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カタチアルモノは生きている
カタチアルモノ(物)は生きている。
物は生きているとは、どう言うことだろう。
物(モノ)ってなんだろう?
物は自分の目の前に見える全ての物がモノなのである。
全てとは何だろう。
部屋の中を見わたすと目の前には字を書くための机がある。いま自分が座っている椅子がある。好きな本がある。その本を入れる本棚がある。
自分の姿を見てみよう。身に着けている時計や洋服やズボンにベルト。
外に出かける時には靴を履き、手には鞄を持ち、鞄の中には財布やスマホ等が入っている。
移動する時は、自転車や自動車、電車に飛行機あらゆる物がモノなのだ。
いま自分が持っているモノ、使っているモノで一番長く使っているモノは何ですか?
鞄ですか?財布ですか?それとも時計ですか?自転車ですか?車ですか?
それとも、もっと違うモノですか?
私は同じモノを長く使います。特に革製品の財布や鞄、靴などです。
最近では「革のエイジング」などと言い、経年劣化を楽しむと言う言葉を耳にします。
経年劣化と言う言葉を知っていますか?
読んで字のごとく、時間が経つにつれてモノが変化していく過程を楽しむことです。
5年6年と使っていくと硬いと感じた革も手に馴染んできて、自分と時間を共有しながら使っていくうちに革の色合いが変化していくのです。一つ一つのシミや傷も思い出になり愛着が出てきます。愛着を持ってモノのお手入れをするのも楽しみの一つです。
また経年劣化とは違いますが「ビンテージ」や「アンティーク」なんて言葉もあります。
「ビンテージ」と言う言葉は、もともとはワインから来ており「古くても価値あるもの」と聞く。
そして「アンティーク」は骨董品のことと聞いたことがある。
言葉や呼び名が違えどモノを大切にする気持ち、モノを大切に使う気持ちには変わりない。
こんな事を経験したことはないだろうか?
長年使っていた車やテレビ、洗濯機や冷蔵庫など、「そろそろ買い替えようかなぁ」と思っていると急に壊れてしまうこと・・・。
財布や定期入れ、キーケースや時計を失くしてしまうこと。
私の勝手な解釈ですが・・・。
これはモノ達が自分の役目はもう終わってしまうのかと判断して、主人である持ち主の気持ちを察して、モノ達が自ら壊れたり消えたりして役目を終えるのではないかと思ってしまいます。
また長く使っていたモノも使うたびに愛情を持って声をかけたりしながら使うと予想以上に壊れることなく使える期間が長くなることがある・・・。
これはモノ達が自分は「まだ役に立つ存在なんだ」と自覚し壊れずに済むのではないか・・・。
日本では「もったいない」と言う言葉がある。日本人の昔からあるモノを大切にする気持ち。
モノは生きている。モノを大切にする気持ち。
モノに囲まれている私たちは、その気持ちを忘れてはならない・・・。