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ここまで来たか…AIの自動運転はドリフトも可能にする!

まずはこちらをご覧ください

こちらはアメリカはカリフォルニア州にあるサンダーヒル・レースウェイ・パークというサーキットで行われたドリフト走行の映像です。

プロドライバーが専用チューニングされた車両に乗ってコースのスタートラインにスタンバイします。
さぁ、ここから本格的にプロドライバーのドリフト走行が見られる!と思いきや…

ドライバーはハンドルから手を放し、ENGAGEと書かれたスイッチを入れます。すると「AUTONOMOUS 自動制御中」という表示がセンターモニターに出ます。

走り出した車両。
ストレートを豪快に加速するとサイドブレーキを引いてドリフト状態に持ち込みます。
コース上に置かれた障害物を避けるように右に、左にテールスライドしながらスラロームしてフィニッシュ!
フィニッシュの際にはドライバーシート側の窓からドライバーが手を掲げています。

次のカットに映ったのは、ハンドルを放して座るドライバーと勝手に回るハンドル。車両はしっかりドリフト走行を行っています。

そう、こちらは自動運転で行われたドリフト走行のパフォーマンスでした。

ぶつからないクルマ作りの最先端

Toyota Research Institute(TRI)が行っている「事故を起こさないクルマ」の研究開発の一環として、自立運転で障害物を避けながらドリフト走行を行うスープラが作られました。

道路状況が極限状態でも、緊急時にクルマ側がプロドライバーのように危機回避させられることを目的としています。

このプロジェクトはTRIとプロドライバーの具志堅士郎氏、自動車用アフターパーツメーカーである「GReddy」の協力と共に、スタンフォード大学の研究チーム「Dynamic Design Lab」と共同で進められてきました。

ドライバーの具志堅士郎氏はアメリカで開催されているフォーミュラードリフトで活躍するプロドライバーです。

GReddyは自動車のアフターパーツを開発・製造および販売を行っているトラスト(TRUST)の海外販売ブランドです。
国内でもドリフトの最高峰であるD1グランプリにteamTOYOTIREとして「GReddyR35GT-R」を投入していた時期もありました。

スタンフォード大学の研究チーム「Dynamic Design Lab」は2020年に「自立運転でドリフトするEVデロリアンDMC-12」を製作したことで話題を呼びました。見出しからすでに突っ込みどころ満載ですが、通常のデロリアンDMC-12はバックトゥザフューチャーに登場することでもお馴染みですが、ノーマルだと2.9L-V6エンジンを搭載した車です。しかしこの時に製作されたデロリアンは最大700Nmを発生する電気モーターを左右の後輪に1つずつ搭載したEVに換装させた上で、自動運転のためにGPSや各種センサー類を搭載した特注のデロリアンとなっています。

今回使用された車両

今回の自動運転ドリフトで使用されたのは2019年にTOYOTAから販売された5代目となるスープラ(DB型)をベースに、フォーミュラードリフトで使用されている車両と同じレベルまでチューニングした車両を製作。
走行中の車両状態を把握するため、車両の至る所にセンサーを搭載し、ドリフトという通常走行とはかけ離れた状態の車両のデータを細かく分析しながら、自動運転のためのデータ取得を行ったそうです。

人を補助する自動運転技術

今回開発されたのは、人の運転を予測・制御する「Nonlinear Model Predictive Control(NMPC)」というソフトだそうです。この技術はクルマ側(AI)が人間の運転に代わるものではなく、あくまでも補助的に介入するものであり、自動運転とはまた趣旨が違います。

たとえば、雨の日や雪の日など、路面が滑りやすい状況で、不意に横滑りした場合、余程慣れたドライバーでなければ冷静に対処することは難しいでしょう。こういったケースに対して、NMPCが適切に危険回避を行うことで乗員の安全を確保することを目的としています。

自動運転と聞くと常にドライバーの代わりにシステム側が車両制御を行うことを思いがちですが、緊急時や危険回避のための補助機能としての自動運転も年々新たなものが登場しています。

最近の自動車では当たり前になりつつある『衝突軽減ブレーキ』もその一つですが、これら先進予防安全の技術はGPSをはじめ、各種センサー、カメラなどを駆使して成り立っています。
そういった電子機器がたくさん搭載されるので、今の車は価格が高額になりがちです。そういったお話もこちらでしていますので、よかったら読んでみてください。

自動運転が当たり前になりつつある世の中

こういった映像を見ると、「プロドライバーの運転技術も数値化されるとAIで再現が可能ならアトラクションとして、自動運転でドリフト走行する車両に横乗りなんて面白そうだな」という遊び心が出てきます。

もちろんそのためのソフト開発ではありませんが、そういったアミューズメントとしての使い方も出来てしまいそうな研究というのも面白いと思います。

国内においてはホンダ『レジェンド』が自動運転レベル3の認定を得た車両を限定で販売しましたが、まだまだ自動運転が身近に感じるレベルではないと思います。

というのも、自動運転には様々な問題がまだたくさんあります。

一番大きな壁は、手動運車両との共存です。この壁がクリアできれば、自動運転車両は飛躍的に拡大していくと思います。
現在は自動運転レベル2に相当するACCが高速道路という限られた領域での使用がOKとなっていますが、10年前クルマと比べたら格段の進歩をしています。次の10年で高速道路上は完全自動運転が可能な車両が登場していてもなんら不思議ではない昨今のAI技術の進歩にいろんな可能性を感じます。

しかし、なんでも機械に任せるとどうなるか?
人間は必ず退化します。
生物は進化の過程で、必要な機能は進化し、不要な機能は退化します。
便利なものを使うからといって、何も考えなくていいわけではありません。

様々な技術が進歩することで、道具がどんどん便利になりますが、使う側もそれに合わせてアップデートしなければ、便利な道具で身を滅ぼします。

分からないから触らない、知ろうとしない、全部任せる

その時は楽と思います。ですが、なぜ楽なのか、どう楽なのか知らないとそれが使用できない場合、何もできなくなりますよね?

便利なものだからこそ、なんで便利なのか?その便利は何かを犠牲にしていないか?これに代わるものは無いのか?を知ることで、いざという時に対応できる力を身につけましょう。

調べたけど分からなかった。
そんな場合もあるでしょう。それでもいいんです。
調べるということは(なぜだろう)と「考えること」を行ったからです。
「考えること」を辞めたら人間は確実に退化します。

モノを使う側と使われる側。あなたはどちらに居たいですか?

さて、やや脱線しましたが、自動運転によるプロ顔負けのドリフトが可能になったというのは技術の進歩として素晴らしいことです。
時代はそこまで来ている!ということをしっかりと把握して、乗り遅れないようにしたいものですね。

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