梅核気について

梅核気とは、喉頭に異物感や閉塞感がある症状(のどが塞がれた感じ)で吐こうとしても吐き出せず、飲み込もうとしても飲み込めないもの
東洋医学的な言葉で、梅の種(核)が詰まっている様子に例えて、「梅核気」と言う
現代医学では、ヒステリー球とか喉頭異物感症と言う

東洋医学では、気滞や痰湿で痰がのどに生じると梅核気になる
※気滞:臓腑や経絡の気が停滞し、生理機能の円滑な活動が阻害されること
痰湿:飲食物中の水分を吸収することが出来ず水分が体内に滞ること

原因
心理的な要因が関わっている事が多いとされている

発生機序
思慮(思い悩み)過度→脾を損傷→脾気が鬱結により痰が生じる→痰気が阻害→咽喉や胸郭上部に詰まる

特徴
女性に圧倒的に多く発症するが、男性にも起こる
性格が関与している、特にくよくよタイプ、小さな事を気にするタイプ、心優しい内向的タイプ、矢印が自分に向くタイプ
逆に我の強いこだわりタイプ、自分の主張が通らないと我慢ならないタイプ
また、性格は急に変化しない為、一時的に良くなっても、何か不満や心配事があるとこのような症状が再発する傾向ある

梅核気が生じる病証として、
肝気鬱血、肝鬱気滞
肝気鬱血で気機(気の運動)の疏通や拡散の機能が低下し痰気が喉を阻むことで起きる
梅核気の脈は弦脈(弓の弦が張ったような縦方向に緊張感のある脈)

治療経穴
任脈、腎経(足の少陰)、肝経(足の厥陰)
※腎経と肝経は喉に絡っている
①任脈上の経穴
天突→呼吸器疾患の経穴
膻中→八会穴の1つで気会穴
気海→「一身の気疾を主る」と言われているので、各種の気病に効果あり
②腎経
兪府→胸部疾患に効果のある経穴
彧中
神蔵→胸のつかえ取除く経穴
③肝経
太衝→巡りを良くする経穴
④臨床経穴学より
豊隆→穴性として豊隆は除湿の経穴、心煩により脾胃に生じた痰濁を取除く時
陰陵泉→ 浮腫むくみに有効経穴とされているから痰湿症状にも良い
⑤経筋治療より
精神的な緊張により硬くなった筋肉(硬結)にアプローチする方法
梅核気の硬結は、頸部・上胸部・腹部にある
頸部→胸骨舌骨筋、のど仏の左右外側約2横指の辺りに縦に小さな圧痛と硬結みられる、ここを浅く置鍼、深刺し禁物
上胸部→胸骨上の天突・紫宮・膻中、胸骨左右の肋間(腎経経穴と一致)は肋間筋や大胸筋にアプローチ、ここは横刺
腹部→腹部の深い筋に硬結みられる、任脈の鳩尾・中脘、肝経の期門(この位置は大体内.外腹斜筋・腹横筋がその下に存在)辺りの硬結にアプローチし筋緊張取除き精神的安らぎ得られる可能性あり
⑥精神的な異常について
精神的異常は、後頚部や背部に症状出やすい、後頚部の筋の凝りや肩凝り、背部痛など、身体の後ろに治療ポイントである事多い

参考文献
新版東洋医学概論
東洋医学臨床論
経絡・ツボの教科書
ツボ単
東洋医学見聞録

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