プロテクションフィルムというカーケア
おはようございます、こんにちわ、こんばんわ
前回のコーティングのお話で最後にご紹介したプロテクションフィルムのお話をしていきたいと思います。
車にも保護フィルムの時代!プロテクションフィルムとは
前回の記事でも触れましたが、皆様がお持ちのスマートフォンの画面を保護するために保護フィルムを貼っている方も多いのではないでしょうか?
キズや汚れから画面を守るために保護フィルムを貼ると思いますが、車の塗装面を保護するための保護フィルムが「プロテクションフィルム」です。
もともとは1950年頃に軍用ヘリの飛び石対策としてプロペラやキャノピー部に使われていました。その後、1980年代にNASCARのボディやガラス面に使用され、競技車両への使用が浸透していきました。当時は保護の目的よりも、接触によるパーツの飛散を防ぐ目的で使用されていました。NASCARへの使用を皮切りに、車両へプロテクションフィルムを使用する認識が浸透していきました。市販車への使用は高級車ユーザーを中心に、ここ10年程で広まっていきました。
以前は塩化ビニル製のフィルムが多かったですが、現在ではポリウレタン樹脂が主流となり、フィルム表面にウレタン系のコーティングが施されているフィルムが出てきました。性能向上と共に作業性も向上し、取り扱うショップが増えていきました。
プロテクションフィルムの効果は?
カーコーティングでもお話しましたが、車の価値を下げないためには「塗装面の状態を新車時に保つこと」が大切です。
プロテクションフィルムでは塗装面の上に物理的にフィルムを貼ることで汚れや傷などから塗装面を保護することが出来ます。
コーティングでは塗装面の上に薄い被膜を作る程度です。
ガラスコーティングだと平均で0.3ミクロン、被膜の厚いセラミックコーティングでも1~10ミクロン程度です。しかし、プロテクションフィルムは0.15mm(150ミクロン)という厚さがあるため、コーティングでは防ぎきれない飛び石なども保護してくれます。
また、基本的に特殊なものを除いてプロテクションフィルムは透明なので、オリジナルカラーをそのまま生かすことが出来ます。さらに一般的にフィルム表面に光沢感があるため、輝きが増したように見えます。
洗車の際も、塗装面やコーティング面を洗うのではなく、フィルムの上を洗うので、専用クロスで細心の注意を払って…といった感じで洗車傷を心配する必要が無くなります。通常の洗車機洗車もOKですので、お手入れもかなり簡単になります。
耐久年数も3年~5年という商品が多い為、新車であれば最初の車検までは外装のキズや汚れを気にする心配が無くなります。
逆にデメリットは無いの?
勿論メリットだけでは無いです。
物理的に保護フィルムを『貼る』ので、パーツの継ぎ目や縁に段差や隙間がが生じてしまいます。専門店で施行していてもフィルムの内側にチリなどの異物を100%遮断することは不可能ですので、施行後の美観性を保証するものではありません。
一部パーツのみ(バンパー、ボンネット、フェンダーなど)に施工した場合、施行パーツと未施工パーツで塗装面の経年劣化に差が生じる為、剥がした後の見た目に差が出る可能性があります。
純正塗装の様に焼付処理を行っていない塗装は剥がす際に一緒に剥がれてしまう可能性があります。
タッチペン等で補修した箇所は施工時の位置合わせで剥がれてしまう可能性があり、剥がれた補修部が塗装面とフィルムの間で散乱するような形になってしまい、仕上がりが悪くなる場合があります。
洗車機洗車OKではありますが、洗車機もブラシが回転するタイプだとフィルムの縁に引っかかってフィルムが浮いてしまう場合もあります。高圧洗車でも同様に縁にピンポイントで当たってしまうと浮いてしまう場合があります。また、ワックス洗車を行うとフィルムの黄ばみの原因となります。
施工費用はどれぐらいかかるの?
デメリットらしいデメリットもそんなに無いので、ある意味究極の塗装面保護と言えるプロテクションフィルムですが、施工費用はどれ位の金額と思いますか?
えぇ 高いです。 というかコーティングと比較したらめっちゃ高いです。
とあるショップさんが提示している参考価格がありましたのでご紹介します。
施行する車種がポルシェ 911カレラ
ボンネットで¥121,000-
ルーフ(天井)で¥91,300-
外装フル施行(上の画像でシルバーの部分全てに施工)で¥1,078,000です。
高価なコーティングやプロテクションフィルムを施行する意味
ちなみに、同じ911カレラサイズでコーティング費用を見ると
ガラスコーティングでは2万円~
セラミックコーティングでは20万円~30万円です。
勿論、セラミックコーティングの30万も決して安くはないですが、プロテクションフィルムを1台分フル施行する費用はセラミックコーティングの約4~5倍のコストがかかります。
施行するフィルムも一生ものではなく、5年程で貼り直しが必要ということを考えても、施行コストは非常に高いです。
ですが、車を保護するという点でみると『フィルム表面がどれだけ傷ついても塗装面には影響がまったくない』ため、完璧な塗装面保護が出来ます。
例えば新車時にプロテクションフィルムを施行すれば、3年後、5年後に見たときに、フィルム表面に如何にキズや汚れがあっても、フィルムを剥がした後の塗装面は新車同等の状態を維持してくれます。
高級車ユーザーを中心に浸透する理由
前回ご紹介したセラミックコーティングもそうですが、こういった高価なコーティングやフィルムは高級車オーナーを中心に利用者が多いです。
超高級車と言われるロールスロイスやベントレーを始め、マクラーレンやフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェなど、高級車ユーザーの多くは同じ車を長く乗るということがあまりありません。(コレクションを除く)
高級車の新車を乗り継いでいる方の乗り方の一例として、新車で購入し、最初の車検(3年後)までに次のモデルや別のモデルに乗り換えるという方が多いです。
仮に新車時に2000万の車を3年乗って下取りに出した場合、プロテクションフィルムによって塗装面の状態が新車同等であれば新車時の7割~8割の価値が残っている場合もあります。次に購入する車のデポジット分を下取り車両で賄うことも可能となるので、高価なコーティングやフィルムによる保護を行う高級車ユーザーが多いというわけです。
なかなか、一般ユーザーには手が出ない部分ですが、こういったプロテクションフィルムは部分施行が可能なので、ドアノブの内側といった引っ掻き傷がつきやすい部分だけを施行したり、紫外線の影響が出やすいルーフやボンネットだけを施行するといったことも可能です。
保護だけじゃないフィルムの使い方
基本的なプロテクションフィルムは透明ですが、色のついたフィルムも存在します。カーラッピングの分野になりますが、元の塗装の上からラッピングフィルムを貼ることで手軽にボディカラーを変更することが出来ます。
ボディカラーを変更したいと思った場合、これまでは違う色の塗料を吹き付けて塗装するしかありませんでした。カラーフィルムを貼ることでボディカラーを変更することが可能になりました。
フィルムを貼るだけなので、剥がせば元に戻るという点は大きなメリットであり、沢山のスポンサーを背負った競技車両やショーカーを中心に浸透し、今では一般ユーザーもラッピングフィルムを利用するようになりました。
カラーフィルムはたくさんの種類があり、ソリッドカラーから、パール、ラメ、メタリック、さらにカーボン模様まで多様な商品があります。
ベースの塗装を痛めることが無く施行が出来るので、プロテクションフィルム同様に塗装面の程にも効果がありますが、フィルム自体に対する紫外線の影響があるため、フィルムカラーの色落ちが発生します。
耐久年数としては短いものでは1年程、長くても3年程となっています。
たまに見かけるメタリックやラメなどの奇抜なボディカラーの車両なども、昔は塗装によって作っていましたが、今はラッピングで行っている場合が多いです。
『傷ついたり、飽きたら剥がせばいい』、『人とは違うカラーにしたい』といった需要も一定数あるため、こういった商品も今では主流になりつつあります。
また、痛車と言われるアニメやゲームなどのキャラクターやロゴでラッピングした車両の製作に使われたり、企業の宣伝車両に使用されたりと、以外と日常の中でも見かけるパターンが増えています。
車種に合わせてカット済みのフィルムも楽天やAmazonで販売されているので、フィルムを購入して、施行したいところにDIYで張り付けるということができるので、ボンネットだけ、ルーフだけ、ドアミラーだけなど、ポイントカラーの様に使うと車の印象が変わるので、比較的手軽なドレスアップが可能です。
実際にカーボンボンネットを買うと10万オーバーがザラですし、見た目だけスポーティーにしたい!を可能にするので興味があれば調べてみるのもよいかもしれませんよ?
飽きたら剥がせる繋がりでいうと、最近では「ラバースプレー」という塗料が出ています。
その名の通りにスプレーから噴出した塗膜がラバー状(ゴム状)に固まる特徴を持ち、一度着色しても後から剥がすことができます。
塗装面の上から吹き付けて塗膜をつくるので、塗装面の保護にも役立ちますし、キズや汚れを防ぐ効果もあります。
ラッピングの様に貼り付けるのではなく、吹き付けるので更に手軽にカラーチェンジができ、剥がしやすさもあって手軽なので最近人気が出ています。
このラバースプレーは私も興味があり、近々手を出してみようと画策しています(笑) もし購入して実際に施工したら、そのレポも書きたいと思いますので、お楽しみに。
最後に
今回はプロテクションフィルムのご紹介ということでまとめてきました。
正直、めっちゃ高いので手が出る代物ではありませんが、「こういう商品が世の中にあるんだ」ということを知っていると雑談のネタに使えたりするかもしれません。また、ラッピングフィルムもここ10年ほどで色、機能性、耐久性がかなり進化しました。車外、社内問わず使えるものが多いので、ちょっとしたアクセントに取り入れてみたりするのも良いかもしれません。
そして、ラバースプレーもここ最近話題になっている新しい塗料です。こういったドレスアップ関連商品というのも調べてみると色々あって奥が深いので、興味が湧いた方はぜひご自身でも検索してみてくださいね。
それでは、ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。
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