年利135%のPancakeSwapと落とし穴・インパーマネントロスについて

PancakeSwapについてお話します。
基本的には仮想通貨を持っている。Binanceを知っているという人を対象にしております

追記:
2021/03/30に PancakeSwapから一歩踏み出す人たちへ&CAKEの伸びしろ という記事を書きました。

PancakeSwapとはBSC上に作られたDeFi(金融アプリケーション)です。


使い方などはネットに転がっているので探してください。Binanceについても知る必要があります。
PancakeSwapの売りは大きなAPY(年利率)です。

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CAKE-BNB LPの場合は135.50%となっています(2021/2/18執筆時点)
CAKEというのがPancakeSwapが発行する仮想通貨で、BNBというのがBinanceの仮想通貨となります。
1年間farm(流動性マイニング)すると資産が1.4倍になるということです
隣のSWINGBY-BNB LPの場合はなんと521.35%ですね!
そんなうまい話あるわけないと思うかもしれません。それは当たっています。落とし穴が存在するのですが、それは後述します。

LPって何?

LPとはLiquidity Providerトークンと言い、流動性マイニング(簡単にいえば預け入れ)に使うトークンとなります。
このトークンはある通貨とある通貨を価格比で1:1になるように預け入れることで変換されるトークンです。預け入れと書きましたが、実際にはこのトークンの変換を戻すことによって仮想通貨が戻ります。
画像のCAKE-BNB LPの場合ですが、CAKEの現在の価格(2021/2/18執筆時点)が日本円換算で1062円、BNBが17,459円なのでCAKE:BNBが16.8:1の割合になります。

このLPを預け入れることで利回りが発生するのです。

そんな利率詐欺じゃないの?

中には全くの詐欺DeFiは存在します。PopcornSwapというものが存在しました。これはDeFiとして預け入れを開始して数時間で引き出せなくなって消えるというものです。被害額は200万ドルと言われています。
あるいは、投資型の詐欺で毎月利子分配をし、信用したところで消えて引き出せなくなる、という典型的な例を彷彿するかもしれません。

PancakeSwapの信頼性としては、まずBinanceから35万ドルの出資を受けていること、CertiKによる脆弱性などの監査を受けているが挙げられます(開発者チームが完全匿名なのがマイナスではありますが)。
サービス開始も2020年9月と半年近くは経過しています。

信頼性を挙げると言っても疑念は消えないと思いますので、PancakeSwapの利用者でなくプラットフォーム提供者の利益の話及び落とし穴と書いた流動性マイニングにおけるインパーマネントロス(変動損失)に話を移します。

インパーマネントロス(変動損失)について

変動損失でもいいのですが、英語で情報を探す時にその言葉がわからないとつらいのでインパーマネントロス(impermanent loss)とおぼえておいた方が良いと思います。
これは簡単に言えば、流動性マイニングに対してのリスクです。1:1で預け入れた仮想通貨は、預け入れた時点から価格が変動すると、通貨同士の比率が変わります。
これによってインパーマネントロスが生じます。

インパーマネントロスの詳しい説明については以下のページを読みましょう。ここでは簡単な説明しかしません。

インパーマネントロスというのは、通貨価格の上げ下げによって生じます。
一方の通貨が上がってしまうと、1:1のバランスが崩れて、引き出せる通貨量が変動します。
なんのこっちゃと思われるかもしれないので、具体例で説明します。以下はCAKE-BNB LPのインパーマネントロスです。
これはBNB価格上昇でのインパーマネントロスです。

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Impermanent Lossがインパーマネントロスで、マイナスになっていますね。
Trading Fee Earingsというのが利回りで、これまで0.21BNBが発生していることがわかります。
トータルとしてはマイナスになっています。これが高い利回りを出せる理由なのです。このインパーマネントロスは仮想通貨の海に霧散して消えるわけではないので、誰がこれで儲けるかというとプラットフォームの提供元(PancakeSwap)です。

注意としては、この-0.07BNB分、完全な損というわけではありません)。この損というのは、LPとして預けなかった場合と比較しての機会損失なのです。価格上昇でのインパーマネントロスは元本割れではありません(BNBが上がったので元本は増えている)。
この場合、CAKEとBNBをLPにせずに所持していた方が0.07BNB得だったという計算になります。

ただ、一方の通貨価格が預け入れ値より下落し、一方は変わらないという場合はインパーマネントロスに加えて元本割れも割れます。

PancakeSwapは「預け入れてくれたら利回りを渡すけど、元本を引き出す時に価格変動分いくらかかすめ取るけどごめんね~」という金融ロジックを提供しているのです。
このようにして高い利回りを提供できるのです。500%などのさらなる高利率は、それだけ価格変動リスクを抱えているペアだということです。

では、PancakeSwapではどのようなポジションを持つべきか?

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