2022.11.17(木) 新傾向俳句とはなんだったのか

先週の金曜日に樹色の種句会を開催しました。
参加者が揃うまで河東碧梧桐の『新傾向句集』を読みました。


河東碧梧桐の『新傾向句集』は大正四年に発行された碧梧桐の新傾向俳句の成果をまとめたものです。客観写生を深めるために三千里の旅をした碧梧桐がたどり着いた新傾向とはなんだったのか。

前回の種句会では次の2句を読みました。

冬来るや尚乗り締むる馬五頭
出羽人も知らぬ山今朝の冬

 一句目、尚乗りということはそのまえにも乗っていたのでしょうか。その「乗り締むる」は馬五頭に掛かると思われますが、どこを走っているのか、なぜ馬に乗っているのか判然としません。強いていうならば冬が来て身が閉まる寒さに馬も緊張している感覚があるような気もします。

二句目、出羽人も知らぬ山とは出羽国にありながらも出羽の人も知らない秘境といった感じなのでしょうか。冬の空気感が出羽人も知らぬ山をより神々しく見せているのかもしれません。

以上のような句はたとえば、碧梧桐初期の「赤い椿白い椿と落ちにけり」と比べても判然としないところがあります。子規によって叙景としての要素が強まった俳句とは少し違う感覚の「馬五頭」や「山」がそこにはあります。

しばらくはこういった俳句について考えたいと思います。

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