歳空港発札幌行き(3825M)
南千歳0822→札幌0858
途中停車駅:千歳、恵庭、北広島、新札幌
元々乗ろうかと考えていたのは最も早くやって来る苫小牧からの普通列車か、もし混雑していた時にはその後を追うものの新千歳空港始発で確実に空いているはずの普通列車のいずれかでした。
ただ、この朝は最近多い鹿との接触の影響で遅延が発生しているとの事。
この中で鹿の影響を受けたのは苫小牧からやって来る南千歳駅0747発の普通列車小樽行き。
この列車実は朝札幌から苫小牧へ向かった車両の折り返しなのですが、近くを走行していた列車が鹿に接触した関係で始発の苫小牧から向かってくる時点で10分程度の遅延があるとの駅での案内と共に、世の中の方たちが忙しい朝の時間帯ということで駅員さんからはどの列車が最初に札幌駅へと着く予定なのでソレに乗るようにと案内の放送がありました。
そうこうしていると
・列車の運行順序が変更になった。
・札幌駅に1番早く着くのは特急すずらん3号。
・普通列車の遅延の為本日に限り特急すずらん3号へ乗車券のみで乗車出来る。
・全車指定席の列車なので空席に座るように。
との案内がありました。
JR北海道さんが運行が乱れたときに時々行われる特例なのですが、駅にて待たされていた影響を受けた利用客向けに運行が優先される特急列車に乗車券のみで乗車が認められる場合がありこの日もまさにその特例が適用されました。
南千歳駅では、
①0754発札幌行き821Mがほぼ定刻で発車。
→隣の新千歳空港駅始発だった為遅れの影響受けなかった。
②0800すぎ小樽行き2721Mが15分近い遅れで発車。
→降りてきた乗客の数名が特急すずらん3号へと乗り換え。
③0805発札幌行き特急すずらん3号1003Mがほぼ定刻で到着。
→遅れ普通列車発車後に改めてこの日に限り特急券不要で乗車が認められる旨案内放送有。
そんな私も特例に感謝しつつ特急すずらん3号に乗車。
5両編成ながら苫小牧駅の改札に近い先頭5号車や座席設備が他の車両よりも良い4号車のuシート車両は混雑していたものの、編成のわりと後方に当たる2号車は空席が多数有り二人掛けの窓際席を確保。
2号車は通常の座席の車両ながらも特急列車ということで普通列車の車両に比べると圧倒的な快適性です。
最初の停車駅は隣の千歳駅。
千歳駅でもこの日に限り新札幌・札幌の両駅へは特急すずらん号が乗車券のみで利用出来る旨案内が行われていたようで数十名の乗客が乗車。
ただ、増えた乗客が着席しても半数以上が空席の状態でした。
また、苫小牧方面への線路の内側線にあたる2番ホームに遅延し
ていた小樽行き普通列車の2721Mが退避中。
本来は札幌駅まで特急すずらん3号の前を走り続け逃げ切れるダイヤなもののこの日は遅延の影響で臨時の退避が必要でした。
候補としては千歳、サッポロビール庭園、島松の3駅あったのですが後ろからの特急にすぐ追いつかれてしまうため千歳駅が選ばれたようで、本来札幌方面行の退避で使われる3番ホームには8:18発千歳駅始発の札幌行きもすぐに到着するという様々な条件がある中でのこの臨時退避はプロの方の冷静な状況判断が活きているよなと感心。
恐らく特急すずらんの直後にやって来る快速エアポートも千歳駅で退避していたのだと思います。
千歳駅を出た後の特急すずらん3号の車内は落ち着いた雰囲気の中列車の運行頻度の高い千歳線内を快走していきます。
途中の各駅では列車を待つ人たちがホームで待っている姿を見かけたのですが、特に快速停車駅の恵庭駅と北広島駅での人数の多さが際立っていて。
コレは本来最も早く新札幌駅と札幌駅へ到着するはずの普通列車が遅延→その2駅にこの日一番早く到着することになった快速エアポートが特急すずらんの直後を走っていたということでホーム上で列車を待つ人が一番多いタイミングで自分の乗車列車が通過した為だと思います。
そう考えるとこの日の混雑する快速停車駅での乗客流動の予測として
恵庭駅・北広島駅
→遅延普通列車の乗客が快速エアポートに集中するのは目に見えていて、尚且つ快速エアポート23号は普段から混雑している。
南千歳駅・千歳駅・新札幌駅
→快速エアポートに全て収容すると混雑が著しくなりそうなので快速の直前を走るダイヤの特急すずらん3号に乗客誘導するのが善策。
という状態で、普段乗車率にとても余裕のある特急すずらん3号に白羽の矢が立ったという考え方が成り立ちます。
今年春のダイヤ改正で全車指定席化されて乗車率が良くはないと言われている特急すずらんの存在がこの日はとても役にたったのでしょう。
途中通過駅の住人なので特急すずらんに乗車する機会はまず無いのですが、朝の混雑する札幌への通勤通学時間帯の中であの落ち着いた空間で尚且つ速達性が保たれている特急すずらんは世の中からもっと存在意義が認められてもよいのでは?と考えさせられました。
千歳線沿線住民だと特急型の5両編成の785系や789系1000番台は旭川発着の快速エアポートに使われていた時の印象で混雑して乗降に時間がかかるというイメージだったのですが本来の目的の特急列車用としては乗客目線ではとても良い設備を持ち合わせていて静寂性の高さも素晴らしいなと感じました。
そんなことを考えていると途中の北広島駅で南千歳駅で見送った新千歳空港始発の普通列車を追い越して新札幌駅並びに札幌駅へ定刻で到着。
個人的には当初予定していた普通列車での移動よりも快適に札幌駅までたどり着くことができました。
地味だけれどもこの日は存在意義をとても感じることが出来た特急すずらん。
地元の住人やビジネス需要の方たちにも、そして登別温泉やウポポイへの観光需要にももっと認められるべき特急列車なのかもしれないと感じられた朝でした。
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