121 道具との向き合い方
夫の自転車が壊れましてね。
今まで自転車は紆余曲折がありました。
しかしどんな局面においても
夫の整備士としての腕のおかげで
なんとかなってきました。
今回の故障、
リアのブレーキが当たっているタイヤのホイール部分、
パーツ名はなんて言ったかな?
それが経年劣化で割れまして。
タイヤのパンクではないけど、
このままでは走行中に空中分解もありえる
とのことで
どうするかの家族会議になりました。
この状況で多くの人は
買い直すことを選択すると思います。
しかしこの自転車は
私たち夫婦がこの1年直面していた危機的状況を察して、
ギリギリまで故障せずに踏ん張ってくれた
とんでもない孝行自転車なのです。
私たちに自転車の不具合に対応できる余力が出来るまで
待ってくれていたと言えるのです。
そんな子を、
「あー壊れた壊れた、捨てよう」
と無碍には言えないのは情というものでありましょう。
もし先々手放すことになったとしても、
このタイミングでさっさと手放すのは忍びない。
悪あがきできるのであれば、
それを試したあとで腹を括ればいいのではないかと私が提案。
結局、
リアに関していえば、総とっかえ。
そしてその過程でギアとチェーンに不具合を発見し、この先オーバーホールする必要が出てきました。
夫の自転車は、人から譲ってもらったもので、
アメリカ製のdahonというメーカーのものです。
しかし、長年放置されたその自転車は
譲ってもらった当初から問題が山積みでした。
そしてdahonは独自の規格が多すぎて、
修理がしづらい。
それを整備士の経歴をもった人間(夫)の
技と知識を結集させて
なんとか今まで使ってきたのです。
もう今やあの自転車は
アルミフレームだけがオリジナルという
事態になってきました。
でも、知恵を絞ってその都度修理をしている姿を見て、
私が理想とする道具との付き合い方って
こういうことだよな、って強く思ったのよ。
(安く)買う、
(安すぎるからすぐに)壊れる、
(安いから修理もせずに)捨てる、
というサイクルだと
買った時がピークであとは下がるばかり。
紆余曲折を経て、
自分の相棒にしていく、
どんどんフィーリングが合ってきて、
年を重ねるとどんどん最高の相棒になっていく
それが私の思い描く、
もっとも良い関係の築き方。
道具に限らず、
自分の身体、心、
人間関係、
衣食住、
全て。
そういう
時間を宝に出来る在り方を
大事にして生きていきたいなあと。
夫の自転車は、
譲り受けた時のボロボロさから
「クズ鉄男」という名前を付けられ、
私の自転車は安物が故、
「ポンコツのぽん子」という名が付けられていますが、
こんな調子なので、
鉄男とぽん子には長く私たちの生活を支えてもらうことになりそうです。
本当の鉄屑になってしまう日まで。