【「第47回定期演奏会」動画公開】1st Stage “世界の名曲選 ~こころの深淵~”のご紹介
9月7日(土)ザ・シンフォニーホールで開催されました「パナソニック合唱団 第47回定期演奏会」の演奏動画を、パナソニック合唱団YouTubeチャンネルにて公開いたしました!
noteでは、各ステージの演奏を解説と一緒にご紹介させていただきます。
▼パナソニック合唱団 YouTubeチャンネルはこちら
Panasonic Choir - YouTube
1st Stage “世界の名曲選 ~こころの深淵~
祈り、願い、絶望、希望、そして普遍の真理――国、信仰の対象は違えど、人の心の深層の部分に流れるものとは何なのか。世界各国で生み出された、まさに人の精神、魂の有様を描く、珠玉の名作ステージです。
ヨーゼフ=カライの「De profundis (深き淵より)」、モートン=ローリゼンの「O Magnum Mysterium(おお、大いなる神秘)」、唐代の詩人・白楽天(白居易)の世界を透き通るようなハーモニーで現したエリック=エシェンバルスの「Ancient Prairie (古原の草)」。そして2024年に生誕200年のメモリアルイヤーを迎えたアントン=ブルックナーの名曲「Christus factus est (キリストは従順であられた)」――。マエストロ、本城正博が厳選した深い精神性の世界をご堪能いただけます。
(「第47回定期演奏会」プログラムより)
O Magnum Mysterium(おお、大いなる神秘)
アメリカの作曲家、モートン=ローリゼン(MortenLauridsen1943-)の作品で、キリストの誕生の喜びと聖母マリアへの讃美を歌う。
馬小屋の扉を静かに開くと、マリアと動物達に見守られた幼子が眠っている。灯が穏やかに揺らめくように、柔かく優しい愛に包まれたイエス・キリスト——しかし同時に、生まれた時からすでに人類の贖罪のため磔刑に処される運命を背負っていること暗示するかのような影も揺れる。美しくも哀しい、神秘的な作品。
Christus factus est(キリストは従順であられた)
本年2024年が生誕200年のメモリアルイヤーとなるアントン=ブルックナー(AntonBruckner1824-1896)の作品。ブルックナーはオーストリア出身、後期ロマン派の作曲家・オルガニストであり、本作は代表的なモテットの一つ。
人々の救いのために、磔刑の瞬間までも神に従順であったキリストの姿を讃える信仰心が、ブルックナーならではの荘厳な音楽によって見事に描かれている。石造りの大聖堂で響き渡り、ひいては天上まで届くであろうその圧巻のハーモニーを感じられる。
De profundis(深き淵より)
ハンガリーの作曲家、ヨーゼフ=カライ(JózsefKarai1927-2013)の作品。テキストは旧約聖書の詩篇130篇。痛悔の7詩篇の一つで、罪の赦しを求めるために唱えられ、また死者のためにも唱えられる。
「深き淵より私はあなたに呼びかけます」と赦しを乞う人間の悲痛な祈りに、果たして救いは訪れるのだろうか。本作では、独創的な記譜法が採られており、計算しつくされた緻密な音楽の構築を求める一方で、その時にしか生まれない「偶然の音楽」が要求されており、極めて演奏難易度が高い。
Ancient Prairie(古原の草)
ラトビアの作曲家、エリクス=エシェンバルス(ĒriksEšenvalds1977-)の作品。テキストは唐代の詩人、白居易(白楽天)の詩「賦得古原草送別」。日本の平安貴族たちにも大きな影響を与えた白楽天。この詩は、彼が16歳の時の作で、送別の宴の席上で「古原の草」という題のもと、作られた。
紀元前に書かれた『楚辞』より「王孫遊んで帰らず、春草萋萋として生ず」の一節を引用し、生い茂る草を見て募る、惜別の念を表現している。何度も繰り返されるフレーズ、そして次の展開をも期待させる最後の和音は、枯れても焼かれてもまた芽吹く雑草の生命力、そして再会への希望を託しているようにも感じられる。
唐代を象徴する音律と淡く美しいハーモニーを組み合わせたエシェンバルスの世界観を、バイオリニスト巽愛莉さんの演奏と共にお届けした。
(動画はアンコールの演奏より)
次は、2nd Stgae “混声合唱組曲「筑後川」”へと続きます!
◆関連リンク
パナソニック合唱団ホームページ
https://mccchoir.jimdofree.com/
パナソニック合唱団 X(旧 Twitter)
https://twitter.com/Panasonic_choir
パナソニック合唱団YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@panasonic_choir