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上勝町のゼロウェイスト

徳島県上勝町は2003年日本で初めてゼロウェイスト宣言を行い持続可能な社会に向けて歩み始めた。

〜上勝町のゴミ政策と歴史〜
上勝町は周囲を山に囲まれた人口わずか1600人余りの少子高齢化が進む小さな町です。

ゼロウェイスト運動に取り組む上勝町のごみ処理は独創的です。

特徴①
ゴミの収集車が走っていない。町民自らがゴミステーションにゴミを持ち込む

特徴②
細やかな資源の分別45分別
どこで、どんなものにリサイクルされるか?処理にかかる費用等、買取価格等が分別商品ごとに記されている。

特徴③
生ごみは全て家庭で処理。
水を切って電動式生ごみ処理器に入れ肥料にする。コンポスト

特徴④
ステーションに持ち込めない高齢者に対しては、ゼロウェイストアカデミーの職員が運搬支援を行う。

その時の引き取り価格は、1袋210円、ただしそのほとんどは市が負担し、町民の負担はわずか10円である。

有料にすることで少しでもゴミを減らしてほしいと言う狙いがある。

また同時にお年寄りの見守りにもなっている。

ゴミを減らすために有効なのがリユースである。

ステーションの奥にある「クルクルショップ」には、まだ使えるが家庭で不要になったものを持ち込むと誰もが自由に持ち帰ることができるリユースショップです。

料金は全て無料、持ち込みは町民のみですが、持ち帰るのは誰でも持ち帰ることができる。

2015年度は、約13㌧持ち込みされ、引き取りは約11㌧再利用されました。

センターの奥にある「くるくる工房」は、古くなった着物やこいのぼりの生地を使って新たな商品を生み出す。リメイクショップ。作っているのは町民の高齢者が中心です。

ここで働く高齢者たちは、一様に、「この仕事は楽しいなぁ〜」と、声を揃えて言う!

ゼロウェイスト宣言を行い、上勝町では様々なゴミを減らしてきた。

現在日本全国のリサイクル率は20%、上勝町は81.1%を達成している。全国平均の4倍である。

今でこそ世界トップクラスのゴミ政策を行っている上勝町ですが、1997年までは、現在のごみステーションのある場所の近くに大きな穴を掘って野焼きをしていたそうです。

1997年容器包装リサイクル法の施行によりカンや瓶など10品目に分別する必要が出てきた。

その翌年の1998年、県からの焼きを止めるよう通告を受ける。そこで2機の小型焼却炉購入するが、ダイオキシン法に対応出来ず、やむなく焼却ゴミは、山口県の業者まで送らざるをえなくなった。

ところがコンテナ1本、77万円以上の経費がかかるために断念し、その後2001年から30種類以上の分別をする必要に迫られた。

役場の職員は町民一人ひとりに丁寧に説明を続け、ゴミの分別回収は少しずつ町民に浸透して行った。

ちょうどその頃、アメリカで、ゼロウェイスト運動の啓発をしていたポールコネット教授が上勝町を訪れ、ゼロウェイスト宣言をすることを勧めた。

町はこの提案を議会で裁決、上勝町は2020年までに「焼却埋め立てゴミをゼロにする」と言う目標を掲げ自治体としては日本で初めてゼロウェイスト宣言を行いました。

上勝町ゼロウェイスト宣言
1. 地球を汚さない人づくりに努めます。

2.ゴミの再利用再資源化を進め、2020年までに焼却埋め立て処分をなくす、最善の努力をします。

3.地球環境を良くするため世界中に多くの仲間を作ります。

2005年NPO法人ゼロウェイストアカデミー設立、ごみステーションの運営は委託された。

ゼロウェイストアカデミーでは、ゴミ削減のための調査研究や活動を広めるるための広報、視察者の対応などを行っています。

上勝町のゼロウェイストが広く知られるようになると、その理念に賛同する新しい店が生まれました。

移住者も増加し上勝町の大切なブランドになっています。


2015年ゼロウエイストの主要スタッフが世代交代しました。

2017年事務局長
ゼロウェイストと言う所に対してのモデル地域であり続けたい。最終的には上勝町から始まって各自治体だったり世界に向けてゼロウェイストの基準や定義と言う物が広く広がっていくということが望ましいと思っている。

2017年理事長
これまではゴミ処理とかリサイクルと言うところに最初入り口として行ってきたわけですが、リサイクルに頑張ってもやはり上流の出口を閉めないと仕方がない。

そういった取り組みを上勝町だけ発信してもなかなか社会は変わらない。

もっと世界中に仲間を作り、同じように取り組んでいく市町村を増やす、コミュニティーを増やす、さらに企業だったりモノを作っている人たちを巻き込んでいくことが必要。

小さな町上勝町から世界中に仲間を作っていくためのゼロウェイストアカデミーでは、飲食店や企業に向けてゼロウェイスト認証制度を始めました。

これはゴミや無駄を減らそうと努力している事業所のイメージアップを図るとともに、ゼロウェイストの活動を社会に広めていくことが目的です。

上勝町のゼロウェイストへの取り組みは、その活動が評価され2016年環境大臣賞を受賞しました。

ゼロウェイストそれは持続可能な社会を作るためのキーワードです。

何でも使い捨ててゴミにする社会からゴミを出さない持続可能な社会を…

未来の子供たちに美しい環境と大切な資源を引き継ぐために…





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