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樹色マガジン第18号(2024.6)

割引あり



常波静の作品

牛蛙とりあえずまだ生きている
青嵐大人も撫でられたいんです
桜桃忌3割引のさくらんぼ
正義にも悪にもなれぬ鯰かな
葛切やいずれは蜜と和解する
大空を指名手配して虹かける
父の日や似顔絵溢れ笑み溢れ
雨宿り背中合わせのアマリリス
ラベンダートイレと同じ匂いかな
遠雷とすすり泣いてるワンルーム
アイスティーミルクは席を外してます
三度寝の背徳感や髪洗う
先輩の電話の声の汗の色
網戸越し見つめる虫の名も知らぬ
夜行バスネオンが漏れる白夜かな
空梅雨の傘は転職活動す

律新集2024.6 常波静 選

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とこうわらび

夕立に女子高生の声高し
夕立やビニール傘の大と小
浮人形日ごとに顔が薄くなり
深爪の指子の髪を洗いけり
昼下がり水底に片腕の蟹
ありまきを打つ霧吹きの強さかな

川嶋ぱんだ

花疲れ意識の底で深呼吸
掌の表へ裏へ揚羽蝶
紫陽花の中を通って店内へ
長靴を蛙が出たり入ったり
コンセントすべて埋まって星涼し

菊池洋勝

店長の切る街路樹や蘖ゆる
清明の泡立昇る産毛かな
花曇開く投票用紙かな
夜勤明け脱ぐ白衣かな花衣
神事かな殺処分する春の馬

中川多聞

豆苗を断ち切る鋏錆びている
夏日向重機の席で寝る男

律新集選評 常波静

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