ブラック系?農業法人の章アフターストーリー④~変わりゆく従業員~
強面のおじさんは農場長と険悪な関係になっても仕事を続けています。
最低限の給料はもらえるようになったので、これ以上この農場を変えるのは諦めたようです。
そうしているうちにまた従業員が増えていきました。
今度は若い新規就農希望者が入ってきました。昔の自分を見ているようで懐かしくなりました。
彼も初めは農場長を慕って色々学んでいましたが、次第に農場長の悪口を言うキャラに変わってしまいました。
どうやらこの農場長は人に嫌われる才能があるようです。
彼は農場長に不満を持ちながらも無事2年間勤めた後、独立して農業をしました。
しかし、彼のようなケースは稀で、その後も新規就農希望の人が何人か入ってきましたが、農場長とケンカして辞めてしまいました。
農場長も個性的なのですが、新規就農を志す若者たちもまた個性的な人が多く、なかなかうまくいきません。
他には地域の仕事のない若者が入ってきました。
家庭の事情でほとんど学校に行っていないようです。
「バイクを買いたい!」という目標があって一生懸命働いていましたが、問題がありました。
漢字が書けない、九九ができない、四捨五入ができないのです。
漢字が書けなければひらがなで書けば良いです。
九九ができなければ計算機を使えば良いです。
しかし、四捨五入ができないことに一番手こずりました。
玉ねぎの皮むきの作業量の平均値を出すために計算機で出た数字の「小数点第二位の四捨五入」をしなければなりませんが、それができません。
強面のおじさんが毎日、大声で説明していました。
「四捨五入なんやから4以下は捨てて5以上は入れるんや!!何回言ったら分かるんや!!!」
一生懸命教えていましたが、なかなか覚えられませんでした。
なので、結局一番安定した労働力は高齢のおじいさんやおばあさんでした。
この人たちは文句を言いながらも黙々と働いていました。
また、障害者雇用の枠で軽度の障害を持つ人たちも働いていました。
彼らは問題なく、おじいさんやおばあさんたちと同じように文句を言いながらも黙々と働いていました。
しかし、そんなことになるとは思いませんでした。
つづく
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